隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1161.恐怖の骨

2011年06月09日 | サイコ・サスペンス
恐怖の骨
読了日 2011/06/05
著 者 和田はつ子
出版社 光文社
形 態 新書
ページ数 242
発行日 1997/07/30
ISBN 4-334-07249-6

 

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ろいろと脈絡のない乱読を続けていると、ある時思いついての読書となるから、しばらくぶりで読むという作家が結構出てくるのは必然か?
今回もそうしたしばらくぶりの作者との出会いなので、そうしたことを考えた。前に読んだのは2008年だから足かけ3年にもなるのか。
いつの頃からか、この作者は時代ミステリーに転向したかのように、この手のサイコ・ミステリーがめっきり少なくなった(ような気がする)。和田氏の作品を読み継いできたのは、サイコミステリーと言うだけではなく、やはり魅力のあるシリーズキャラクターのせいもある。
幾つかドラマ化もされている、心理分析官・加山知子や英陽女子大学で食文化を教える助教授・日下部遼と、同じシリーズに登場する警視庁捜査一課の刑事・水野薫などなど。本署はそうした主人公たちとはまた別のキャラクターが登場する。

 

 

法医学者の田代ゆり子、監察医の江川浩司、そして警視庁捜査一課の刑事・須原透のトリオだ。
女性検死官については、アメリカのP・コーンウェル女史のケイ・スカーペッタシリーズが有名で、彼女自身が解剖を行うのだが、本書では、司法解剖を担当するのは監察医務員の江川の方だ。
カバー折り返しの著者の弁では、検死官・田代ゆり子シリーズの2冊目を云々・・・とあるので、1冊目は何だろうと著者のサイト(http://hatsukowada.s9.xrea.com/)を見たら、なんと最初は「蚕蛾」だと言うことだ。僕は2007年に「蚕蛾」も読んでいるのだが、メモには助教授・日下部遼シリーズとなっている。どうやら日下部遼と協力して事件解明に当たっていたのが、本書で活躍する田代ゆり子だったようだ。そういわれても全く思い出せないのは、あきれるほどの僕の記憶力のなさだ。

 

 

回の事件は、新宿区下落合のアパートの一室で、長いすに横たわった白骨死体が発見されたことに始まる。
死体は現場の状況からそこで白骨化したのではないとがわかる。何者かによって骨になってからその部屋に運ばれたと言うことだ。
白骨化した骨の状態から、ゆり子らの検死では80代の男性との見方で一致したのだが、咬耗値からは20歳から30歳の人間とのことだ。咬耗値とは、噛み合わせによるはの摩耗、すなわち減り具合を表す値だ。
さらにその後、歯形から白骨死体は24歳の男性と判明した。だが、24歳の骨がなぜ老人化していたのか?

そして拒食症だった若い女が1ヶ月の間に肥満となり、変死体で発見されるという事件が起きた。
次々と発見される奇妙な死体は、連続殺人事件なのか?
しばらくぶりで読むせいか?あるいは僕の感じ方が変わったか?従来読んできた著者のサイコサスペンスとは、少し雰囲気が違うような感じを受けながら読み進めた。

 

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