隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1823.掏替えられた顔

2018年02月03日 | リーガル
掏替えられた顔
The Case of The Substitute Face
読了日 2018/02/03
著 者 E・S・ガードナー
E.S.Gardner
訳 者 砧一郎
出版社 早川書房
形 態 ポケミス212
ページ数 288
発行日 1989/10/31 8版
ISBN 4-15-000212-6

 

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約はキャンセルしたはずだったのだが、1昨日(というのは12月22日のことだ)木更津市立図書館から、「予約の資料が用意できました」というメールが入った。本書と、「憑かれた夫」、「空っぽの罐」の3冊だ。
翌日の23日土曜日は休館日だったから、24日の日曜日に行ってきた。
これらの本は、前にも書いたように木更津市立図書館にはないから、図書館のネットワークで他の図書館から、借りてきたもので、2冊は袖ケ浦市立図書館、1冊は佐倉市立図書館の蔵書だった。
係員から、「他の図書館で借りたものですから、期日までにお返しください」という、お決まりのセリフを聞きながら、恭しく借りてきた。
自ら足を運ばなくても、こうしてリクエストした本が、木更津市立図書館でかりられるということは、誠に有難いことで、感謝こそすれ文句を言う筋合いはない。
ただ、この時点で僕は袖ケ浦市の長浦おかのうえ図書館から、文庫11冊を借りて読んでいる最中だったから、返却日が1月14日ではあるものの、全部読み切れるか心配なのだ。これらの3冊は期限内の返却が義務付けられているから、先に読むことにした。いずれも僕が予約注文した文庫ではなくポケミスだが、どうこう言ってはいられない。

 

 

ぺリイ・メイスンが事件を依頼されるのは、主に事務所で秘書のデラと一緒にいる時だが、時にはレストランで食事中の時もあれば、出先で依頼人に会うこともある。
いろいろとストーリーによって変わるパターンは、一層面白く読めるように工夫しているのかとも思えて、そんなところにもこのシリーズの楽しさを感じる。
今回は、デラ・ストリートと二人でハワイへの休暇旅行からの帰途、豪華客船がダイヤモンド・ヘッドを回ったところで、二人が首のレイをはずして海に投げ込んだ後で、ニューベリ夫人から娘のベルについての依頼を受けるのだ。
僕は残念ながらハワイには行ったことは無く、まして豪華客船などにはまったく縁のない話だが、ダイヤモンド・ヘッドを過ぎたところで、レイを海に投げ込むと、再び訪れることが出来るという言い伝えがあるようだ。
このシリーズに限らず、アガサ・クリスティ女史のポワロやミスマープルの物語を読んでいると、しばしば豪華客船に乗船する場面が出てきて、上流階級の華やかさを見せる。
自分の住む世界とあまりにもかけ離れているから、別に羨ましくも感じないから良いのだが、上流階級でなくたって、かつて一億総中流化ともいわれた我が国だから、各旅行会社が企画している豪華客船で、世界を巡るツーリング・プランを利用する人も多く、一般的になっているのかもしれない。

そんなハワイの楽しかった休暇を名残惜しむかのような、メイスンとデラのもとに現れたのは新たな依頼人である、ニューベリ夫人だった。
突然大金を手にした夫は、帳簿係をしていた会社を退職、引越しをして身分不相応なハワイ旅行に、夫人と娘ベラを伴った。夫は金の入手先を決して話そうとしなかったが、夫の辞めた会社では、大金の使い込みが発覚して、追及が始まったという噂が夫人の耳に入ってきた。
夫人は、夫の金の入手先や、会社の使い込みが夫ではないという、調査をメイスンに依頼してきたのだった。

メイスンが調査を始めると、ニューベリ一家の身元を調べているらしいことが疑われる。
そして、船はやがて嵐に見舞われ、殺人事件が発生する。

 

 

々ポケミスの巻末に著者や作品についての評論や解説が載っている。先日その解説の中に、ぺリイ・メイスン・シリーズは読み終わった後、「すぐに何もかも内容を忘れてしまうから良い」という記述があって、おもわず笑ってしまった。
僕はこのシリーズに限らず、2-3冊後にはわすれてしまうのだが、それは忘れっぽい僕の特徴かと思っていたら、こうしたところへ原稿を書くような評論家でさえ、そうしたことが有るのかと思わず笑った次第だ。
もう何度も書いたが、女優の日色ともゑ氏が、父が読んだことを忘れて前に読んだ本を買ってくる、というようなことを言っていたことが有り、世の中には似たような人が結構居るものだと、面白く感じた。
今ではこのシリーズのように、82冊もあるものについては、パソコンで目録を作って読了や未読の区別をしており、また、今の僕の場合はもっぱら図書館を利用しているので、同じ本を二度買ったり読んだりということは無くなった。

 

 

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