隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1445.読めない遺言書

2014年03月09日 | サスペンス
読めない遺言書
読 了 日 2014/02/21
著  者 深山亮
出 版 社 双葉社
形  態 単行本
ページ数 303
発 行 日 2012/05/20
I S B N 978-4-575-23772-6

 

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になるタイトルは、ただメモするだけでなくどこで誰が紹介していたのか、あるいはどこで目にしたのかも書いておけばここでの話題にもなるからいいのだが、つい忘れがちで読書ノートの後ろには、タイトルと著者名だけが列記されている。
そんなことでこのタイトルもどこで見たのか憶えていない。それでも確か2ヶ所くらいで見た憶えはあるから、たぶん面白いストーリーなのだろうと先入観が頭に植え付けられて、できるだけ早いうちに読みたいと思っていた。
木更津市立図書館で一度借りようと思ったら、貸し出し中だったことを前に書いたが、2月19日に行って棚にあったので、前回読んだ「傷だらけの果実」と一緒に借りてきた。
こんな風に読みたい本がスムーズに借りられると、もうそれだけで僕は幸せいっぱいと言う気になる。身近で小さな幸せを感じられるのは、うれしいことだ。反面、日に日に老いを感じることも少しずつ増えていくのは不幸なことか?

 

 

先日も同じようなことを書いたが、老いを感じることの一つに、車の運転がある。
最近は若い頃と違って、スピードを出したり、追越をかけたりということはなくなって、規則を遵守した安全運転をするようになった。一時停止は停止線の手前できちんと停止し、ウインカー(方向指示器)も法規どおり曲がる地点、あるいは車線変更の30m手前で出すようにしている。そういえば、このウインカーを直前まで出さないドライバーが最近多くなった。
中には曲がり始めてから出すのもいて、何のための方向指示か?と思ってしまうが、ドライバーにもいろいろ いるから、こちらで気をつけなければならない。だが、そうした走行中についてはいいのだが、問題は駐車なのだ。スーパーマーケットや、コンビニエンス・ストアの駐車場に止めたときに、自分ではまっすぐに入ったつもりが、降りてみるとわずかに傾いているのだ。左右のサイドミラーを確認しながらバックしたにもかかわらずだ。
だが、最近良く耳にするアクセルとブレーキを踏み間違えるという高齢者の事故は、僕には当てはまらない。AT車(オートマチック車)にしたときから僕は左足ブレーキにしたからだ。AT車特有の左足が遊ぶことをさけたためだ。
僕は特別運転技術に優れているとも思わないが、それほど下手だとも思わず、極々普通の腕前だと思ってきた。それがここに来て、少しずつではあるが老いが勘を鈍らせているという、そうした現実に向き合わされて、ショックを受けているところだ。
息子が入所している福祉施設の保護者で、今年81歳になる先輩から「身体の衰えから、運転免許証を返納した。」という話を聞いて、そんなに遠くない将来、僕も同じことになるのだという思いに、いささか寂しい思いが湧く。
しかし、マイカーを運転し始めてから50年近く、軽自動車3台を含め7台も乗り継いで、走った距離は優に50万kmを超す(サラリーマン現役の頃一時期、マイカーを営業に使用していたため)だろうから、自分で運転することにもうそれほど拘らなくてもいいのかもしれない。

 

 

ろ向きの話はさておいて、折角の幸せな気分を取り戻そう。
読み始めた本書の主人公は竹原俊和、中学校の教師だ。父・英治が亡くなった。一人暮らしのアパートで孤独死のまま放置された父の住んでいた部屋は、まだわずかにその臭いが残り、案内した大家はその後始末に大変だったことを愚痴る。 その父・英治は「おやど」という大衆食堂をやっていたのだが、口よりも手が早く気に入らない客に暴力を振るい逮捕されると言う武勇伝?もあり、その後俊和とは音信が途絶えていたのだ。そんな父のわずかな遺品を整理していると「遺言公正証書」とタイトルが書かれた封筒があった。
遺言の中身は、「全ての財産を知人・小井戸広美に贈る」とあり、立会いの証人2名の署名もあった。
「小井戸広美」って誰だ? 遺言書にあった住所を尋ねて、それらしき女性のあとをつける。
そんなスタートを幕開けに前半は竹原俊和が、次第にこの女性に引かれていく様子が描写される。二人の関係がいい雰囲気になって行く展開から、心地よさを感じ始めた頃事態は一転する。近年世間を騒がせた事件へと移り、それまでの伏線が妙な感覚でリアルに甦る。「アー、そういうことだったのか!」と。

この中でデートを重ねる俊和に向かって女が、言うセリフに僕ははるかな昔を思い起こす。サラリーマン現役の頃の話だ。僕も時々は女性に向かって軽口をたたくこともあって、用事を頼んだ女性に「○○さん、愛してるよ」なんて言うことも日常の中にあった。
大概は相手も笑って済ませる。まだ、セクシャルハラスメントなどといわれることもない時代だった。ところがある時、「△△さん、愛してるよ」と言ったら、「じゃ証拠を見せてよ」と言われて、僕は一瞬「エッ?」と驚く。
本書の中でも小井戸広美なる女性が俊和に向かってまったく同じセリフを吐くのだ。それが問題をややこしくする発端ともいえるのだ。当たり前のことだが、僕の場合は、その後の展開が小説とはまるで違うから、難しい問題は何も無かったのだが・・・・。

著者は司法書士の資格を持つと言うことで、この中にも竹原俊和の相談相手として司法書士が登場して、いいところを見せている。さて、問題はそう簡単ではなかった。

 

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