僕はカバンから原稿用紙を10枚ほど取り出し、有紗に渡した。彼女はそれを受け取ると、すらすらと読み出し、本当に頭の中に入ったのかという速さで、すべて読んでしまった。4,5日かけて、考えながら書いていた自分が少し馬鹿らしくなるほどに。
「うん、いいと思うよ。想像していたより、上手いし。それにもっと難しい内容だと思ってたけど、私たちにも理解しやすい」
「それは良かった」
僕は言葉とは裏腹に、有紗の顔色を伺った。
「これなら、出版社の人にも話しやすい。友人だから、知り合いだから出版して欲しいと頼んだところで、実現するほど甘くないけど、これを見せれば、説得できるかもしれない。あとは今後の坂木君の頑張り次第かな」
「勿論、頑張るよ。でも、少しホッとしたかな。有紗さんは本の専門家だから」
「早速、いくつかの出版社に話してみるから」
「ありがとう。さあ、そろそろ帰るか」
僕はベッドで寝ている藤沢の顔を眺めた。
「孝志、今日はよく頑張ったね。じゃあ、また来るよ」
僕は孝志に声をかけ、彼らに背を向け、カーテンを開けようとした。
「坂木君、ちょっと待って」
僕は有紗の声に振り向いた。
「孝志さんが、孝志さん」
僕はまたベッドに寄った。藤沢が目を開けている。少し笑っているようにも見える。だから僕も少し笑った。頬から涙をこぼしながら笑った。
「うん、いいと思うよ。想像していたより、上手いし。それにもっと難しい内容だと思ってたけど、私たちにも理解しやすい」
「それは良かった」
僕は言葉とは裏腹に、有紗の顔色を伺った。
「これなら、出版社の人にも話しやすい。友人だから、知り合いだから出版して欲しいと頼んだところで、実現するほど甘くないけど、これを見せれば、説得できるかもしれない。あとは今後の坂木君の頑張り次第かな」
「勿論、頑張るよ。でも、少しホッとしたかな。有紗さんは本の専門家だから」
「早速、いくつかの出版社に話してみるから」
「ありがとう。さあ、そろそろ帰るか」
僕はベッドで寝ている藤沢の顔を眺めた。
「孝志、今日はよく頑張ったね。じゃあ、また来るよ」
僕は孝志に声をかけ、彼らに背を向け、カーテンを開けようとした。
「坂木君、ちょっと待って」
僕は有紗の声に振り向いた。
「孝志さんが、孝志さん」
僕はまたベッドに寄った。藤沢が目を開けている。少し笑っているようにも見える。だから僕も少し笑った。頬から涙をこぼしながら笑った。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます