隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1289.舟を編む

2012年09月07日 | 仕事
舟を編む
読 了 日 2012/09/07
著  者 三浦しをん
出 版 社 光文社
形  態 単行本
ページ数 259
発 行 日 2011/09/20
I S B N 978-4-334-92776-9

 

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の本を知ったのは昨年早くに、NHKBSで放送された「週刊ブックレビュー」で、ゲストの誰かがお勧めの1冊として紹介していたのを見てからだ。と思う?
まあ、僕の記憶力もあまりあてにならないが、最近記憶力の減退は加齢によるものではないという話を聞いた。
昔から年を取って物忘れがひどくなった、というのはよく聞く話だが、歳をとることと記憶力はあまり関係ないということなのだ。
そういったことが書かれている本を、最近BS11(イレブン)で毎週火曜日の夜放送している「宮崎美子のすずらん本屋堂」という番組で紹介していた。機会があったら読んでみようかと思っていたが、本のタイトルも著者も忘れた。そんなことから「ほんとかな?」などとも思っている。

 

 

それはともかく、本書についてはその後さまざまなところで紹介され、ついには本屋大賞を射止めてしまった。
そんなこんなで、それでは僕も読んでみようかと、先日近くにある家電量販店ヤマダで貯まっていたポイントで交換した。家電量販店で本を買うというのはおかしな話だが、そこは割と大型店で家電の他に化粧品や本まで扱っているのだ(前にどこかで書いたな)。細かな買い物でも時がたつとポイントがたまるもので、3千円相当のポイントがあったので、パソコン誌2冊と本書でちょうど交換できた。近頃は懐が豊かでないから、以前は定期購読していたパソコン誌を読むのもしばらくぶりだ。
パソコンの話になったついでに、(僕のこの記録はついでの話の方が多くなってしまうのだが・・・・)僕はこの記事を書くときや、ネットに接続するときもタワー型のデスクトップを使っているが、ノートもOSがWindows7なので、最近ヤフオクで手に入れた「Visual Basic.net」が古いタイプで、インストールできない。
そこで仕方なく、ヤフオクで小さなXP対応のモバイルノートを手に入れて、インストールした。
もともと僕のプログラム作りは、Basicをスタートとしていたから、VBならいくらかでもとっつきやすく、Excellなどに付随しているVBA(VisualBasic for Application)で、何度かプログラミングをしてきた。

先に出た加齢と記憶力の話だが、それが無関係という話を聞いてそれならということで、またもやプログラム作りに挑戦することにしたのだ。話によれば、記憶力は努力することにより高まる、ということなので年寄りの冷や水だが、暇つぶしにはなるだろう。

 

 

て本書の舞台は、玄武書房という中堅の出版社、そこで企画された大きなプロジェクトが、「大渡海」という日本語辞書の出版だった。日本語という言葉の海原を渡るための舟が、辞書ということで名づけられた「大渡海」だが、それにかかる費用と、時間は半端なものではなく、会社の方針で何度か中止となりかける。
そうした環境の中、顧問で編集の大元をつかさどる大学教授の松本、定年後も社外編集者の一人として、編纂に携わる荒木、そして馬締、さらに中年の女性社員・佐々木といったメンバーが辞書編集部だ。
前からいたお調子者だと思われていた西岡という部員は前半で広告宣伝部へ異動となる。ストーリーの前半は新たに部員となった馬締と、入れ替わるように辞書編集部から去る西岡の交錯が描かれて、当初気楽な社員と思われた西岡の中の、意外な面が次第にあらわれる様子が、少しほろりとさせる場面などもある。

そうした前半に少し時間がかかったが、半分から後は一気に読み進める。 主人公は、真面目が取り柄の馬締(まじめ)君だ。冗談みたいな話だが、本当のことだ。営業部で一人浮いた状態だったのを、定年間近の主任・荒木が惚れ込んで辞書編集部に引き抜いたのだ。まじめが取り柄とは言いながら、彼は言葉に対する執着は誰よりも強く、そこを辞書の編集に向いていると見込んのだが・・・・。
そうしたこととは別に彼が下宿しているアパートに、大家のタケおばあさんの孫娘・林香具矢がやってきた。
京都で板前の修業をしていたが、タケおばあさんを案じて、こちらの割烹「梅の実」で見習いとして働き始めたのだそうだ。そんなことから辞書編集部の新入部員の歓迎会が「梅の実」で行われることになった。 席では美人の香具矢に調子のいい同僚の西岡がちょっかいを出す。西岡に童貞をからかわれた真面目は、気が気ではないが、案に相違して香具矢はあっさりと真面目と結ばれてしまう。

そして後半は13年後、馬締は辞書編集部の主任となっているところから始まるのだが、何のことは無い、まだ「大渡海」の編集の追われる毎日が続いているのだ。少し変化がみられるのは辞書編集部に新たに岸辺みどりという女性社員が異動してきたことか。

普段僕たちが何気なく使っている辞書だが、それが出来上がるまでには、実に多くの人たちが携わっていることや、編纂という仕事には、言葉に対する取り組み方が、並大抵のことではないことなどがわかり、頻繁に辞書を使う身としては、辞書を見る目が少し違ってくるだろうという気になる。 今回は辞書の出来上がるまでの数々のドラマを描いたストーリーで、ちょっとミステリーから外れた物語ではあったが、感動的なラストもあって多くの書店員さんが推したのも、なんとなく納得できるような物語ではあった。

 

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