Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ハドソン川の奇跡 ソフト記念イベント

2017-01-26 18:02:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


「ハドソン川の奇跡」(クリント・イーストウッド監督、トム・ハンクス主演)のブルーレイ&DVD、配信の発売とレンタルが昨日から始まり、

その記念イベントとして、トークショー&試写会がありました。

秋の劇場公開に見た私は、事実の映画化、ヒーローと呼ばれた機長の光と影、というシリアスな内容にもかかわらず、(もちろんスリリングで考えさせられることのある大変いい映画としても楽しみましたが)

それよりも何よりもラジオドラマ「キャビン・プレッシャー」で培った知識が役に立った!

と、ラジオでは想像するしかなかった光景も見られ狂喜したのでした。

キャビン・プレッシャーでの小型機のガーティーよりは大きい飛行機でしたが、ジャンボではないアメリカ国内線の操縦室で、
離陸前の機長と副操縦士の対話によるチェック、
バードストライクそのもの!
「メーデー、メーデー」から始まるそして管制塔との緊急時の会話、
APUや緊急時のマニュアル、
事故でも機内に最後まで残るキャプテンの姿(帽子はかぶってなかった)
「プルアップ!」「プルアップ!」とうるさい自動音声、
公聴会で見るフライトシュミレーションまでが

トム・ハンクスとアーロン・エッカートには悪いけれど、機長と副操縦士のシーンではマーティン(ベネディクト・カンバーバッチ)とダグラス(ロジャー・アラム)の顔が脳内変換されていました。


さて!
イベントは映画評論家・有村昆氏と航空評論家の杉江弘氏の対談でした。

杉浦氏は、ジャンボ機の世界最長飛行記録を持つ元JALの機長、ということで、2009年のUSエアウェイズ1549便不時着水事故がいかにサリー機長によってすごいことがなされたかのお話を拝聴できました。

まず、

「両エンジン停止」自体が想定外の事故、飛行訓練マニュアルがないのだそうです。

ところでバードストライクにもいろいろあり、スズメなどの小さい鳥だと当たった後に焼き鳥の匂いがするそうです(笑)。これがカモメやトンビくらいの大きさになると飛行機にダメージが出てくる。そしてこの事故で当たったのは、翼を広げると幅1.5mにもなるカナダガンという大型の鳥の群れ。

エンジン1基停止でも、フライトシュミレーションでの訓練のQRH(緊急手順)チェックリストは、高度10000mで速度がある前提のマニュアルで、

今回の事故ではNYラガーディア空港を離陸して上昇中の、高度わずか2800feet=853m、このような状況での訓練はないのだそうです。

水上着水じたいの訓練もマニュアルもない。

機長はエンジン停止時の手順では本来15番目に来るAPUのスイッチをすぐ入れたが、この事故では着水まで180秒しかなかったから15項目も順番に試す時間はなかった。これは常に考えてないと思いつけないであろう。

操縦系統はバッテリーがあってこそ働くのであり、APUによって補助エンジンの電源が確保できた。

さらに着水時には、水面に片羽根だけが先に着くと機体が横転してしまい、着水後に機体がバラバラになってしまうので、水平に降りなくてはならない。

そして機体の前方が少し上を向いた姿勢で降りる、つまり飛行機のお尻から降りないといけない。万が一頭から突っ込んだら着水できない。

というように、杉江さん曰くプロのパイロットが成功率を上げるべくとった行動の結果なので、「奇跡」とは言わないで欲しかった。

ただ、事故後アメリカでは機長の名前「SULLY」と「奇跡」という文字がメディアに飛び交ったそうです。日本ではサリーでは馴染みがないということで、放題には「奇跡」の方をつけたとのこと。


このような元プロの機長さんの説明を頭に入れてから、

映画の最後の公聴会で客室レコーダーを聞く再現フィルムシーンを見ると、エンジン停止確認後に、管制からの指示なしで、副操縦士がマニュアルを試しながらも、機長はラガーディア空港とテターボロ空港に着陸も考えるが高度・速度・距離から目視で不可能と判断、川へ着水したおかげで大都会NYの市街も乗客も助かったんだなあ、と実感できたのでありました。




ちなみに、APUの素晴らしい説明がキャビン・プレッシャー0405 Xinzhouにありますので、抜粋しておきますね。ああ、懐かしいなあ・・・

DOUGLAS: The APU starter motor's down, and if we shut it down, we can't start it back up again. APUの始動モーターが落ちてるから、もしシャットダウンすれば、もう起動できない。

ARTHUR: Oh, no. What's the APU? ええ~、そんな。  APUってなに?

MARTIN: Auxiliary Power Unit. オグゼラリー・パワー・ユニット。

ARTHUR: Oh, no. What's the Auxiliary Power Unit? そりゃ、ひどい。 オグゼラリー・パワー・ユニットってなに? 

MARTIN: It powers the plane when the engines aren't on. 動力を飛行機に供給するんだ、エンジンがかかってない時に。









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