雨の匂い | ||
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読了日 | 2005/09/24 | |
著 者 | 樋口有介 | |
出版社 | 中央公論社 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 217 | |
発行日 | 2003/07/25 | |
ISBN | 4-12-003420-8 |
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ットでは、ついつい単行本を買ってしまう。だが、家で読むには断然単行本のほうが良い。最近は、眼鏡が合わなくなってきたようで、文庫を読むのがきつくなってきた。しかし、週に何回か外で読むこともあるので、そういうときには文庫の方が携帯に便利なのだが。。。。
さて、今回のストーリーは樋口有介の世界であることに違いないのだが、それでも少しばかり違うような?今まで何度となく書いたことではあるが、著者の作品を読んでいると、なんとなく安心感のようなものが芽生えてくる。今回の主人公は21歳の大学生・村尾柊一。
塗装職人だった寝たきりの祖父・寛治との二人暮しで、父親・友員は末期癌で入院中。ある日、近所の親戚付き合いをしている小母さん・小林ハツが、知り合いから頼まれたという、緒川家の黒板塀の塗装の話を持ってくる。寛治は下半身不随で仕事は出来ず、柊一も小学生の頃祖父を手伝ってはいたが、職人ではない。柊一は、その緒川家に直接自分で断りに行く。
いつものように初っ端で事件が発生する話ではなく、至極平凡で、穏やかな、平和な日常生活が展開されていく。読んでいて、居心地の良い物語に入り込んで、このまま静かな日常で進んで欲しい、と変な期待を寄せてしまう。
大学は、専攻した環境生物学に熱が入らず、レンタルビデオ店店員のアルバイトに励む柊一には、小学生の頃離婚して父と自分を置いて家を出た母親・久子がいる。その母・久子が寛治の死亡保険金を目当てに借金の申し出をしてくる。
少しずつ、ほんの少しずつではあるが、事件の芽が蒔かれていくのだが・・・・。
人の心の奥底にある、いろんな感情が、それぞれの人たちの生き方に影響していく様が、自然な日常の推移の中で描写されており、読後ちょっと切なく、悲しくなる。
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