ラティガンが実生活で恋人が亡くなった後に書かれた自叙伝らしきこの作品、愛する人、送りたかった人生が去っていく過程の悲しみと喪失感が伝わってきました。
さらに、自分で犠牲を払ってまで(=夫を裏切って)選んで手に入れようとしたもの、しかもそれが高尚でもなんでもない、むしろ恥ずかしいものであると理性ではわかっていても選んだのに、それが叶わなかった惨めさも。
おそらく、同性愛者だったラティガンが、エリート排出校ハロー卒業という環境で、彼が当時違法だった愛に生きようとしたにもかかかわらず報われなかった哀しみが反映されていると思います。
しかし、見終われば大変普遍的な感情をよくも描いてくれました、となるものの、
①主人公の女性が夫を去って恋人との愛もうまくいかなく自殺をする、
②化粧崩れしてスリップ1枚のあられもない姿の女性が主役・・・
という2点で見るのにちょっと抵抗がありました。
しかしそれは私の知識不足によるものだったみたいで、実際の主人公へスターは、私の想像した修羅場の半狂乱の若くない女性ではなく、修羅場でも知性が働き平静を装える(そこは感情を出さないイギリスですねもう全く)キャタクターでした。
牧師の娘でオックスフォード出身(大学を出てるかは不明だけど、とにかくそういう保守的な街)のいわゆる中流の女性で、当然教養もあるし気立ても良いがプライドもそれなりの女性だったのです。
しかもあのスリップですが、日本人の私から見ると下着同然なんですが、私の義理の母もあのタイプの衣服を寝巻きにしていて、それが古くなると義理の父が新たにほぼ同じようなものをプレゼントしたんですよねー
私にしてみたらあれ着て寝るのは女優さんというイメージなんですが、少し前の西洋女性のパジャマとしては、普通のアイテムみたいです。
そういうことを少し知ってる私から見ても、どうも日本人的基準だと、淫らな女性みたいなイメージ持ってしまってました。ごめんなさい。
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