こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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老老介護から認認介護へ

2012-08-01 23:14:34 | 訪問看護、緩和ケア
核家族化が進んだ結果、必然的に老夫婦だけでの生活が増えました。

子供が巣立った時に壮年といわれる世代だった方は、今は高齢者となり、老夫婦だけでひっそりと暮らされています。

やがてどちらかが病に倒れたり、認知症を発症したりして、どちらかが残されると、独居になってしまう方も少なくありません。

誰だって、長年住み慣れた家にいたいのです。

どんなにきれいな施設でも、そこを終の棲家と思える方のほうが少ないと思います。

柱の傷も、天井のシミも、破れた襖さえ愛おしい我が家なのです。

うちのステーションでも、高齢者の夫婦や独居のかたはかなり多く、高齢化はどんどん進んでいます。


最初は、夫であったり妻であったり、どちらか片方に訪問看護で入っていて、気が付くと介護者のはずの伴侶の様子がおかしくなっり、ますます不穏が悪化したりして、ご夫婦ともに訪問看護として入ることになったりします。
認知症でなくても、違う病状の出現で訪問看護が開始された伴侶の方は現在5件、相方がなくなられてから訪問看護が始まった方は、4人いらっしゃいます。

私が訪問しているGさんは、90をとうに過ぎてはいるものの、一年中上半身裸で自宅内では過ごされている方です。
戦争中の話をたくさんしてくれて、今の自分をとても幸せだと話す、元気なお爺さんです。
お尻の座り胼胝で訪問を開始して、かれこれ2年近くなるでしょうか。

Gさんは、年齢相応の認知力の低下はありますが、今のところADLも自立していて、生活上は大きな問題はありません。
妻は90代全般ですが、数か月前までは、いつもきちんとした身だしなみをして、お化粧もして、にこにこしながら、庭の手入れや洗濯物を干すなどの家事をこなしていました。
ただ、このころにはすでに夫よりも認知はかなり進んでいて、短期記憶はほとんどないような状況でした。

それがこの頃は、身だしなみも全く構わなくなり、化粧はもちろんしなくなり、美しくセットされた銀髪は、まるで山姥のようにバサバサに広がっているようになりました。
表情も徐々に乏しくなり、時々険しい顔をします。
そして、すぐに横になって寝てしまうのです。
誰もがわかるほどに痩せてきていて、頻繁に頭痛を訴えるようになり、私もGさんの訪問の度に、妻のほうが心配で血圧を測ったり、ケアマネに連絡して受診を勧めたりしてきました。

そして、とうとうケアマネさんより、妻の訪問看護の依頼が来たのです。

昨日、寝室に寝に行った妻を覗きに行くと、エアコンを切った部屋は30度を優に超えていて、万年床には重ね着をした上に羽毛の肩当てパットをして、布団をかけて横になっていました。

慌てたヘルパーさんが「起きて、アイスコーヒー飲みましょう!!」と声をかけると、手で振り払って布団をかぶります。

これはもう放ってはおけなくなりました。

8月からは訪問看護が開始になります。
食事量の確認や、エアコンの確認、鬱熱状況や脱水、低栄養などのリスクがとても高いので、ケアマネさんとも十分協議が必要です。

こういう形での訪問開始が多いのも、社会現象なのでしょうか。

お互いの体調やちょっとした変化に、全く気が付かないのが認認介護です。
最悪の事態にならないように、先手を打ちながら支援していかないといけませんね。