劇場内ではイギリスの割に厳しく撮影禁止。それでも俳優が出る前には撮る人がいて、私の隣のカップルも自撮りしてました。というのも外側はモダンな割に内部はさすがの200周年の歴史を感じさせる豪華さだからです。
下の写真は公式ページから。
このステージを囲む時代がかった装飾の前にも「50年代アメリカの庭セット」が作られているのが、ないものを観客に想像させるモダンな手法の逆で、あるものをなかったことにさせる手法もあったか!と感心しちゃいました。
ストーリー;
戦争特需で工場長として成功したジョー(ビル・プルマン)の次男ラリーは戦争以来3年行方不明となっている。今は次男のフィアンセだった隣の家の娘アン(ジェナ・コールマン)は生き残って帰ってきた長男クリス(コリン・モーガン)と相思相愛で結婚しようとしている。しかしジョーの妻ケイト(サリー・フィールド)は次男も生きて帰ってくると信じ、皆にもそう信じさせるよう強要、つまりアンは元の恋人を待つべきだから二人の結婚はありえないと反対。
弁護士であるアンの兄も戦後以来初めて故郷に戻り、彼から次男を含む米軍の若者21人のパイロットが帰って来れないのは、実はジョーの工場が出荷した欠陥品の部品のせいで飛行機事故が起きたと一家は責められる。彼とアンの父は今ジョーの罪をきせられて投獄されていることも。
戦争中のことで、工場の利益を守り家族のためにしたことだという父ジョーを許せないクリスは、ジョーに自首するよう怒りをぶつけ、そしてアンが受け取ったラリーからの手紙によってラリーの死の真実が明かされる・・・
もういかにも平和ボケてそうなアメリカの田舎町の裏庭で、ジョー一家とご近所さんたちの会話から、田舎の人間関係が表面は平和な影で実はドロドロしていたことがバレていき、ビルや隣の奥さんスーなどが田舎者を張ってる人が実は計算高いことがわかってきます。
そんな息苦しい空間で、ひとりイノセントなのがクリス!
彼は隣人の医者の本当に望む道を励まして奥さんに給料が減るのに余計なことを!と疎まれたり、
「お前は自分が好きなら相手も自分のことを好きだろうと信じてるから、人の憎しみをわからないんだよ」と母に言われたり、
心が純粋な天使ちゃんで、コリンがそれは上手に演じていました!
やっぱりなあ!!本番の写真が公開された時、コリンだけ裸足!というところに目が釘付けになったのですが、
あれは心が天真爛漫の裸だということの演出なんだ!と確信!
他の登場人物たちは全員本心を隠しているところがあって、その上に各自のキャラを出しているのだけど、コリンのクリスだけは子供のまんまで正直な世界に住んでいます。
それが、4人の主役たちが話している(特に口数が多いのは父母)の聞いているクリスの表情の演技でわかるんですよ。だからセリフをしゃべている人を視界に収めつつコリンを見るので視力が総動員。
この辺りを、ナショナルシアターライブのカメラがどれだけ拾ってくれるかが大きな案件でしょう!喋る人を映さないわけにはいかないし、喋る人と聞く人と同時に2画面でしてほしい。
しかし私は2回鑑賞したうち2回とも1階席の4列目だったため、目の高さがコリンの足、って感じなのはいいけど前の人が邪魔で上半身しか見えなくなったり、裸足を目で追っても追いきれずに腕の血管で止まる、と静かに目だけでジタバタしていたのでもうすごいストレスでした笑
しかも若いふたりは愛を語るのに地べたに座り込むこと数回、ステージの前方に来てくれてドキドキなのですが、そこでも役者が座ると前列の人たちの頭の間に埋もれて、もう私は右に寄ったり左に寄ったり忙しかったです。後ろの人のことなんか考えてられません。
この芝居の前半の平和を保っていたのは、ジョーの罪をみんなで知らないふりをする、代わりに投獄されてるアンの父のことを忘れるという共通の思いだったんですが、
それを破るのがアンの隠していたみんなの知らない秘密。
その秘密を3年も自分だけ知っていたアンはやはり強かった。ジェナが採用されたのは、サリー・フィールドが小さいからバランスいいように、というだけじゃなかったのね笑
ついでに言うとビル・プルマンってそんなに背が高いと思ってなかったのに、コリンよりも高かったのが意外だった。
1回目に見た時は、コリンとジェナがアメリカ〜ンな感じで喋るのに違和感感じたけれど、お父さんとお母さんがアメリカンだし、作品がアメリカの戦後、ってところで外せないのかな。同じアーサー・ミラーの「るつぼ」をベン・ウィショーとソフィー・オコネドはアメリカ風に話さないで演じたので、必然性とは・・・と考えました。
2回目の時は慣れたのと少しだけ原作を読み返して臨んだので英語がもっと聞き取れて気にならなくなりました。
日本では10月にナショナルシアターライブで見られるので最後までネタバレはしないでおきます。
プレミアでの主役たち。
千秋楽のチケットが高かったせいなのかよくわからないけど、2回分のe-チケットが同じメールで送られてきたな〜と思ったらよくわからない数枚のチケットも入ってて、直前によく見たら、プログラム、シャンパン、アイスクリームのバウチャーでした。
1回目鑑賞の時、まだそれに気づいてなくて、プログラムをお金で買ってしまいました。でも2回目の直前に気付いたのでアイスクリームはいただきました。
「洋ナシとエルダーフラワーのシャーベット」という珍しい味のがあったので思わず手に取ったら売り子のお兄さんに「絶対美味しいよ」と言われました。
シャンパンは飲みたかったけど、短期滞在の夜は時差で睡魔との戦いになるのでここでいい気分になったら一巻の終わり!と自粛しましたとも・・・
「みんな我が子」、私は原作戯曲を読んだことも芝居を見たこともないのですが、
>ひとりイノセントなのがクリス!
キターーーーー!!! ありがとうございます日本での上映をますます首を長くして待たせてもらいますっっっっ。ですが、
>ナショナルシアターライブのカメラがどれだけ拾ってくれるかが大きな案件
それは言える……生の舞台と違って、一人の俳優だけを執拗に追い続けることはできないからなあ。ま、日本語字幕もつけてもらうんだから、贅沢を言ってはバチがあたりますけど。
>「洋ナシとエルダーフラワーのシャーベット」
それもまた素敵♡
同じ舞台を観ても、人のよってこうも観点が違うとは!
私のレポといえば、ひたすらコリンの外見を絶賛するばかり(笑)。
クリスはとってもイノセントなんですね!
コリンにぴったりの役どころです!
そして、素足演出はイノセントさの象徴!
なるほど~、鋭い視点です!
私もコリンがステージにいる間はずっとコリンにロックオンしてたので、
他の俳優がしゃべっているときのコリンの表情は全て網羅してます(笑)。
生観戦だとこういうことが出来るけど、NTライブのキャメラはどこまで映してくれているか、確かに気になりますね。
少なくとも、NTライブは前の人の頭で見えないということはなさそうですが(笑)。
ビル・プルマンはコリンよりも若干背が高いですね。
私はビルとコリンの体型差に萌えました。
アメリカン・アクセントについて、「るつぼ」のベン・ウィショーかどうか定かではないですが、ベン・ウィショーが何かの舞台で、もともとはアメリカン・アクセントでセリフをしゃべっていたけど、しっくりこなくて途中から素のアクセントに変えたとかいうエピソードをネットで拾い読みしました。
ベンはアメリカン・アクセントが苦手で、どうも入り込めなかったみたいで。
ベン・ウィショーは何でも器用にこなす俳優というイメージを持っていたけど、苦手なこともあるのね~なんて思いながら興味深く読んだ記憶が…。
ベンのことは私よりもしましまさんのほうが全然情報通なので、ちょろっとネットで見かけただけの情報だし、うろ覚えなんでアレですが…。
千秋楽のチケ代が高かったのは、特典付きだったんですね!
せっかくシャンペンまでついていたのに、泣く泣く自粛は残念…。
確かに、お酒を飲んで睡魔に襲われたら、それこそチケ代がもったいない話です。
シャーベットは冷たいから、逆に目が覚めてよいかも!
>>原作戯曲を読んだことも芝居を見たこともない
読書通、芝居通のhedgehogさんでもですか!
てかイギリスの俳優周りをウロウロしていて
こんなにもアーサー・ミラー作品が進出しているのが不思議でもあります。
>>日本語字幕もつけてもらうんだから、贅沢を言ってはバチ
ほんとですね、ナショナルシアター周りとはいえ、
よくもこの作品を取り上げてくださいました。
よくある手としては話し手と聞き手を一緒に撮っちゃうんでしょうが、
このお芝居、話し手から遠いところでコリンが変顔してたりするんで
ナショナルシアター専属カメラマンにすがるしかありませんっ
やっとやっと舞台の話になりお待たせしてすみませんでした^^;
>>ひたすらコリンの外見を絶賛
いや〜やはり最前列鑑賞はそうなりましょう!
ど迫力でまず目が半分潰れるというか・・・それに視線も近くだと
1点に焦点合わせたら他はほとんど見えなくなりますとも。
>>コリンにぴったりの役どころ
私も原作を読んだだけではこのキャラがつかみきれませんでした。
やはりコリンの演技あってこそ、生き生きとした純真無垢なクリス像がわかったのだと思います!
あと、隣のスーやケイトのセリフをカンニングすると実はそこに書いてあリました。
>>NTライブは前の人の頭で見えないということはなさそう
期待してます、大いに!頼むからクリスの全身くまなくお願い。
>>ビルとコリンの体型差に萌え
ですです!!
あれもお父さんと息子の世代の違いを見せつけてますよね。
見ただけでわかる。
>>「るつぼ」のベン・ウィショー
そうです、本読みでは皆アメリカン・アクセントで始めたけど、
途中でそれを止めて自分のアクセントで演じることにした、と監督と
ウィショーさんが言っていたと思います。
>>ベン・ウィショーは何でも器用にこなす俳優
それで思い出しましたが、最近「英国スキャンダル」でヒュー・グラントが自分の演技を
「こんなもんでいいかな・・・」と思ったものの「いや、ベン・ウィショーはもっと演ってくる」
と思い直して役を鍛えたと何かのインタで言ってたのが私の中でヒットしてます。