その後、食事に誘っても藤沢は僕に会おうとしない。電話やメールでやり取りするだけだ。妊娠中の亜衣の体も心配だったが、それと同時に楽しみでもある。しかし、藤沢への心配は、ただただ、僕の気持ちを暗くさせるだけだ。イタリアンレストランでの彼の印象が、頭から離れない。有紗はどうしているのだろう?藤沢は本当のことを話してくれない。念のため、高校時代の友人の何人かと連絡を取り、それとなく藤沢の事を聞いたが「もう何年も会っていないし、携帯の番号も知らない」と口を揃えた。やはり有紗に聞くしかない。しかし、有紗の携帯番号が分からない。思い切って彼らの自宅の固定電話へ掛けた。
「もしもし」
「はい、藤沢ですが」
女性の柔らかな声だった。
「坂木ですけど、こんばんは」
「ああ、坂木君。久しぶりだね」
有紗の声は明るかった。
「いま一人?」
僕は少し緊張していた。
「うん、藤沢は近所の居酒屋にいると思う」
「いや最近、孝志に会ってもらえなくて」
「そうなの?ああ、そうなんだ」
有紗は意外そうな口調だった。
「だから電話やメールだけなんだ。しかも最近、本音を話してくれない。だから矢野、いや有紗さんに孝志の様子を教えて欲しくて電話したんだ」
「そうなんだ。あの人、何にも話してないのかな」
「何かあったの?」
「うん。あったよ」
有紗の声に少し翳りがあった。
「出来れば、教えて欲しいんだけど」
少しばかりの沈黙が流れた。
「藤沢には言わないって約束できる?」
「うん、約束するよ」
「あの人、法律事務所やめたの」
有紗の口調は淡々としていた。
「もしもし」
「はい、藤沢ですが」
女性の柔らかな声だった。
「坂木ですけど、こんばんは」
「ああ、坂木君。久しぶりだね」
有紗の声は明るかった。
「いま一人?」
僕は少し緊張していた。
「うん、藤沢は近所の居酒屋にいると思う」
「いや最近、孝志に会ってもらえなくて」
「そうなの?ああ、そうなんだ」
有紗は意外そうな口調だった。
「だから電話やメールだけなんだ。しかも最近、本音を話してくれない。だから矢野、いや有紗さんに孝志の様子を教えて欲しくて電話したんだ」
「そうなんだ。あの人、何にも話してないのかな」
「何かあったの?」
「うん。あったよ」
有紗の声に少し翳りがあった。
「出来れば、教えて欲しいんだけど」
少しばかりの沈黙が流れた。
「藤沢には言わないって約束できる?」
「うん、約束するよ」
「あの人、法律事務所やめたの」
有紗の口調は淡々としていた。
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