ちょっとしたときに、短いメールをラインにくれることがある。
長い付き合いの彼女は、介護施設で仕事をしている。その施設に私たちの仲間がボランティアでコンサートをすることが何度かあった。
うちに来ない?と誘ってくれた。
こんな時期だから、お店も何だしね。と。
その昔20歳くらいの頃、楽器店の女子数人で遊んで、彼女の家に泊まったことがあった。
彼女の住むアパートの部屋には、机があった。大学生の彼と一緒に住んでいたのだった。
大学生の彼はおそらく大変モテていたと思う。
彼女はある日、車のトランクに手編みのセーターとマフラーを見つけた。
仕送りして地方から出て来て大学生の彼は、車も持っていたことになる。地方のおぼっちゃまだった。
手編みのセーターとマフラーのそばには、包装紙も破かれて置いてあった。
彼女はその包装紙に書かれてある住所へ、そのセーターとマフラーを送り返してしまった。
すごいっ!かっこいいと、その頃の私は思った。そして、セーターとマフラーのことは彼には何も言わなかったのだ。
23歳くらいで2人は結婚しました。
私は披露宴に呼ばれてお祝いしました。
ご主人とはもしかしたら、その披露宴以来の再会でした。
お互いに変わり果てた姿だったかも。
ご主人は白髪で、穏やかな老人になっていた。
ご主人も大学出て入社した会社に定年まで勤めて、定年後は介護施設の運転手をしている。
朝のお迎えと夕方の送る仕事だ。だから昼から数時間、家に戻って身体を休めるのだ。
少しだけおしゃべりしました。
私はレッスン以外は何も他のしごとをしていないので、彼女はうちの施設においでと言う。
長い付き合いだな。
これからも、よろしくね。