7/2旅人 

山と旅が好きです。

縁、その二

2020年08月03日 | 近郊の山

ある夏の日、僕は南アルプスの北沢峠にいた。

山登りを初めて通い初めたのは、安倍奥の山々そして南アルプスだ。

何度も通ううちにどうしても空白部分が出来る。 安倍奥だと二王山~見月山。 南アルプスは蝙蝠岳と仙塩尾根(通称、馬鹿尾根)が残った。

仙塩尾根は仙丈岳、三峰岳の間が未踏で、北から大仙丈岳、伊那荒倉岳、横川岳などを連ねている。

今回、仙丈岳を登りそこから仙塩尾根に縦走にきたのだ。

 

北沢峠付近に何台もパトカー、機動隊の車両、なにやら他にもたくさん車が駐車していた。大きな遭難事故でもあったのかしらん?

登山道に入ると異変が、あのペラペラの結束テープの赤いやつが道の両側に張ってある、なんですか?これ。 なんか植生の保護か?

テント泊の4日分の荷物で結構キツイ、地面を見ながらグハ~グハ~登る。一息ついて登山道を見上げると、テープは道の両側にずっと張ってある。 なにか不気味になってきた・・・・・・・・・・

 

暫く登ると小さな広場があり一本とった。

すると爺様と中年の男性が降りてきた、バラチカ足袋を履いて格好も登山者ではなく山仕事の人達のようだ。 で、聞いてみた。

くわ 「このテープはなんですか?」

中年「頂上からずっと、俺らゴミを拾いながら来たの、このテープも俺らが張ったし・・」

となりいた爺様が中年をツンツンとつついた・

中年「あっ!うう・・・・・・・・・・・・・・・・」

爺様「いくべ!。」 と、二人は逃げるように降っていった。

なに、なんなのいまの怪しいなあ。

なんか頭の上に??が出たまま仙丈小屋のテント場に着いた。(この頃はまだ仙丈小屋はテント場があったのだ。)

 

受付を済ませテントを張って、ゆっくりしていると、ガッシリとした体格のオッサンが話しかけてきた。

オッサン「何処から来たの?何処行くの?一人なの?」 矢継早に質問をあびせてきた。

なんじゃい!このオッサン最初は大人しく答えていたが、なんかムカついてきた。

くわ「なんだ、質問ばっかしやがって、てめえは何者だ?何処からきた、名前は?。」

と逆に質問を初めたら、困ったようにその場から立ち去った。 変なやつ。

少し離れたらオッサンは無線機を取り出し交信を初めた。 なにあれ、無線機なんか出して。 

 

 うん! あれ、もしや? 質問、無線機、身元、調査、職務質問!!!!

警察関係者、要人警護、SP オッサンはSPなんじゃないか?

誰か来るんだ、または誰かがいるんだ。 見回すと、同じ様なオッサンがテント場とか山頂付近にもいた。

なんか嫌な感じ、モヤモヤを残したままその晩は酒呑んで飯食って寝てしまった。

 

翌朝、パッキングをすませ隣のテントの方に挨拶して出発しようとしたら。

お隣「あれ、ご一緒しないんですか?」

くわ「はあ?」

お隣「あれ、知らなかったんですか皇太子さまが仙丈岳に登るんです。」

なるほど、昨日の山仕事の爺様が口止めするように中年を突いた事や怪しいオッサンの事はすべてガテンがいった。

 

そうか皇太子さまか、京都以来だな。 僕は足早に山頂に向かい、そして大仙丈岳へ向かって歩きだした。

振り返ると、四、五十人の集団が仙丈岳にいるのが見えた。

しかし、何処の山に行ってもあんなふうに登山道にテープ張るのかね? ま、いいけどね。

二度目か、二度あることは三度ある か・・・・・

 

もう、一回何処かで逢うかもしれないな、皇太子さま。 いや、天皇陛下様。m(__)m

 


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