Simplex's Memo

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岐阜市は「路面電車」をどう議論してきたか?(その8)

2005-02-27 13:52:29 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
岐阜市議会における議会と岐阜市当局のやりとりを見てきた。
路面電車の存廃に関する議論を見ていくと、岐阜市側の答弁にどうにももどかしいものを感じる。
さて、平成15年最後、12月に開催された第5回定例会はどのような議論がなされたのだろうか。
なお、本文中<質問>は議員質問内容、<答弁>は市当局、<市長答弁>は市長の発言内容をそれぞれ示す。

参考:「岐阜市議会議事録」

<答弁1>※総合型交通社会実験に関する質問に関する答弁
総合型交通社会実験の効果及び影響の把握については、実験前のバスや電車の走行調査と、実験開始後の10月23日及び11月5日にバスの走行時間、路面電車の走行時間、利用者数の調査を実施した。
そして、交通社会実験が定着し交通状況が安定したと思われる11月26日~28日の3日間にわたり、自動車交通量や渋滞の長さ、さらには、バスや路面電車の走行時間調査、利用者数の調査等を実施した。11月21日に開催した第2回の岐阜市総合型交通社会実験評価委員会には、近く実施いたします市民アンケートや残された実験期間中に調査すべき事項について審議いただくとともに、実験開始直後の10月23日及び11月5日の調査データについて説明した。
今後、実験に係るデータが集計でき次第、評価委員会に順次報告し、実験の効果と影響について検証をしていくことになっている。

<質問>
路面電車の実験を含めた今回の総合型交通社会実験は、遅れている本市の総合交通体系の確立のために大きな調査事業の1つであったと思う。その意味からも評価委員会の評価を十分に組み入れ、本市が本来目指そうとする総合交通体系を確立することは急務だと思う。
そこで、理事兼市長公室長に今後の評価委員会の一応の予定と総合型交通体系が我々に明示される時期について尋ねたい。

<市答弁>
今後の評価委員会の日程については、12月末に第3回目の評価委員会の開催を予定し、その場ではバスや路面電車、走行時間結果などの速報値として報告を行うことになっている。
評価委員会については将来における本市の交通政策についても指導いただくと同時に、きちっとした評価を来年3月末をメドに貰うように進めたいと考えている。
なお、評価委員会の報告等については、来年度予定の総合交通体系の策定に生かしたいと考えている。
また、総合交通体系策定の時期については、策定につきましては交通社会実験の評価や総合交通計画に関する市民アンケート調査等を計画に反映し、新たな岐阜市総合計画との整合も図っていくことが必要であると考えている。
また、庁内関係部局や道路管理者あるいは警察等の関係機関との協議、調整を図っていくので、策定の時期は平成16年度いっぱいかかるのではないかと考えている。

<第5回定例会のまとめ>
今回は拍子抜けするぐらい、路面電車に関する議論はなかった。
総合型交通社会実験が終了し、実験結果を取りまとめている最中に議会が開催されたためだろうか。
むしろ、総合型交通社会実験の評価及び総合交通体系策定への反映プロセスといった、路面電車に関連する情報が今回の定例会で明らかになったため、こちらの収穫の方が大きかった。
今回の議会では総合型交通社会実験期間中に「自転車中心のまちづくり」に関する報道がなされたため、こちらの方に質疑が割かれたという印象が強い(本筋から外れるため触れていないが)。

路面電車に関する質問が出なかったから、安心という訳ではない。
既に名鉄が撤退を表明し、存続させるか否か、その指標として今回の実験結果を用いる旨を市長答弁の中で出ている。
今回の議会ほど、「嵐の前の静けさ」という感じを抱かせるものはない。

そして、今回「総合交通体系」策定のタイムスケジュールが明らかになったが、あれから路面電車全廃といった状況に変化が生じている。
果たして16年度(あと一月しかないが)中に出せるのだろうか。

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