こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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さみしっくて、切なくって・・。(;_;)

2012-12-08 23:11:49 | 訪問看護、緩和ケア
昨日のことです。

今までも、このブログに何度も登場した高齢のご夫婦が、とうとう特養に入所してしまいました。(T ^ T)

真冬でも、家の中では上半身裸で、ポケットシュガーをアンパンにかけて「うまいな〜。食べてみなさい。上品な甘さで美味しいよ〜。」と言って、高笑いをしていたあのご老人です。

戦時中、南方の島で餓死で部下を何十人も亡くし、「戦争は二度としてはいけないんだよ。」と話してくれた方です。

認知症で、5分前のこともすぐに忘れてしまう妻と、それでも毎日笑顔で過ごされていました。

98歳と91歳のご夫婦を、ご親戚の方は二人だけで置いておくことに、不安があったのでしょう。

お子さんもいないので、日常の世話はヘルパーさんに頼っていましたが、この夏は妻の体調ががなり悪く、随分周りを心配させました。
それでも、秋になるとまた元気を取り戻して、ご夫婦二人で「今が一番幸せだよ〜」って、言っていました。

この頃から、スタッフに担当を任せましたが、そのスタッフとも仲良く歌を歌ったり体操をしたりしていましたから、担当の看護師も、とてもショックを受けていました。

昨日、担当ケアマネに電話をしてみると、ケアマネさんから、こんな話を聞きました。
「実は前日に初めて入所の話をご親戚がしたら、Gさんすごく激怒して、絶対行かない!!って言ってたんです。だからGさんが、迎えの車に乗らなかったら、今回は諦めようと思っていたんですが・・。
でも、Gさんが先に乗っちゃったんです。Tさん(妻)の方がすごく不穏になって「Gさん一人で行けばいいでしょう?私はいかない。」ってごねて。
そしたらGさんが「お前、今日はお泊りに行くんだよ。そして、いいところだったら、ずっとお泊りするんだよ。」って言って・・。あとは、ご親戚の方にうまく乗せられて、行っちゃいました・・。私もう、切なくて切なくて、なんにもやる気がしないんです。」

長いこと、二人のことをまるで一人娘のように世話をしていたケアマネさんです。
これは本音だと思います。
私たちだって、サービス事業者の前に人間ですから、こんなふうにいつも和ませて癒されてきたご利用者さんとのお別れは、本当に悲しいのです。
なんというか、「まだもうちょっと大丈夫だったのに・・」みたいな気持ちもあって、どうしようもないとは思いながら、切なくてやりきれなかったりします。

ご夫婦でとても気に入っていたおうちです。
庭には、季節の木や花がたくさん植えられていて、毎日遊びに来るツガイの鳩や雀に、お米を蒔いてやるのが楽しみの二人でした。

豪快で元気なGさんと、可愛らしくて優しい妻のTさん。

ある日突然、知らない施設に行ってしまいました・・。

誰が悪いわけでもなく、まして施設が悪いわけでなく、まもなく見えてきたこれから先の問題を考えれば、当然のことなのかもしれません。

でも、切ないです。悲しいです。

その話を、そばにいたスタッフに話していたら、悲しくなって涙がぼろぼろ出てしまいました。
一緒に、そのスタッフも泣いてくれました。

泣くのはおかしいって、思われるかもしれませんが、本当に悲しかったのです。

でもきっと、あのご夫婦のことですから、どこに行っても愛されと思います。

もう、裸でいられないけど、朝から日本酒にお砂糖入れて飲めないけど、お庭で鳩に餌をやれないけど、新しい生活の中で、楽しみを見つけてくれるといいな。。と思います。

鳩たちは、きっとしばらくやってくるんでしょうね。
「おじいさんとおばあさん、どうしたのかなな??」って思うでしょうか。
そして、やがて二人を待つこともなくなるんでしょうね。

たくさんたくさん、元気と笑いとくれたGさんご夫婦に、本当に感謝です。
お別れ、言えなかったな・・。

こんなことがあるのも在宅です。