県内各市町村では9月定例会がスタートし、今国会で審議中の安全保障関連法案への危機感で請願や議員発議の意見書などが提出されており、その採決を注視しています。
上越市議会においても定例会2日目の今日、本会議で「安保関連法制定中止を求める意見書」について討論が行われるというのでインターネット生中継を視聴です。午後1時45分から、5人の議員が交互に賛成と反対の討論に立ち、意見書に賛成(安保法案には反対)は上野光悦議員と本城文夫議員の2人で、反対(戦争法案に賛成)を述べたのが3人でした。
提案説明に立った上野議員もさることながら、戦前生まれのベテラン本城議員は戦争体験などを述べ、長野県では7割の市町村議会が意見書を採択していることや、過去の反省から平和憲法がつくられたなどと力強い討論でした。驚いたことに反対討論の議員の中には、30日の上越大集会のチラシを掲げで「世論をヒステリックにしている」と言い出すので呼びかけ人の一人として呆れてしまいました。
さらに公明党の上松和子議員に至っては「憲法違反ではない。戦争法案は戦争防止法案です」と言い切り、よく知る女性議員だけに本心とは思えず、政権与党ゆえの苦しさなのでしょうか。そういえば糸魚川市議会でも31日の定例会初日に「安全保障関連法案の徹底審議を求める意見書」が採決され賛成少数で否決でしたが、この時も公明党の保坂悟議員が意見書反対の討論をしておりました。
そんなことで上越市議会でも採決の結果、賛成少数で意見書は否決され、午後2時15分に散会です。パソコン映像で見る限り10人程の議員が賛成に起立でしたが、どこでも市民と遊離する議会を正すのは有権者だけのようですね。
公明党といえば創価学会が支持母体ですが、30日の国会前で創価学会の会員らが名誉会長池田大作氏の平和への理念を述べ、安保法案反対の声を上げていた映像をニュースで見ました。そして「安倍政権を支える公明党の方針に反対する署名を集めています。これを提出して受け入れられなければ、選挙で公明党を応援することはできない。」という演説で拍手をもらっていたことも伝わってきました。
写真は『食べもの通信』9月号です。巻頭インタビューは記録映画90本に日本の未来を託してきた映画監督の羽田澄子さんです。今年89歳になられますが、20年ほど前に上越市女性映画祭でお会いした頃と変わらないはつらつさです。1976年にテレビ用『いま原子力発電は・・・』を制作し、いち早く福島の原発を取り上げ、廃棄しようにも捨て場のない放射性汚染物質を警告していました。
羽田澄子さんは安保法案を押し通そうとする安倍首相の出現で、改めて映画制作に意欲を持ち、戦争を知らない若い世代に伝えるため新作に挑戦中ということです。そして「戦時中は多くの人々を犠牲にしましたが、戦後は高度経済成長を支えてきた国民の声こそ大切にすべきでしょう」と語っています。主権者の声を無視する政権与党の暴走を止めるのは国民一人ひとりであることを痛感する一日の終わりです。
「住民が選択した町の福祉」など秋田県旧鷹巣町を舞台にした作品は、真贋を見極める大切なテキスト。高価なビデオを買ったんですが、議員さんに貸したら無くされちゃいました(泣)。
本当に羽田さんのインタビュー形式の記録映画は、まさに渡る世間は鬼ばかりを連想させる本音と建前の言動で、惹き付けられるほどのおかしさとむなしさの現実を感じました。だからこそ民主主義の意義を守らなきゃと思います。