1965年のカトリーヌ・ドゥヌーブの出ている映画を見ました。実は最近、髪が伸びてセミロングになったため、ちょっとレトロな60年代風ファッションに凝っており、そのお手本がカトリーヌ・ドゥヌーブなので見る気になったのです。
しかも舞台がロンドンで、彼女はポーランド人の役ですが全編英語です。60年代のロンドンも見たかったですし。
ところがそんな邪な動機は、サイコ・ホラーという本作にすぐに裏切られます。
設定は、主人公のキャロルは姉と二人暮らしで、姉が妻帯者と付き合いだして毎晩その男が泊まりに来るため姉の喘ぎ声やその男の髭剃りや歯ブラシが気持ち悪くて仕方がありません。でもキャロルは気が小さいので「私の問題よ、関係ないでしょ」という姉に逆らえないのです。
キャロルは内に篭る性格のため、その悩みを人に言えず精神が壊れて行き、しかもとびきり美人なので男に言い寄られ、妄想と現実に苦しめられ殺人を犯してしまうという、暗〜〜〜〜〜いストーリー。
これ、現実だったら、キャロルには相談に乗ってくれそうな同僚もいたし、職場で様子のおかしいキャロルを叱るどころか心配してくれる経営者の女性もいたので、なんとか乗り切れないこともなかったのでは・・・と思うのですが、
この映画はどうしてもカトリーヌ・ドゥヌーブの美しさ、それに心を奪われる男は当然、そしてその美女は誰の男にもならず乙女のまま自己破壊して欲しい・・・という勝手な男の理想&妄想を映像化したのではないか、と私には思えました。
この時実はカトリーヌ・ドゥヌーブはまだ22歳でロジェ・ヴァディムとの子供を産んでおり、そんな現実は置いといて、美女の存在はかくあるべきというパワーを男性映画人に与えたドゥヌーブすごいなと納得しながら彼女のドアップ、(映画館であの目をスクリーンいっぱいに映したいと思ったのでしょうね、そうでしょうとも)手先、フラットの中を歩き回る素足を堪能いたしました。