There are too many fools in space...

イラストブログになってます。タイトルは某台詞を翻訳にかけたら出たものですわ。ほほほ。

サプライズ?6☆

2010-02-05 12:59:09 | おおきく振りかぶって

慎吾さんの家に着いてからも、しばらく僕はぼけ~としてしまっていた。

平和だけが一番の取得のようなこの田舎町。
僕以外にも神と人々が呼んだり、妖怪、物の怪だのと呼ばれている存在は数多く住んでいるんだけど、こんな事は始めてのことだった。
そりゃ、人を化かして遊ぶ悪戯好きもいないこともないけど、さ。
この時代の人は、昔の人より心の余裕がないから、僕達を感じ取れない人の方が多いんだ。「僕らの時代も、いつか終わるのかもねぇ」と、山ちゃん先輩が呟いたのが忘れられない。

そんな中、いきなり神通力での攻撃なんて!?

今までの神生の中で初めての出来事だった。

「これ、飲みな。落ち着くし、温まる」
慎吾さんがホットココアが入ったマグカップをくれた。「ありがとうございます」と礼を言いながら両手に持ったそれは、程好くミルクで熱を冷まされていて、僕がすぐに飲める温度にしてあった。
慎吾さん、優しい。
だから、ううん。
それだけじゃなくって、大好きだから。

「あの! 僕が巻き添え食うのは、構いません! でも!! 人である慎吾さんをこれ以上巻き込むっていうなら、僕、あなたを許しませんよ!?」

キッと!
慎吾さんを睨む。
えっと、一応中の神に、だけど。

慎吾さんは椅子に腰掛けたまま、キョトンとした顔で僕を見詰めていた。
それから、ちょっと溜息をつくと手にしていたコーヒーの入ったマグを机の上に置いた。長い両手の指を絡めながら、それを開いた両膝の間に置く。

「そうだ、な。ちゃんと、迅にも話さないと、ね」
俯いていた顔が上がって視線が絡まったとき、慎吾さんは神と人格を入れ替えていた。困ったような、泣きそうな顔に見えて、心臓がコトリと少しだけ音を立てた……。

 

「俺は大陸の方、シルクロードの辺り一帯を治めている風の神属なんだ。風全て俺の支配下にある。もちろんあの広大な世界を治めるから、かなり神が混雑しててね、多少なりともいざこざはあるけど、それなりにやってきたんだ。
「最近の地球の温暖化、それによる砂漠化の加速。……人は、自分の過ちを認めて、砂漠を食い止めるための行動をし始めている。俺はそれを認めているし、多少は多めにみてもいるんだ。実際、砂しかない世界に緑があるのは、心和ませてくれるし。
「問題は人を容認するかしないか。神の中でもかなりその辺の考えは両極端なんだが。俺はどっちかといえばどっちつかずだった。人の良いところは認め、悪いところは自分で見詰めなおす事を待つ方。ところが……
「一応俺の所属してる上の奴が、そろそろ隠居したいと言い出した。中立の立場をとるそこは、結構擁護派、糾弾派とかの間を取り持つなんて役目もあって、結構大変なんだ。
「では、次のリーダーは? ……まさか、俺が持出されるとは思っても見なかったわけ。確かに自分でも神通力、神格は恵まれているのは解っている。俺の母体となった方があまりにも高位な存在だったおかげだってわかっている。
「でもなぁ。俺は躊躇った。そこに来て、「嫁も持て」と言い出しやがった。寝耳に水、候補として三人紹介された。
「それぞれの立場に立つ三姉妹。あの一族はもっぱらそういう血族間でもかなり両極端な性格を持ったのがよく現れるそうで。見た目は、いい。器量も申し分ない。神格、その他も差し障りなし。問題は……」

その後深く溜息をついて、慎吾さんの中の神は俯いてしまった。
僕は心配になって近づくと、少しだけ僕を見上げるように顔を振り向かせた慎吾さんが力なく微笑む。

「とっても、好戦的なタイプだったんだ。姉妹を相手にしない俺に痺れを切らした結果が、さっきのあれな。力づくでも、自分のものにするっていう、とんでもない行動」
「じゃあ、それから逃げて、来たの?」
また深く溜息をついて俯いた慎吾さんの肩に手を置くと。
「違う」というように、頭が左右に振られた。
「あれもそうだけど、それに便乗した奴もいてね。もう、すったもんだあって、こっちまで流れて来たんだ。そこを山ちゃんに救われて、慎吾の中にって感じ」
よけい心配になって、背中を抱きしめるようにしながら顔を覗き込んだ僕を、仰ぎ見ながら慎吾さんの中の神が微笑んだ。
「……うん、このままこうしていてもしょうがないよ、な。慎吾、ありがとう……。迅も、ありがとう」
しばらく僕の胸に頭を預けて眸を閉じていた慎吾さん(と神)が、突然部屋の隅に沸いた気配に頭を起こした。

「山ちゃん先輩」
現れたのは先輩。楽しそうにいつもの微笑んだ顔を一段と嬉しそうにしている。
……なんか、恐い。
「頼まれたとおり、迅の神社に呼んだよ~。向こうもやっとはっきり出来るってノリノリ~」
「えっと?」

僕が何が起こるのか解らずに二人の顔を交互に見ていると。

「では、役者がそろったところで、フィナーレと行きましょうか」
先輩が楽しそうに僕より大きな狐耳を上下に揺らして、眸を一段と細めてほくそ笑んだのだった……。

 

次回、終わるかな?

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