Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

英国の唯美主義とパレーズ・エンド

2014-04-03 19:40:00 | イギリス
エドワード・バーン-ジョーンズ「ヘスペリデスの園」

すまうぐ~~~~

ザ・ビューティフル ー 英国の唯美主義1860-1990」へ行って来ました。

タイトルに年代が入っているとおり、ヴィクトリア時代(1837-1901)と重なっているこの運動、実は過去のヨーロッパの美術様式がぐちゃぐちゃになって何でもあり状態だった反発だったそうです。

と言われても私はピンと来なかったのですが、美術やデザインが近代的になる前の、クラシックの最後のあがきだったのかな、と展示を見て思いました。オスカー・ワイルドやその代表作サロメで有名なイラストレーター/ビアズリーもこの運動に含まれていて、デガダンスな香りです。

ビアズリーのサロメ

アールヌーボーの起源はイギリスだそうで、この展示にあった絵の女性のポーズやドレス/小道具はフランスのミュシャの絵画にそっくりなものも。でも絵画の手法はミュシャみたいに画期的ではなく相変わらず油絵でクラシックなんですよね。

でも展示のテーマのひとつには「ジャポニズム」もありますし、未知のものを取り入れようという意気込みは感じます。イギリスの目から見た和洋折衷なインテリアがおもしろかった。自分で使うにもよさそうでした♪

でも今見るとこの運動の最大の発明は「ウィリアム・モリスのグラフィック」じゃないでしょうか。だって、今でも現役デザインで、壁紙や生地が販売されてるんですよ、世紀のベストセラー・デザイナーですよね?!


「苺泥棒」というタイトルが好きです


「孔雀とドラゴン」すまうぐ~~~~

で、でね、今回の展示にもいくつかあった唯美主義の代表画家ロセッティは、モリスの奥さん/ジェーンの絵をたっくさん描いてるんです。しかもそれが彼の代表作だったりして。つまり、モリスとジェーンとロセッティは三角関係だったのですね。奥さんを他の男の専属モデルみたい(実際は売れっ子モデル/ミューズだった)にさせとくなんてモリス太っ腹・・・ではなかったでしょうね。きっとジェーンをめぐって、ロセッティがより艶やかに彼女を描けることにも嫉妬して、モリスは「ヘーンだ、絵なんて古い、時代はデザイン、グラッフィックだね!これなら負けないもんね!だから頼むよジェーン、帰って来ておくれ~~」ってな愛憎劇が展開され、アート界は活性化・・・したのだろうか。


ところで、この運動は1900年までと紹介されていますが、私は展示を見ていてふつふつとパレーズ・エンドを思い出していました。美術史で言えば20世紀に入っちゃうと近代なんですが、18世紀にしがみつくクリストファーですもんね、19世紀のアートでさえ彼には新しすぎてついていけない感があったでしょう。マクマスターのサロンで中国のお香に耐えられなかったシーンありましたよね。



この部屋の壁紙なんて、とってもモリスっぽいです。
下はモリスの「クローバー」



今思うと絵画のように美しいドラマなのでした。。。





この白鳥の絵がアップで映された残像が私の脳内に残っていて、
↓この絵を見てパレーズ・エンドだ~っと胸がこみ上げたのでした。