私は多くの人と同じように、麻衣さんの引退をネット記事で知った。
「山崎麻衣は引退することになりました。これまで、お世話になった将棋関係者の皆さん、ファンの方々、本当にありがとうございました。理由についてですが、昨年末に入籍して、仕事と家庭の両立が難しいと感じました。若い人も育ってきましたし、女流棋士としての未練はありません。棋士は辞めても、将棋界を側面からサポートできればと考えております」
大方、このような内容だった。
当然、私は納得がいかない。とりあえず麻衣さんと話したい。人づてに麻衣さんと連絡を取り、近日中に将棋館で会う約束を取り付けた。
将棋館で麻衣さんを探していると、誰かが私の肩を二度叩いた。麻衣さんだった。
「さおりちゃん」
「こんにちは」
私は軽く会釈した。笑顔なんて作れない。
「ちょっと待ってて。あと30分ぐらい」
麻衣さんは、いつもと同じ、柔らかな物腰だ。
「分かりました。ここの近くの喫茶店でいいですか」
「うん、いいよ」
「じゃあ、私、そこで待っているので」
「分かった。悪いけど少し時間潰してて」
私は、将棋館に来た時によく立ち寄る、徒歩2分の喫茶店へ向かった。
「山崎麻衣は引退することになりました。これまで、お世話になった将棋関係者の皆さん、ファンの方々、本当にありがとうございました。理由についてですが、昨年末に入籍して、仕事と家庭の両立が難しいと感じました。若い人も育ってきましたし、女流棋士としての未練はありません。棋士は辞めても、将棋界を側面からサポートできればと考えております」
大方、このような内容だった。
当然、私は納得がいかない。とりあえず麻衣さんと話したい。人づてに麻衣さんと連絡を取り、近日中に将棋館で会う約束を取り付けた。
将棋館で麻衣さんを探していると、誰かが私の肩を二度叩いた。麻衣さんだった。
「さおりちゃん」
「こんにちは」
私は軽く会釈した。笑顔なんて作れない。
「ちょっと待ってて。あと30分ぐらい」
麻衣さんは、いつもと同じ、柔らかな物腰だ。
「分かりました。ここの近くの喫茶店でいいですか」
「うん、いいよ」
「じゃあ、私、そこで待っているので」
「分かった。悪いけど少し時間潰してて」
私は、将棋館に来た時によく立ち寄る、徒歩2分の喫茶店へ向かった。
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