隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1638.キウイγは時計仕掛け

2016年06月15日 | 本格
キウイγは時計仕掛け
読了日 2016/06/15
著 者 森博嗣
出版社 講談社
形 態 新書
ページ数 320
発行日 2013/11/06
ISBN 978-4-06-182898-8

 

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い先日読んだばかりのシリーズ第9弾。といっても3年も前に出た本で、単に僕の読むのが遅かっただけだ。それでも、間をあけずに読むと、懐かしさが余計にこみあげてきて、前回よりも一段とその世界に入ったような気がする。
前にも書いたが、著者のGシリーズ(ギリシャ文字が含まれたものがGシリーズならば、もう少し続くのか?)は本書が最後かもしれない。というのは今年になって刊行された、「χ(カイ)の悲劇」は、Axnミステリー(ミステリードラマ・映画専門のスカパーのチャンネル)の番組、「講談社リブラリアンの書架」で紹介されたときには、「新たな悲劇三部作の始まり」と編集者が言っていたからだ。
多分この後に「・・・の悲劇」「・・・の悲劇」と続くのだろう。もちろん・・・の部分にはギリシャ文字が入って。

夢中で読んだ著者のいろいろなシリーズ作品だが、しばらく間が空いたから、もちろん僕の読書の間が空いたというだけで、ちょっはの作品発表の間が空いたということではない。否、そっちの方も間が空いたのか?以前著者がふでうぃおるというような噂を聞いたような聞かないような・・・・?

 

 

随所に現れる会話のユーモアに、以前のエピソードもこんなに面白かったかな?と思うほど僕は以前の興奮を忘れているのだ。しばらくぶりではあっても続けて読むと、ストーリー展開の、いや、メインキャラクターたちの会話の雰囲気が、懐かしく「アゝ、こんな感じだったナ!」と、そんな心地よさが浸みてくる。
同じ様なことを書くが、メインキャラの加部谷恵美が―彼女は現在県庁の職員として働いている―大学時代の仲間たちと会って、研究室の雰囲気を懐かしむ気持ちが、僕はとてもよくわかる気がするのだ。僕の大学生活へのあこがれと、同等の者ではないかという思いだ。
今回は、箱根の大学で開かれる建築学会が舞台となる。
かつての先輩・山吹早月から研究発表の一部を任された加部谷は、幸いなことに職場で出張扱いとなって、学会の会場となる大学へと駆けつけたのだ。同行したのは大学以来の友人で、現在はテレビ局でジャーナリストとして活躍する雨宮純だ。
発表がうまくできるか心配で何度も練習をした甲斐があってか、思った以上にうまくいったのだが、会場となった大学では学長が何者かによって、拳銃で射殺されるという事件が勃発する。

 

 

築学会には犀川創平をはじめとして、国枝桃子、西之園萌絵といったそうそうたるメンバーも出席、かつてのS&Mシリーズを彷彿させる。今や准教授となっている西之園萌絵は、かつてのように事件に対して積極的な態度は示さないものの、犀川創平とはもうすでに事実上の結婚をしているのかと、思わせるような雰囲気だ。
ところどころで、神のごとき天才・真賀田四季の影がチラチラとするようなところも見せながら、ゆったりと言った感じで話は進む。
だが、学会の開催に合わせて急遽副学長に昇格した女性教授までもが射殺されるという事件が起こって、謎は深まるが・・・・。
相変わらずの鋭い頭脳の冴えを見せる犀川創平だが、大学としては殺人事件よりも、開催される建築学会の方が優先されるという雰囲気で、これまでとは異なる雰囲気で、事件への関わりは薄まってしまったようだ。
にもかかわらず、僕は今回のストーリー展開は加部谷恵美たちのたたずまいもそれほどうるさくなく、落ち着いた雰囲気でよかった。新たな展開を見せる新作に大いに期待するところだ。

 

 

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