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旅行記、世相独言

「カディスの赤い星」 -セビーリャ-(異文化体験30 灼熱のアンダルシアの旅3)

2013年05月05日 11時50分26秒 | 異文化体験_西欧
(写真はクリックで拡大します)

「カディスの赤い星」 -セビーリャ- 97.07.25

  逢坂剛の直木賞受賞作「カディスの赤い星」

 スペインへの憧れは、逢坂剛の直木賞受賞(1986)作品「カディスの赤い星」を読んだ時。ギターとフラメンコをこよなく愛しスペインを舞台にした作品の多い氏の小説は、私を一日も早くスペインへと駆り立て、1987年それはマドリード訪問という形で実現した。異文化体験9「カディスの赤い星の旅」もご覧下さい)

 今回訪れた「セビーリャ」とコスタ・デ・ラ・ルスの中心都市「カディス」とは、もはや至近距離。「カディスの赤い星」の匂いが今にも伝わってくる。

  
(左)温室の中のような緑一杯のマドリード・アトーチャ駅(右)マドリード・セビーリャ間を2時間半で結ぶAVE

 マドリード・アトーチャ駅は、それ自体植物園を連想させる緑の多い駅である。アンダルシアの中心都市セビーリャまではスペインが誇る高速鉄道AVE(Alta Velocidad Española 鳥の意)で2時間半。フラメンコや闘牛の本場で、「カルメン」の舞台でもある。

 グアダルキビル河畔に立つ黄金の塔

 黄金の塔(イスラム王国の監視塔)を左に見ながらグアダルキビル川を渡り、カルメンの煙草工場(現セビーリャ大学)のお隣がマリア・ルイザ公園である。1929~1930年イベロ・アメリカ博覧会が開催され、半円形のスペイン広場近傍に当時の建造物が沢山残っている。

  
           (左・右)イベロ・アメリカ博が開催されたスペイン広場

       
 (左)余りの暑さにスペイン広場の噴水の水を飲む馬      (右)スペイン広場にて

 さすがの暑さに観光馬車の馬も噴水の水を飲まずにいられない。我々もひとまず昼食にサンタ・クルス街を離れ、再びサンタ・クルス街に戻ってセビーリャのランドマークとでも言うべき大聖堂(カテドラル)と「ヒラルダの塔」を訪問する。


          
(左)アンダルシアの解説本(BONECHI社刊1995)  (右)スペイン最大の大聖堂、右の塔がヒラルダの塔
    
 8世紀以降、イスラムによって約500年間に亘り支配されていたスペイン。セビーリャはそのイスラム文化の中心地となり、多くのイスラム様式建造物が築かれた。1248年キリスト勢力はセビーリャを奪還、レコンキスタ(国土回復運動)は1492年のグラナダ陥落で幕を閉じた。
 セビーリャのコロンブスは、レコンキスタが幕を閉じた1492年インドに向け船出した。スペイン、セビーリャの黄金時代を築いた大航海時代の始まりである。

  
(左)セビーリャ大聖堂のコロンブスの墓(棺を担ぐ4国王)  (右)参考写真:イタリア・ジェノヴァの「コロンボ500」

 余談だがコロンブスが新大陸を発見して500周年の1992年、ここセビーリャで万国博覧会が開催され、来る時に乗ったAVEも整備され、4200万人近い来場者を得た。
 一方、この年何故かイタリア・ジェノヴァでも「コロンボ500」という海洋博覧会が開催され、一説にはレンゾ・ピアノ氏が本拠地ジェノヴァの活性化を願って提案したと言う噂もあったが、日本国や姉妹都市大阪も出展し小生も官民視察団の一員として訪れた。ただ、こちらは目標300万人に対し100万人強の来場と散々であった。 異文化体験14「港湾空間を巡る旅」を参照下さい)


                      
(左)ヒラルダの塔からの眺望(遠方に円形マエストランサ闘牛場)(右)塔回廊に24の鐘(塔頂にヒラルディーリョ=風見鶏像)

 大聖堂は1402~1506年、約1世紀の歳月を経て建造された世界で3番目に大きなカテドラル。12世紀に建設されたモスクを転用したもので、高さ98mの「ヒラルダの塔」と呼ばれる鐘楼も、モスクのミナレット(尖塔)に増築する形で作られた。24の鐘が並ぶ回廊からは市街が一望出来る。

 大聖堂の入場チケット 
 
 大聖堂の内部には、黄金で塗られた20mの祭壇衝立がある。この衝立は、中央に鎮座するのがキリストではなく聖母マリアだという点が特徴。スペインは4世紀からマリア信仰が盛んで、セビリアはその中心地であったそうだ。この衝立の装飾に3トンもの金が使われたと言う。新大陸との交易で栄えたセビリアを象徴する建造物である。

         
 (左)大聖堂の内部                     (右)世界最大(220㎡)の巨大祭壇衝立


 観光後は、コルドバまでバス移動。灼熱のアンダルシア、車窓に黄色いひまわり畑や緑のオリーブ畑を見ていると、突然大きな黒牛が現れる。この黒牛さん、あるアルコール飲料会社の広告用看板だそうだ。以前は名前が入っていたそうだが景観上禁止され、名無しの黒牛が突如平原に現れることになったとか。

 車窓に突如現われる黒牛

 コルドバのお宿は、ホテル・オキシデンタル。明日はあの有名なメスキータとのご対面である。


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