正統派の「アーサー王物語」を読んでおかないとイギリス映画やドラマの引用についていけないし、BBC「マーリンの冒険」がどの程度原作を変えているのかわからない・・・
と思って早数年、ついに2時間強ですむ「とりあえず映画」でズルすることにしました。
伝説なので、そのつまらないことは・・・
想像通り。イギリス人がブリテン島に住む正当性を主帳するための作り話というのが一般説ですが、同じような伝説でもよっぽど日本武尊の話の方がおもしろそうと思うのは私が日本人だからでしょうか。
湖の乙女から差し出された最強のエクスカリバーの剣と聖杯を手にしたアーサー王の何がすごいのか、さっぱりわかりませんでした。
ウーサー・ペンドラゴンがマーリンの魔法で人妻を横取りして生まれたのがアーサー、そしてアーサーが異母姉のモーガーナをだまして産ませた実子モードレッドと相打ちで死ぬとは。。。
女性がみなケルトの踊り子か魔女、騎士道精神とかいいつつ美女に弱い男ばかり、怪しげな洞窟や宮殿の后の部屋か戦場の連続で、
北欧などの神話を参考にしたのと、「アーサー王像」が形作られた14世紀ごろの価値観が混じって、
そして映画がつくられたのは1981年、1977年のスターウォーズ路線なのかスペースオペラ風のファンファ-レで王の物語が演出されて、なかみのなさを雰囲気で繕ってた感がありました。そもそも伝説なので、アーサー王の人間性とか偉業、騎士たちの活躍は言わずもがなの前提かも知れませんね。
たぶんマーリンもアーサーもちっとも好みじゃないオジサン、オジイサンなので2時間強の我慢大会。
鑑賞が楽しいのが若きヘレン・ミレンさまのモルガーナ役と、その息子モードレッドを演じた俳優ロバート・アディ。ルイ14世のような黄金の鎧兜を身に着けた超絶キザな若者なんですが神話の神のようなルックスがピッタリでね。残念なことに若い時のジュリアン・サンズにも似ていると思ったら劣化ぐあいもジュリアン・サンズそっくり。本当に残念なことには若くしてお亡くなりになっていました。
彼の神々しい存在に当時心を奪われた乙女は多かったらしいです。
モードレッドは「マーリンの冒険」でもかわいい造形で登場してましたが、アーサーと姉の子という神話の世界だと純血種みたいな存在でしょうか。
とんだケチをつけましたけど、円卓の騎士の話でもあるので、鎧兜と戦場シーンが好きな方にはまた別の魅力なのでしょう。
とりあえずは、本家のアーサー王は真剣に話を追うものではないことだけはなんとなく学びました。
BBCマーリンすごい。
>BBCマーリンすごい
全く同感です!ターゲット視聴者層が若い人向けなので観ない人は観ないけど、名作だと思います。
アイルランドのドルイドをストーリーに組み込んだことで奥行きが出ました。
太古の魔法の使役者で今は弾圧された人々の2つの選択肢。受け入れられて共に生きる道とやられた事をやり返す復讐の道。
プランAマーリンとプランBモルガーナ
モルガーナを絶対悪とせず、闇落ちするプロセスを描いたのも教育的です。
マーリンの目標は達成されたとはとても言えないエンディングですが、人はいつも道半ば。目指す方向が分かっていても、そこにいつ辿り着くかは分からない。とてもリアルだと思いました。
ファンタジーは暗喩の文学で、そこにリアリティがどれだけ投影されるかが面白さです。
掛け合いのコントも楽しく、大きいお友達にはBL要素のサービスもあり、永遠に終わらない青春を閉じ込めたような多幸感。
そしてそこにコリンモーガンを搭載すると、名作を超えて傑作の出来上がり。
ゲースロは一度観れば終われますけど、マーリンは終われないんですよ〜
>>ドルイドをストーリーに組み込んだことで奥行きが
確かに!中間にドルイドがいるので魔法使いが人間の延長だという感じが強いです。
>>モルガーナを絶対悪とせず、闇落ちするプロセスを描いた
モルガーナは伝説の中でさえ魔女狩りにあった感じでしたもの。
騎士や王に対して女性たちは美しい所有物か言うこと聞かない女は魔女、みたいな。
そんな価値観はさすがに21世紀には通用しないところを
うまく伝説上のキャラクターを使って話を組み立てましたね。
アーサーやマーリンの名前なくしても成り立たないドラマなんですよね。
>>人はいつも道半ば。
マーリンの冒険は現在も続いている・・・アーサー王の復活を待ち続ける姿に撃ち抜かれました。
もともとの伝説がそうですけど、イギリスの謎「ストーンヘンジ」や
「グラストンベリー」=アヴァロン説にもうまく結びつけ、
現実の世界にマーリンたちを置いたエンディングでイギリス人の愛国心も
私たち外国人の英国愛も強化されました。
>>ゲースロは一度観れば終われます
別の方にオススメいただきながらも見たことがありません。
どうしても出演俳優さんによってモチベーションがはっきりと分かれてしまって。。。ドラゴンは魅力的なんですが。
「エクスカリバー」、私も大昔に義務鑑賞しましたが、つまんないですよねえ~。でも、アーサー王伝説が専門だった私のゼミ教員にいわせると、かなり伝説に忠実に作られた映画だそうですよ。つまんないものはつまんないですけど、「マーリン」がどういうふうにうまくアレンジされているかを知るためにも、ある程度オリジナルをおさえておく必要があって、こればっかりはしようがない。ふうう。
>>アーサー王伝説が専門だった私のゼミ教員
先生は何が引っかかって本家アーサーをご専門にされたのか伺ってみたいです。
>>かなり伝説に忠実に作られた映画だそう
そうでなければたとえアマプラで299yenでも一生見なかったでしょう。
>>ある程度オリジナルをおさえておく必要が
ふうう。そうでないと色々と英国沼を渡り歩くのに不都合ですからねぇ^^;
聖書、シェイクスピア、シャーロックホームズ、アーサー王。
ご覧になったんですね!
私は観たいものリストに入れたままコリンの作品を追うのに忙しく
なかなか手がつけられずにいました。
そうですか、耐えたのですね。
可愛らしいマーリンを観てしまったので
おじいさんのマーリンは知らなくていいかなとは思っていましたが
この映画はあとで体力のある時に覚悟を持って観ることにします。
hedgehogさん
>かなり伝説に忠実に作られた
そうなんですね!ありがとうございます。
それならなおのことある程度の本筋を知っておいた方がいいかなと思いますし。
そして私も観た後に
>BBCマーリンすごい。
と、言いたいです(笑)。
やっと重い腰が上がりました^^;
理想はこの映画の原作本を読もうと思っていたんですけども、
本は絶対に途中で寝てしまいいつでも読める安心感から放置してしまうので
レンタル期間の限られている(アマプラ)こちらに!
>>おじいさんのマーリン
この映画のジジマーリンは、高齢者なのに妙に元気でした。あと声が好みじゃないのも
残念ポイントが大きく、改めて俳優さんの要素に声は大事だなあと。
>>この映画はあとで体力のある時に覚悟を持って観る
社員研修を受けるような心構えで、楽しもうと思わないのが覚悟のポイントです。
>>>BBCマーリンすごい。
と、言いたいです(笑)
是非是非!
>俳優さんの要素に声は大事
それ大きいですね~!
コリンに惹かれたのは彼の声にも魅力を感じたからです。
特にインタビューやナレーションの時などの低音の落ち着いた声が心地いいです。
そして役の上ではいろんな声に変わるのも!
>何が引っかかって本家アーサーをご専門にされたのか
確かワーグナー好きが高じてアーサー王伝説にハマったとか言ってたような。ちなみに私はいまだにワーグナーのオペラにはついていけません(オペラ全般についていけてないと言ってしまえばそれまでだけど、「椿姫」とか「リゴレット」みたいにわかりやすく泣けるのはちょっと好き)。
>なおのことある程度の本筋を知っておいた方がいいかなと思います
「ある程度の本筋」を手っ取り早く知るなら、私と例のゼミ教員のおすすめは岩波少年文庫の『アーサー王物語』です。学識ある研究者による訳本で、変な脚色がない分、アーサー王伝説の要点をきちんとつかめます(だからって読んでおもしろいとまでは言いません――ぶっちゃけ大しておもしろくありませんでしたw)。
でも、ググってみたら絶版……。
https://www.amazon.co.jp/アーサー王物語-岩波少年文庫-3057-R-L-グリーン/dp/4001130572/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=岩波少年文庫+アーサー王&qid=1610261917&s=books&sr=1-1
>>低音の落ち着いた声が心地いい
眠れない夜にその声でささやくナレーションがあったら
安眠できそうです・・・^^
ワーグナーからのつながりですか~?!
映画「ルードヴィヒ」とドラマの「モース」くらいしか知りませんが
神話の世界で沼がつながってるんでしょうか。
はい、私はもっとオペラに疎いですが「椿姫」だけはバレエにもあるので
あらすじだけ知ってます^^;
>>岩波少年文庫の『アーサー王物語』
少年向け!知能指数的に適切なおススメありがとうございます~。
絶版・・・中古で10000yenのお品がネットにありましたが、
我らが味方、図書館にあったので予約しました。
さすが、岩波、図書館もこういうのは処分しないでほしいですね。
(以前「メリーポピンズ」をリサイクル本として放出してた)