隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1200.招かれた女

2011年11月14日 | サスペンス
招かれた女
読 了 日 2011/10/31
著  者 赤川次郎
出 版 社 角川書店
形  態 文庫
ページ数 298
発 行 :日 1984/09/10
ISBN 4-04-149721-3

 

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良三郎氏の「ミステリーの泣きどころ」という評論集を読んで、今まで気にしなかった本のいくつかに興味を惹かれて、読んだ中に著者の作品もあった。
「マリオネットの罠」というのがその1冊で、由良氏のような気になる作家の一人に紹介されると、読んでみようと思うのは、僕の何というか単純に影響を受けやすい性格から来ているのだ。
昔から僕は食わず嫌いと、天邪鬼な性格は年を経ても一向に治る気配はないようで、そうしたことからいまだに読もうとしない作家の作品は少なくない。著者の作品もその一つだったが、読んでみて読みやすい文体や、オーソドックスなサスペンスとしての面白さに惹かれた。まあ、僕が生涯に読める数など高が知れているから、気に染まぬ読書は避けて通ることも致し方ないが、読まずに面白い作品を見逃していることも少なくないだろう。
回りくどい話になったが、「マリオネットの罠」の巻末の解説で、同様の傾向を示す作品として、本書が紹介されており、機会があったらまた読んでみようと思っていた。 そんな折、たまたま行きずりの古書店店頭におかれた50円均一のワゴンを何気なく見ていて、本書を見つけて「おっ!」と思って買い求めた。ごくまれなことだが古本屋さんを回っているとこういうこともあって、あまり古本屋さんを回るのは止そうなどと思いながらも、ついつい足を向けたり、手に取ったりしてしまうのだ。そうした些細なことが、貧乏暮らしを続けることとなる要因の一つで、バカな僕はやめられないのだ。

 

 

重要参考人を張り込んでいた二人の刑事、宮本と谷内が、連れ込み宿に踏み込む。目的の人物は二階だったが、宮本刑事は持病のひざが痛みだし、若い谷内刑事に先に上がらせた。1発の銃声とともに参考人は消えて、谷内刑事は命を落とす。
谷内の葬儀で、谷内の婚約者だった布川爽子からののしらた。その後辞職した宮本は、まともな職にありつけず、妻子とも別居生活を送っていたが、思いもかけず、かつて痛烈な言葉を賭けられて非難された布川爽子から声をかけられて、職にありつけることになる。
といったスタートから、その宮本が事件の真相を追うのかと思っていると、新たな就職先で、彼はあっさりと殺されてしまうのだ。そんな成り行きにちょっとした戸惑いを持ちながら読み進めるうちに、事件は意外な方向に発展していく。

 

 

は著者の作品はこれで2冊目で、他の物は読んでないから分からないが、読み終わってなるほどこの作品も権田萬治氏の言うように、その前に読んだ「マリオネットの罠」と同様のカテゴリーに入る作だということは分かった。
だが、本書の巻末で山前譲氏の解説の中で、著者が自作の中から選んだ10作に、サスペンスとして挙げられているのは「マリオネットの罠」と「黒い森の記憶」という作品だった。
山前氏も権田氏と同じくサスペンスとしては本書の方を推しているのに、著者としての思いは違うようで、書評家の認めるところと作者自身の考えが違うことはよくあることなのだろう。
また、読む機会があったら著者の自信作の方も読んでみようか・・・・。

 

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