たびびと

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かっこよすぎるあるグアテマラ人の男性 グアテマラの風

2010年07月19日 | グアテマラの風
ある日曜日のこと。
カップルが車で教会にやってきた。

敬虔であってもなくても、多数のグアテマラ人は休日に教会に行く。近くの教会であることもあれば、中央公園にある大きな教会のこともある。
ここの教会はとても小規模。設備も古びていて斬新さはない。それでも休日には近所から多くの人がやってくる。

カップルは数台分しかない教会駐車場に車をとめた。教会のミサはまだ始まっていない。
まず男性が素早く車から降りる。そして、女性が座っている助手席のドアの前に行き、静かにドアを開ける。よく映画で見るエスコートだ。
この教会に富裕層は来ない。このカップルも一般庶民階級である。それでも男性は、女性に対する気配りを欠かさない。

教会入り口前の小さな広場には、この日もインディヘナ(原住民)の細めのお母さんがお菓子、飴、チョコレート等を通り過ぎる人々に売っていた。
以前この丘に来たときに何回か彼女を見かけていた。この地域を商売のテリトリーにしているようだ。

携帯式の小さな箱に詰まったたくさんのお菓子。
彼女はお菓子を携帯して売っている。子どものとき、図工の時間に写生で画板を使ったことがある。あの画板を小さな箱にして、胸の前にぶら下げたような格好だ。
携帯しないときは、もちろん地面あるいは棚の上に置いて商売をする。

グアマテラでは未だに民族衣装を着ているインディヘナの人々がいる。このお母さんもどこかの地方の民族衣装をまとっていた。地味な色だが、様々な模様が織り込まれている。地域によりこの民族衣装に特徴があるのだが、ぼくには彼女がどこの地域出身なのか知る由もなかった。

この母親の周囲では4人の小さな子どもが遊んでいる。
母親にまとわりつく末っ子。ボール投げをする兄弟。父親の姿は見えない。恐らくシングルマザーであろう。

カップルが教会入口に向かって歩いていく。
すると、男性はこの物売りの女性の前で立ち止まる。
箱のお菓子を眺めると、
「これとこれとこれ」
いくつかの飴やキャラメルなどの駄菓子を手に取る。
そして代金を払う。

「ずいぶん買うな」
お菓子好きのラテン人。それでもこのカップルには量が多すぎるように思えた。

ところが、次のアクションにぼくは唖然とした。

この男性は、その購入した駄菓子全てをそのお母さんに手渡す。
そして一言。
「そこにいる子どもたちにプレゼントするよ」

ぼく同様、お母さんの表情が驚きに変わる。
しかし、次の瞬間には、喜びの笑顔になった。

はずかしい素振りや、遠慮がちな態度はない。
「どうもありがとう」
お礼をし、子どもたちにこれらのお菓子を分け与えた。
子どもたちは大喜び。

隣にいた恋人の女性も幸せそうな笑顔。
2人は何ごともなかったかのように、教会の中に入っていった。

「うーむ、実にかっこいい。かっこよすぎる。さすがはグアテマラ人だ」
ぼくは大いに感心する。

恋人の前で、あまりにかっこよすぎこの男性の行為。
まるで映画の一場面。

「これは使えるな」
将来、恋人をメロメロにする秘儀の一つとして、この手法をストックさせてもらうことにした。

グアテマラ人というのはとてもプライドが高い。自尊心が高い。
誇り高い民族なのである。

あくまで周辺国の人と比べてのことだが。


多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
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