チョルテカ市内には数十台のタクシーが走っている。
市内ならどこでも4レンピーラで運んでくれる。日本円で約30円。当然日本の物価と比較すると安い。買い物で多くの荷物を運ぶ人がよく利用をしている。
ぼくもたまにタクシーを利用することがあり、運転手の何人かとはもう友達になっていた。
ある休日のこと。道を歩いていると、中年小太りの白人タクシー運転手マルコに呼び止められた。
「一緒に乗って話さないか」
特に急ぎの用もなかったので、助手席に座る。
そのへんの日陰でタクシーを停車して話をするのかと思っていたが、彼は客を拾うために市内を走り始めた。
時折客を見つけては目的地に運ぶ。その間、ぼくと話をする。お客がいても同じように話を続けることもある。
彼はタクシードライバーの仕事について話をしてくれた。
彼の使うタクシーは彼の車ではない。タクシーの持ち主から借りている。車の持ち主に支払う額は12時間で150レンピーラ。彼が利益を得るためには、それ以上の稼ぎがなければならない。ガソリン代もその売上げから払う。
一人の料金が4レンピーラ。40人以上の人を乗せて儲けが出始める。日本のタクシーと違い、座席にスペースがあれば同時に複数名の客を乗せることができる。
首都では、乗り合いタクシーが複数名を乗せて決まったルートを走る。しかし、首都の普通タクシーは原則一人あるいは一組の客しか乗せない。
生活費を稼ぐためには、1日に100人は乗せないとやっていけないだろう。彼が言うには、何とか食べていけているだけの稼ぎはあるそうだ。
ホンジュラスは赤道に近いところに国が位置している。そのため日差しが強い。長時間運転していると腕などが日焼けをして変色してしまうのが悩みの種だそうだ。皮膚がんのことをしきりに気にしている。
ちなみにそのタクシーは日本でも見たことのないくらい古い年式の乗用車。パワステ、パワーウィンドウなどは装備されていない。エアコン、紫外線シャットガラスは言うまでもない。
多くのタクシー客をつかまえることができるのは、大型都市を結ぶバスの停留所である。彼も公園横にあるそのバス停留所にタクシーを停車する。彼同様、所狭しと数台のタクシーが並び、バスの到着を待っている。場所代は特に支払わなくていいようだ。
そして待っていたバスが到着。彼はタクシーから降りて客引きの声をかける。といっても、「タクシー、タクシー」と言うだけであるが。
すぐに一人の年配の女性を連れてきた。目的地は停留所から数百メートル。歩いても数分たらずのところの知り合いの家だ。あっという間に到着する。
開発途上国の人は自然の中に暮らし、よく歩いたり運動したりすると思っている人がいるかもしれない。しかし実態は逆だ。
無差別の開墾、森林伐採により、森林保護区域を除いて地方の自然は壊滅状態である。首都でも特別に緑が多いというわけではなく、山の斜面に住宅が立ち並ぶ。そのため、特に首都はほこりっぽい。
歩くことに関しては、日本人以上に歩かない。数百メートルでも歩くことを嫌い、タクシーを利用する。あるいは自転車。
健康維持のために歩こう、運動しようという概念はない。
それでも基礎体力が日本人よりずば抜けているため、アレルギーやアトピーの人はほとんどいない。
実は、出生時に、丈夫でない子どもは、衛生状態、病院の医療機器、医薬品不足から、生き延びられない。そのため、生命力の強い人たちが生活しているのだ。
「6ペソだよ」
彼がこのタクシー料金を請求したときに、ぼくは驚いた。料金は確か4レンピーラだからだ。
その女性客は6レンピーラを支払い、タクシーを降りた。
「タクシー料金は4レンピーラだろ」
彼に言った。
「彼女はよそ者だからな」
彼は笑いながら応えた。
要するにぼったくったのだ。
といっても彼の表情には悪気はない。取れる客から少しばかり多くのお金を徴収して何が悪いという表情だった。
貧しいホンジュラス。富のある国、人からは遠慮なく受け取れる器が彼らにはある。
日本ではギブアンドギブのコンセプトが繁栄の大原則。しかし、この国でそんなことをすると、またたくまに、禿鷹たちの餌食になってしまう気がする。
とはいうものの、日本在住のラテン人たちは「お返し」をきちんとしていて、結構もののやりとりにも気遣いをしている。
ぼったくるのは外国人に対してばかりかと思っていたが、そうではないことを知って何となく嬉しくなった。
ホンジュラスの有名なマヤ遺跡のコパンルイナス。
ここである一人の米国人が叫んでいた。
「他のホンジュラス人からは、本当はいくらとった」
笑いつつも、しつこく何回も詰問をして、本当の値段を聞こうとしていた。
ホンジュラスのぼったくりはとてもかわいい。
以前に紹介したメキシコなどのような紙幣トリックはしない。というか、できないのかもしれない。何れにせよ、高度な、ずる賢い詐欺はホンジュラスではみられない。
Goo
多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
応援のクリックをどうもありがとうございます。
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興味のある方はご連絡ください。
市内ならどこでも4レンピーラで運んでくれる。日本円で約30円。当然日本の物価と比較すると安い。買い物で多くの荷物を運ぶ人がよく利用をしている。
ぼくもたまにタクシーを利用することがあり、運転手の何人かとはもう友達になっていた。
ある休日のこと。道を歩いていると、中年小太りの白人タクシー運転手マルコに呼び止められた。
「一緒に乗って話さないか」
特に急ぎの用もなかったので、助手席に座る。
そのへんの日陰でタクシーを停車して話をするのかと思っていたが、彼は客を拾うために市内を走り始めた。
時折客を見つけては目的地に運ぶ。その間、ぼくと話をする。お客がいても同じように話を続けることもある。
彼はタクシードライバーの仕事について話をしてくれた。
彼の使うタクシーは彼の車ではない。タクシーの持ち主から借りている。車の持ち主に支払う額は12時間で150レンピーラ。彼が利益を得るためには、それ以上の稼ぎがなければならない。ガソリン代もその売上げから払う。
一人の料金が4レンピーラ。40人以上の人を乗せて儲けが出始める。日本のタクシーと違い、座席にスペースがあれば同時に複数名の客を乗せることができる。
首都では、乗り合いタクシーが複数名を乗せて決まったルートを走る。しかし、首都の普通タクシーは原則一人あるいは一組の客しか乗せない。
生活費を稼ぐためには、1日に100人は乗せないとやっていけないだろう。彼が言うには、何とか食べていけているだけの稼ぎはあるそうだ。
ホンジュラスは赤道に近いところに国が位置している。そのため日差しが強い。長時間運転していると腕などが日焼けをして変色してしまうのが悩みの種だそうだ。皮膚がんのことをしきりに気にしている。
ちなみにそのタクシーは日本でも見たことのないくらい古い年式の乗用車。パワステ、パワーウィンドウなどは装備されていない。エアコン、紫外線シャットガラスは言うまでもない。
多くのタクシー客をつかまえることができるのは、大型都市を結ぶバスの停留所である。彼も公園横にあるそのバス停留所にタクシーを停車する。彼同様、所狭しと数台のタクシーが並び、バスの到着を待っている。場所代は特に支払わなくていいようだ。
そして待っていたバスが到着。彼はタクシーから降りて客引きの声をかける。といっても、「タクシー、タクシー」と言うだけであるが。
すぐに一人の年配の女性を連れてきた。目的地は停留所から数百メートル。歩いても数分たらずのところの知り合いの家だ。あっという間に到着する。
開発途上国の人は自然の中に暮らし、よく歩いたり運動したりすると思っている人がいるかもしれない。しかし実態は逆だ。
無差別の開墾、森林伐採により、森林保護区域を除いて地方の自然は壊滅状態である。首都でも特別に緑が多いというわけではなく、山の斜面に住宅が立ち並ぶ。そのため、特に首都はほこりっぽい。
歩くことに関しては、日本人以上に歩かない。数百メートルでも歩くことを嫌い、タクシーを利用する。あるいは自転車。
健康維持のために歩こう、運動しようという概念はない。
それでも基礎体力が日本人よりずば抜けているため、アレルギーやアトピーの人はほとんどいない。
実は、出生時に、丈夫でない子どもは、衛生状態、病院の医療機器、医薬品不足から、生き延びられない。そのため、生命力の強い人たちが生活しているのだ。
「6ペソだよ」
彼がこのタクシー料金を請求したときに、ぼくは驚いた。料金は確か4レンピーラだからだ。
その女性客は6レンピーラを支払い、タクシーを降りた。
「タクシー料金は4レンピーラだろ」
彼に言った。
「彼女はよそ者だからな」
彼は笑いながら応えた。
要するにぼったくったのだ。
といっても彼の表情には悪気はない。取れる客から少しばかり多くのお金を徴収して何が悪いという表情だった。
貧しいホンジュラス。富のある国、人からは遠慮なく受け取れる器が彼らにはある。
日本ではギブアンドギブのコンセプトが繁栄の大原則。しかし、この国でそんなことをすると、またたくまに、禿鷹たちの餌食になってしまう気がする。
とはいうものの、日本在住のラテン人たちは「お返し」をきちんとしていて、結構もののやりとりにも気遣いをしている。
ぼったくるのは外国人に対してばかりかと思っていたが、そうではないことを知って何となく嬉しくなった。
ホンジュラスの有名なマヤ遺跡のコパンルイナス。
ここである一人の米国人が叫んでいた。
「他のホンジュラス人からは、本当はいくらとった」
笑いつつも、しつこく何回も詰問をして、本当の値段を聞こうとしていた。
ホンジュラスのぼったくりはとてもかわいい。
以前に紹介したメキシコなどのような紙幣トリックはしない。というか、できないのかもしれない。何れにせよ、高度な、ずる賢い詐欺はホンジュラスではみられない。
Goo
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