女か虎か | ||
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読 了 日 | 2008/05/14 | |
著 者 | 高木彬光 | |
出 版 社 | 角川書店 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 336 | |
発 行 日 | 1980/04/10 | |
分類番号 | 0193-133849-0946(0) |
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か高校のときの教科書に載っていたのだと記憶しているが、定かではない。
フランク・R・ストックトンの名高いリドルストーリーを初めて読んだ時の、なんとももどかしいような不思議な感覚を覚えたことが、記憶にあり、元々著者のファンでもある僕はこの作品を読んでみようと思ったのだ。
本好きの人なら一度は読んだことがあるか、あるいは聞いたことがあるだろうと思われる著名な作品だ。
ストーリーは、ローマ時代の王女と婚約していた騎士が、侍女と恋仲になったことを咎められて、命を掛けた裁きで武器を持たずにコロシアムに引き出される。
そして、壁面にある二つの扉のどちらかを開けるよう命じられる。扉の中には、片方には彼の恋した侍女が、もう片方には虎が潜んでいた。
ところが彼は前の日に、王女から右の扉を開けるよう耳打ちをされていた。運良く女の扉を開ければ、彼は無罪放免となるが、もう一方の扉を開ければ・・・。
いよいよその時が来て彼は扉を開けるのだが、どちらの扉を開けたのだろう、というところで終わっている。
うしたストーリーのモチーフを取り込んだ高木氏の作品は、勿論リドルストーリーではなく、本格ミステリーなのだが、名探偵神津恭介も、百谷泉一郎弁護士や、霧島三郎検事も出てこない。シリーズ外の長編である。
ある女性が、夫以外の男性を引き入れて、自宅で情事を愉しんでいたところへ夫が帰ってくるという事件が発端となってストーリーは展開する。
男の差し金で、女は帰ってきた夫を強盗範として110番通報するのだが、この事件に興味を持った新聞記者が調べ始める。
やがて事件は殺人事件にまで発展し、女霊脳師が登場したり、混迷の度を深めていくのだが、他の高木作品とは趣を変えた風変わりの印象だ。
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