隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0382.赤ちゃんがいっぱい

2003年05月11日 | 本格
赤ちゃんがいっぱい
読了日 2003/05/11
著 者 青井夏海
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 296
発行日 2003/04/25
ISBN 4-488--43103-8

 

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作の「赤ちゃんをさがせ」(336.参照)は連作短編だったが、続編の本作は長編となった。著者の初の長編か。 アルバイト先の“あゆみ所参院”をリストラされた亀山陽奈は、聡子先輩の勧めも会って、“ハローベイビー研究所”という、なんとも胡散臭い名前の“体内育児”施設に就職することになった。仕事の内容は、通ってくる妊婦さんたちのカウンセリングだという。本当は、赤ちゃんを取り上げる仕事が続けたかったのだが、仕方が無い。
入る早々、クリーニングの引換券やくず篭など、価値の無いものばかりが消え失せるという事件が発生する。そして、十八年前と同様の赤ちゃん置き去り事件がおきた。ところが、院長はなぜか警察に届けようとはしない。 またもや、明楽先生の登場である。明楽友代先生はカリスマ助産師といわれる推定年齢70歳のベテラン助産師だが、本業のほかに謎を解くことにかけても名人なのである。“ハローベイビー研究所”に隠された謎とは?

 

 

こうした題材は、女性でなければとてもこなし切れるものではないだろう。子どもの頃住んでいた田舎でも、その当時は、産婆さんと呼ばれる助産婦(現在は助産師というのだそうだが)を職業としている人が結構居て、僕のところでも、妹二人は母が自宅出産で、産婆さんのお世話になっていたことを思い出す。
僕は今でも自宅出産の希望者とともに助産婦という仕事が存在していることを前作で知って、ちょっと驚いた。同時に、そうしたことを素材にミステリーが構築されたということに対しても。心穏やかに読めるミステリーも良いものだと感じる。高齢の明楽先生の健在なうちに続編と、著者の活躍を期待したい。

 

 

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