たびびと

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休日の楽しみ グアテマラの風

2010年07月12日 | グアテマラの風
中米にはいくつかの国がある。パナマ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ…。
スペインが統治していた時代があり、これらの国で人々はスペイン語を話す。流れているのはラテンの血。原住民インディヘナの血も。

共通する要素がたくさんある。だから、国民性はどこの国も同じだと思っていた。ところが、中米各国で仕事をするようになり、この考えが間違っていることに気づく。
各国とも独自の民族性がある。性格が異なるのである。

グアテマラ人のかっこよさ、プライドの高さは中米の中でも群を抜いていた。

グアテマラの中央公園から歩いて約20分の位置に、カルメンという小さな丘がある。スペイン語では、Cerito del Carmen と呼ばれている。
先日お話をしたホンジュラスのピカッチョのような高さはない。バスではなく歩いて登ることのできる小さな小さな岡だ。
頂上(というほどのものではないが)には小さな白い教会が建っている。

ある日の仕事帰りのこと。
職場の同僚マリアさんが、帰りに家まで車で送ってくれることになった。
そのとき、この素敵な眺めの見えるカルメンの丘に寄り道をした。簡単な観光案内だ。

丘の中腹に車を駐車し2人でグアテマラの首都グアテマラシティの町並みをのんびりと眺める。
日はまだ暮れていない。太陽がしっかり照っているので、景色もくっきりだ。
話好きのマリアさん。グアテマラのことをいろいろと教えてくれる。
彼女が独身で若ければ、恋に落ちていたかもしれない…。

マリアさんは、40台半ばの小太りな女性。天然パーマの美しい金髪の持ち主。大変親切で、毎日職場でとてもお世話になっていた。まるで我が子のようにぼくの面倒を見てくれる。
彼女がいなかったら、ぼくの業務は頓挫していたかもしれない。

「ここは危険な所なので、あなたのような外国人が一人で来てはだめよ」
別れ間際に何回も釘を刺された。

「危険? 治安のことだろうか」
本来危険好きのぼく。
この助言が脳裏に焼きついていたが、その週末、早速探索のためこの丘に出かけた。

カルメンの丘のふもとに到着する。
周囲は典型的な貧困層。確かに危険な雰囲気だ。教会を訪れる人々も何となく危なさそう。酔っ払い、ルンペンらしき人も丘の中や周囲にたむろしている。
そして日中というのに、妖艶な女性たちが客引きをしていた。

丘や教会の周囲はお世辞にもきれいに整備されているとはいえない。それでもこの丘の頂上に登ると、素敵な景色と広場の雰囲気で何となく心が落ち着いた。

ぼくは、丘の頂上にある教会入り口に咲き乱れている素敵な花園と生い茂る木々がとても気に入った。
花の名前はわからない。深紫の花が美しく咲いている。
頂上の広場では、小さな女の子が父親とボール投げをしている素朴な光景が。それを眺めていると、時間が経つのを忘れた。

その日から、この教会へ散歩に行くことが多くなった。休日の気分転換である。

教会横には古びた白い塀の残骸がある。そこに腰を下ろす。
教会のある丘の頂上は結構広い。子どもや青年がサッカーをすることもあれば、親子連れがピクニックに来ることもある。

のどかな光景を静かに眺めながら、クリシュナムルティ「自我の終焉」を何回も読むのがお気に入りの休日の過ごし方の一つだった。


多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
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