Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ジェーン・エア 

2015-02-13 16:57:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


ジェーン・エア(2011)を見ました。シャーロット・ブロンテの有名な小説だとは知っていても読んだことはありませんでした。ジェーン役が好きなミア・ワシコウスカと知ったのがきっかけです。

私の様な未読の方用にあらすじです。
孤児のジェーンは、彼女が家庭教師を務める家の主人と恋におちる。が結婚式の日に、その主人には狂人の妻があり、屋敷内に監禁されていたことを知る。傷心のジェーンは家を出て野をさまよい牧師兄妹に救われる。やがて牧師に求婚されたジェーンは自分の本心を悟り、昔の屋敷に戻ると、そこは焼け朽ちた廃墟と視力を失った主人がいた。狂人の妻は焼死していた。ついにジェーンとご主人は結ばれた。

ミア演じるジェーンは、後見人の叔母に冷たい仕打ちをされて育ったせいか、ずっと無表情なのですが、家庭教師になっただけあり頭脳は明晰らしく発言はけっこう多く饒舌でした。その無表情さが、お屋敷の主人ロチェスターも同じで、二人の会話は本の朗読のように抑揚もジェスチャーもないのが印象的でした。たぶん静かな会話の最中、ふたりは視線を通わせ魂が向き合って見えないオーラは燃え盛っていたのではと想像します。

このふたりが引かれ合ったのは、傷ついた自覚さえ麻痺してしまった似た魂が共感したのかと、「つらい想いをした人は他人の痛みがわかる」というやつか、と思いました。

主人ロチェスター役はマイケル・ファスベンダーで、大変人気があり、私も嫌いではないけれど好きでもありません。ですので、ジェーンが主人に恋するのは、彼の中に暗い影を見て自分と同じものに惹かれたんだろうと思ったわけです。

でも後でジェイミー・ベル演じる牧師に求婚された時に、ジェーンが自分の感情に気づいたように私も気づきました。

ジェイミーは魂も清らかそうでかわいいけど、ファスベンダーのオスのフェロモンにはかなわないよな!と。

私はジェイミー牧師が好きなんですよ~。だけどご主人様の色気が男を知らないジェーンを捕らえたら離さないのは理解できます・・・ジェーンは感情を出さない知性の女性だけれど、なんだやっぱりセクシー系が好きなのね。初心な女はワルい美形に弱いものよ。



と、私は「辛い魂の共振」「文系女もワイルド男に弱い」お話、衣装がアカデミー賞にノミネートされただけあってドレス清楚でかわいかった~、ジュディ・デンチ様は家政婦役にあわない、と自分の中でケリをつけストーリーの解説を読んでびっくり。

小説「ジェーン・エア」では、『ジェーンは不美人。男女平等意識という反骨精神、財産や身分にとらわれず女性から告白する自由恋愛が画期的。』(ウィキより)

むむむむむ・・・ミアちゃん、上にはったポスターでは特にお多福さんみたいでかわいいじゃないですか。不美人ヒロインとは言っても映像化する時はそれなりでないと誰も見ないであろうから難しいのでしょうけど。でも文学史上、『社会に反抗した新しい女性像』として反響を呼んだそうなので、改めてヴィクトリア時代の女性の地位は低かったのですね。そのあたりにはまったく気づかず映画を見てしまいました。

そうするとジェーンは反社会的で美人でないにもかかわらず、身分が上の男性に自分から告白して、数々の悲劇は乗り越えなくてはならなかったものの、最後には結婚する。極端に言うと性格悪くて貧乏な不美人にはシンデレラ・ストーリー?!でも21世紀に見ると、ジェーンは辛抱強くて利発なハンサム・ウーマンでした。しかもミアちゃんですからかわいいし。

2011年版のこの映画が、時代による価値観の差をどう解釈してこの作品を作ったのか知りたいな。


Days and Nights見られない 

2015-02-10 18:34:00 | ベン・ウィショー


米アマゾンさんから昨日届いたDVD「Days and Nights」が見られませーん。
PCだと「リージョン変更」しないとならず、それは5回までしかできないのでしたくないし、DVDプレイヤーだと入れても吐き出されてしまいました?!

ウィショーくんが珍しくアメリカの映画に出演してアメリカ版しかDVDもないので購入したのですが、こんな仕打ちにあうとは思っていませんでした。とほほ。

価格が変更になったからと、購入決算後に差額を払い戻してくれた「米アマゾンさんいい人!」と思ったのに。今さらながら、映画やDVDを日常に見るようになって3年くらい経過して気づくとは!イギリスのだと日本と同じリージョンなので今まで家のDVDプレイヤーが問題なかったということだったのですね。

昨日は、吐き出されて気が動転してしまったので、今日になってから「もしや調子が悪かっただけかも」と、まずイギリスのDVDがプレイされるのを確認してから、改めてDays and Nightsを挿入してみました。そしたらちゃんと画面には「リージョンが合わないのでプレイできない」との表示が表れていました。・・・ハイ、わかりました。

こんなことを知っていたら、米アマゾンではYour Instant Videoという部門があり、配信&DLでデジタル購入&レンタルができるということを調べておいたのに!

と、今さっき発見したそれを、購入するかレンタルするかで悩んでおります。レンタルだと48時間ですが、何回も見るのかどうか見てみないとわからないからなあ。もしレンタルしてから購入すると、既に買ったDVDとも合わせて高額出費になってしまう・・・ウィショーくんの出番は少なそうだし。

トレイラーを見る限り、アメリカが舞台で大家族が集合して揉め事が勃発・・・と、筋も映像も「8月の家族たち」を思い出させるような感じです。






キャプテン・クック探検航海と「バンクス花譜集」展

2015-02-08 00:00:00 | ニュージーランド


キャプテン・クック探検航海と「バンクス花譜集」展』このタイトルを見て、どんな展なのかおわかりになるでしょうか?実は私、先日「ナショナル・ギャラリー英国の至宝」を見にBUNKAMURAへ行ってそのポスターを見ても、さっぱりわかりませんでした。絵を見て「どうもボタニカル・アートの展示らしい」と思っただけなのに、なぜ急に行く気がでたのかと言いますと・・・(しかもこの「キャプテン・クック」と「ナショナル・ギャラリー」は2枚同時にチケットを買うと割引にもなったのに)

夫が「見たい!」と言ったからなのです。

キャプテン・クックとはイギリスの探検家で帆船「エンデヴァー号」に乗って太平洋の島々を探求した人で、ニュージーランドの白人にとっては国の建設に一躍買った英雄のようなのです。これを知った私にとっては「エンデヴァー」はモース警部のお父さんのヒーローで、息子にその船の名をつけてしまい息子には嫌われた船じゃないの?!と盛り上がってしまいました。

またバンクスも、船に同行したイギリス人科学者で、後にロンドンのキューガーデンの園長も務め、オセアニアの植物をイギリスに持ち帰った人として(実はイギリスの利益のために研究したらしいですが)ニュージーランド方面では有名らしいのです。私にとって「美しい庭」という認識だったキューガーデンですが、実は植民地でのプランテーション農業の利益向上のための実験などを行っていたと知り、すごくリアルな存在へと変わりました。

実はニュージーランド大使館は渋谷区松濤にあるので、ワイタンギデー・ランチで苦しくなったお腹をかかえ、松濤のお屋敷街を2~3分歩くと、そこはもうBUNKAMURAの裏手に出ます。ワイタンギ条約は1840年ですが、キャプテン・クックがニュージーランドに到達したのは1769年へとさかのぼります。なぜか東京の真ん中でニュージーランドの歴史をたどる日となりました。

と言っても私が見たかったのはエンデヴァー号の模型だったんですが、展示には、船内の構造のイラストや再現された船室もありました。驚いたことに、食堂のテーブルは天井からロープで吊るされていて、海が荒れてたらブランコのようにユラユラと揺れてしまうじゃないですか?!

ボタニカル・アートも私は嫌いではないのですが、太平洋の島々の植物を、写真のなかった当時の研究資料として描いたものなので、よく見る花が中心の絵はあまりなく、シダ類や上からハシゴ状に垂れ下がって成長する草など地味でした。

面白かったのは、ニュージーランドの先住民族マオリと、オーストラリア先住民族アボリジニの工芸品の対比でした。ワイルドな動物柄などが特徴のアボリジニの作品は、大陸の大きさに比例するのか大雑把で呑気な感じなのに比べ、マオリの作ったものは、繊細でものすごく芸が細かいのです。

マオリの言葉は日本語のように必ず子音と母音が組み合わさっているので響きが日本語に似ています。お腹のことを「プク」というのです。そして身だしなみがキチンとしていることにクック船長は感動したそうですが、なんだか日本人に似ているなあ、と勝手に親近感を感じました。

ところで、ちょっとクック船長についてウィキを読んだら興味深いことが書いてありました。彼は庶民の生まれでしたが、海軍水兵から航海長へ上り詰め、エンデヴァー号で帰国し航海日誌を出版して時の人となりましたが、実は社交界ではバンクスの方が貴族階級なのでクックの数倍も人気があったというのです。うちの旦那さんも「バンクスが見たい」と言ったくらい欧米では有名みたいですが、私などは名前さえ聞いたこともありませんでした。

ショップは、ボタニカル・アート以外にも楽しい品揃えでした。オセアニアの動物、カンガルーやワラビー、キウイバードなどのぬいぐるみもかわいかったし、何と言ってもやはり「エンデヴァー号」グッズに胸がドキドキ。帆船の模型、ブローチやバッヂ、錨の形のフックなど、買ってくればよかったと航海ならぬ後悔・・・

こちらの船プリントのノートブックを買いました。





ワイタンギ・デー

2015-02-07 21:24:00 | ニュージーランド


2/6はニュージーランドではワイタンギ・デーと呼ばれる祝日です。1840年に先住民族マオリ族とイギリス王権の間で条約が結ばれたからです。

内容は、マオリ族が英国女王(当時ヴィクトリア時代)の臣民となり、主権は王権へ。マオリはイギリス国民の権利を得、マオリの土地はイギリス政府にのみ売却できる。というものだそうです。

でも、条約の文書が、英語とマオリ語で意味にすれ違いがあり白人vsマオリの衝突は続いたそうで、やはり、昔からあったのですね、ロスト・イン・トランスレーション・・・・

それはともかく、日本のニュージーランド大使館では毎年この日前後にランチ・パーティーを催していて、今年は家族揃って参加しました。

大使館の門にはスタッフさんが参加者リストを持ってお迎えしてくれましたが、名前をチェックしただけで、ID提示は求められませんでした。アレ?いいの?普通、パスポートとか見せますよね。ゆる~い感じが何ともキウイランドです。

ビュッフェ式とは言え、本格的なお料理がズラリと並んでいました。

・ガーデンサラダ、チーズ風味のクルトンとカリカリベーコン添え
  +フレンチドレッシング
・ベジタブルキッシュ
・マカロニとカリフラワーのチーズグラタン
・ポークパイ2種
・チキンとソーセージ、ピローライスのパエリヤ カレー風味
・ラム肉のシチュー

ポークパイはイギリスと同じでどこのカフェやスーパー、コンビニに行ってもある定番メニューです。現地に住んでる時は、そんな「どこにでもある感」と高そうなカロリーのせいで、あまりありがたみはないんですが、日本では見かけないので皆パクパク食べてました。しかも大使館のシェフの手作りですから、クラストもサクサクして美味しかったです。しかし、これまた現地では家庭料理の定番、マカロニチーズも懐かしくてパクパク食べてしまったので、パイのおかわりはお腹が苦しくてできませんでした。

しかしね、デザートにパブロワが出て来たので、急にお腹に余裕ができてしまったのです、何とも不思議。



パブロワはニュージーランドのオリジナルお菓子とのことですが、私は1度も食べたことがなかったのです。写真のは「小さいパブロワ」だそうで、本来はバレリーナ/アンナ・パブロワのチュチュのように大きいのだとか。メレンゲを焼いてクリームとフルーツソースをかけたお菓子です。

これも美味しかったのですが、もうひとつの、写真ではもうほとんど写ってない左側のボウルに入っていたのが、カスタードにクリームとキャラメルソースをかけたもので、そちらの方がまた美味で、あんな美味しいカスタードはイギリス以外で食べたことがありませんでした。ワイタンギ条約でニュージーランドの人が女王の臣民になったことで、こんな美味しいカスタードも伝わったのかしら。マウイの人も食べたかな・・・

おみおくりの作法

2015-02-06 17:30:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
いい映画を見ました!「おみおくりの作法」です。

主演のエディ・マーサンは、実は「ワールズ・エンド/酔っぱらいが地球を救う!」「戦火の馬」「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」など私も見たはずの映画に出ていたというのに、予告編を見てもまったく思い出せませんでした。

『ダウントン・アビーにでも出てきそうな変わった顔だなあ』と思ったけど見当違いも甚だしく(カーソンさんかベイツさんの弟役でもあったらピッタリだと思うのですが)ダウントンに出てたのはアンナことジョアンヌ・フロガットの方でした。

失礼にも記憶に残らない役者さんだったのに、この映画の予告編を見たら気になって仕方なくなってしまい、見てきましたよ! 



東京ではシネスイッチ銀座のみ。今時ネットでチケットも買えなければ座席もとれないという不便さにふさわしい、手作りのディスプレイがかわいらしいです。この墓石もスタッフさんの工作なのでは?

大ヒット上映中とのことで、30分前に着いたら50人くらいの列が。おかげで席は前から2列目の、しかし真ん中を買いました。

実はこれがよかったのです!
オリジナルのタイトルは「STILL LIFE」、パンフレットの監督の言葉によると「静かな映画を作りたかった。小津安二郎を意識した。」とのこと。主役のジョン・メイは几帳面な性格、彼の生活自体が静かであり、英語ではStill Lifeは「静物画」の意味なので動きの少ないスクリーンから観客に何かを読み取ってもらいたかったんじゃないだろうか。

私が映画館の前の席で何が嫌かって、カメラがぶんっっと早く動いた時に流れる映像で、乗り物酔いのように気持ち悪くなってしまうのです。しかし、この映画は動きがゆっくりなのでそんなことも起こらず、視界いっぱいの画面をじっと見つめる楽しさがありました。

主人公のお片づけの大好きな几帳面な生活がデザインのように美しいのは、「シングルマン」を思い出しました。(あの映画では主人公が自殺する前に死んだ自分が葬儀に着る服と小物一式をきちっと並べていたのが印象深かった)

さてお話は、ロンドンの地方公務員ジョン・メイ(44歳・独身)の仕事、独りで亡くなった人の親族や知人を探す旅が中心です。イングランド内を電車や長距離バスで移動しても、行き先の地名を知らなかったので、私はロンドン周辺の南東イングランドだろうと勝手に思ってました。買ったパンフレットを開けたら地図が載っていて、北はブリテン島の真ん中あたり、西はなんとイングランドの西の先端まで行ってました。その景色の奇麗なこと!

でも短い旅なのですぐジョンはロンドン/ケニントンに帰って来て生活と仕事をします。ケニントンはロンドン南部の町で地下鉄も通ってるしゾーン2で便利です。しかしそれほど積極的に住みたい町でないのは、治安の悪いことで有名なエレファント&キャッスルとブリクストンに挟まれた位置かと思います。映画でもジョンが同じ道を歩く場面が繰り返され、移民の住人や彼の住まいでもある公営住宅が映し出されます。つまりロンドンと言っても私達日本人が憧れる世界でもなんでもない「貧乏でつまらない町」です。夏目漱石もこの町で鬱になってます。

でもね、この映画を見たら、変な顔のエディも、汚い住宅地も、毎日同じメニューの「ツナ缶とトースト1枚とリンゴとお茶」のディナーも愛おしくてたまらなくなりました。

質素な生活も、ここまで整然としていると美しく、物にあふれたわが家を振り返えると「私が明日死んだら私物を人に見られてなんと恥ずかしいことか」と思います。家の片付けをしたい人にもぜひお見せしたい。(笑)

1990年代の終わりくらいからロンドンはバブルになり労働者階級も衣食にお金とエネルギーをかけるようになってくるんですが、その前の、物がないなりの美しさがあったのが私の好きなロンドンでした。もうあれは過去のものと思っていたけど、またそれを見られるとは、やはり普通の人の普通の生活を描いたようでいて一種のおとぎ話なんですね。

監督によると「物語が進行してジョンが人に出会い、それまでの単調な生活(彼はそれが好きだった)が変わり始めると画面に色が増えて行く」とあります。それで思い出すのは「ベルリン/天使の歌」で、あれも感覚のない天使の世界はモノトーンで、肉体の感覚を持つ人間の世界はカラーで描かれていました。

後半、ジョンがよく買い物に行く地元の雑貨屋さんでさえカラフルに見え、よくある犬の絵がついたマグカップもかわいく見えました。あのマグを劇場のショップで売ればいいのに!と思ったくらいです。

静かな前半からスクリーンに見入ってしまいましたが、脚本がよくできているので結末をふまえてもう1度見たいです。東京の場合、劇場のお知らせには2/15,2/21とトークショーが予定されているとあるので、もう1回行けるかなあ。




追記:あまりに気に入ったので珍しくパンフレットを買ったのですが、公式サイトの「作品情報」でもほぼ同じ内容が見られます。



追記2(2/13):1週間後の今リピートして来ました。結末を知った上で見たら、初回で目に入らなかった小さいもの=道の名前、ジョンの鞄の仕様、出て来る色々な人の部屋のデティール、ジョンが立ち会った人々の個性と教会のスタイルのデティールなどを見ることができました。

が、大切なことは初回でちゃんと見ていた。1番感動したのはエディ演ずるジョンの表情で、ほぼポーカーフェイスを通すのだけど、幸せな気持ちの時は顔が紅潮して、ただでさえ丸顔なのだけどパンパンに頬がふくらんでいい顔をしているのです。若い女性や子供相手に見せる社交の笑顔とはまた違う、ひとりでいる時の笑顔は顔が輝いていました。

ところで、公式サイトのコメントにも出ている「衝撃のラストシーン」なしにはこの映画の感想は本当は書けないんです。・・・でもこれから上映予定の映画館も多いので、やはりまだ今日も書かないでおきます。ああ辛い






この海外ポスター、シュルレアリズムみたいですよね