「みんな我が子」がアンコール上映に入っていたので、見納めに池袋シネリーブルに行ってきました。ありがたい企画の席は一つでも埋めねばという謎の使命感がむくり。
日中は上映があるとはいえ、緊急事態のせいなのか、それともNTライブがサービスデーでも3000yenから割引のない特別上映だからなのか、180人収容の広めの劇場に観客は15人くらいでソーシャルディスタンスもとれていました。ほっ。
コリンはピュアで隠しごとのできない理想主義的な工場オーナーの息子クリス役。
町の人は誰でも知っている家族の秘密を、町でただ一人知らない鈍感なお坊ちゃんでもある。
ロンドンの舞台とNTライブとで何回も見ているので筋はよ〜くわかったつもりだけれど、今回は、見た人によって票が分かれる「クリスとアンは結婚するのか」に着目して見ました。
問題は、クリスの父ジョーがアンの父に冤罪をきせ、アンの一家を追放した罪悪感と、
弟は父の罪を背負って死んだのに自分が生き残った罪悪感の二重苦にどう対処できるか ー かと。
劇中、父の罪を知ったクリスはアンと結婚はできない、と言い、一人でよその町へ行こうとします。ここで「自分も町のみんなと同じご都合主義の生き物だ」と認めて。理想主義からの変わり身が早い。
その後、アンが出した弟ラリーの遺書により、弟が死んだのは父のせいだと家族全員が知ってしまい、また一気に事情が変わる。ジョーは自殺してしまう。
ここでクリス母が「子供が父のせいで死ぬなんてこの世にありえない」自説を捨て生き残った息子のために我に返って超現実的になって「Live!」とクリスに言って終わるのだから・・・
クリスの泣き声で幕はおります。
・・・この後、すぐには結婚っておめでたい話にはならないけど、アンは全てを知っててクリスを好きなわけなので、NYという都会に居ても文通してたクリスが好きなのでここで見捨てられないでしょう。
一方クリスは父の死でアンの父への罪悪感は薄らいだ代わりに弟をひとり死なせた罪悪感に今度は悩むでしょう。そこから解放できるのはすでにそこを許しているアンだけです。
結局コリンとジェナが好きな私は、やっぱり二人は結ばれてほしいという願望から解放されません・・・!
ここで唯一の光は、クリスが男らしさから解放されず自殺した父ではなく、自説を譲らないくせに変わり身も早い母の血を受け継いでいそうなこと。
アンに許され彼女との人生を選んでくれないと、自分を許せず一生闇を抱えて生きるしかないので、すさんだ老人クリスを想像してしまうのは耐え難い。。。