南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

雪のない香港で『雪の華』を聴く

2007-08-26 16:19:28 | Weblog
昨日の土曜日の夕方香港に戻ってきましたが、今日の日曜日、朝から
中島美嘉の『雪の華』を繰り返し聴いています。このコンドミニアム
のオーナーは、かなりいい音響システムを備え付けてくれていました。
ONKYOの5.1チャンネルのシステムです。これまではミニコンポしか
持っていなかったので、今までとは格段の違いです。これで聴くと、
同じCDが全く違って聞こえます。音楽ってこんなに素晴らしいもの
だったのかとこの歳になってあらためて思っている今日この頃です。

中島美嘉(なかしま・みか)の『雪の華』を、今日あらためてかけ
ていますが、音の一つ一つのディテールが聞こえてきて、これは
普通のJポップではないと実感しました。素朴なピアノの音の伴奏
に合わせて、中島美嘉のつぶやくような、聞き手に迎合しない感じ
の透明な声が聞こえてくる。音楽の中に次第に、ベースが入り、
オーケストラが入りサビに向かって盛り上がっていく。
その盛り上がりとともに、切なさももりあがっていくという感じ
です。音楽のジャンルに関係なく、これはいい音楽だと思いました。

東京の下町に住んでいるMy Wifeが最近、「これは名曲だ
と言っていましたが、たしかに素晴らしいです。曲もいいですが、
彼女は特に歌詞の内容で感動しているようでした。
甘えとか弱さじゃない
ただ、キミを愛してる
心からそう思った

というところもよいですし、とくに後半の
誰かのために何かを
したいと思えるのが
愛ということを知った
もし、キミを失ったとしたなら
星になってキミを照らすだろう
笑顔も涙に濡れてる夜も
いつもいつでもそばにいるよ

というところなんかよいですね。

日本の歌は、女性が男性の気持を歌ったり、男性が女性の気持を
歌ったりすることがよくありますが、この歌も「ボク」が「キミ」
に対する気持が歌詞になっています。具体的な状況は明確ではあり
ませんが、「ボク」が「キミ」をどんなことがあっても愛し続けて
いくという気持は伝わってきます。

この曲が登場したのは2003年。すごくいい曲だったのに、へんな
コマーシャルに使われていましたね。何だったか忘れましたが、
観覧車の中で…こういうコマーシャルには使ってほしくなかったな
とその時思ったものでした。

私は、海外にいますので、中島美嘉というのもよく知りませんでし
た。モノマネはビデオでよく見ていたので、ある番組でコロッケ
さんがやった中島美嘉のモノマネを見て笑っていました。でもその
ときのコロッケさんのモノマネはちょっとすべっていましたが。

今日、ウェブを検索していたら、中島美嘉のオリジナルのプロモー
ションビデオの動画がありました。コロッケさんが真似をしていた
のはこれだったのかと今になって理解したのですが。(以前あった
動画がYouTubeの中になくなってしまっていました。すみません)

ついでに、いろいろ調べてみたら中国語バージョンというのもある
のもわかりました。中国の江蘇省出身の韓雪(ハン・シュエ)という
歌手が歌っています。日本のNHKのBS2でも登場したらしいですね。
動画があったので、こちらにご紹介します。この人、すごくキレイで
歌も上手です。
韓雪(ハン・シュエ)中国語バージョン
これはコンサートで真面目に歌っているバージョンでしたが、カラオ
ケ用に演技付きのバージョンもありました。原曲のイメージと全然違う
安っぽいドラマ仕立てがちょっと悲しくなってしまいます。
韓雪(ハン・シュエ)中国語KTVバージョン

この動画を見ておわかりいただけるように、日本のヒット曲が中国で
カバーされるというのはよくあるお話しですが、歌詞の内容はずいぶん
と変わっています。これは知らないほうがよかったかもしれませんが、
一応、知ってしまった者の責任としてご紹介いたしましょう。

憂鬱な空に雪が舞い飛んでいる
この伊豆温泉には孤独な私の思いだけ
舞い散る木の葉はあなたと私の結末のよう
ここにはかつて温もりに満ちた日々があった
かつてあなたは私の肩を抱き
永遠に愛するとささやいた
雪の花はまるで花火のように
ちらちらと散ってゆく
一瞬の間のこと
髪を乱す風しか残らないのはなぜ
それは記憶の傷口を広げてく
霜のようにゆっくり過去を蒸発させる
痛すぎて何も感じなくなればあきらめられるのに
涙が流れるままにさせて
かつて口づけされた頬をなでた
この時すべてが崩れ落ちた

私の春と夏を奪ったのはあなた
古い果実がなっているのも夢の中だけ
手に入らないものを求めてた
伊豆温泉の日々は天が与えた罰
結末を知っても私たちは愛し合うかしら
あなたの答えはわからない
雪の中の誓いは本物だったの?
なぜ何も残っていないの?
髪を乱す風しか残っていないのはなぜ
雪が記憶の傷を覆い隠す
過ぎた日は霜のように消えていく
痛すぎて何も感じなくなればあきらめられるのに
涙が流れるままにさせて
かつて口づけされた頬をなでた
霜玉のような凍った雪に手を伸ばす
その瞬間落ちる雪の花
愛の童話を覚えているよう

オリジナルの「雪の華」にあったあの美しい愛の姿はどこへやら、
中国語バージョンで歌われているのは、不倫だか何だかわかりま
せんが、男に捨てられる女の悲哀と男への恨み。これはかなり
暗い演歌です。しかも舞台設定がなぜか「伊豆の温泉」。

伊豆にも雪は降るでしょうが、どうして伊豆なのか、腑に落ち
ません。おそらく、東京で水商売で働いていた女性が、男と伊豆
の温泉に行ったのでしょう。あるいは温泉町で働いていた中国人
女性という設定なのかもしれません。いずれにしても悲しい別れ
です。「天城越え」とかの雰囲気です。演技つきのカラオケバー
ジョンの舞台は、伊豆の温泉と言っても西洋風の古いホテルです。
ここで何があったのでしょう、知りたくなってしまいます。

数ヶ月前に、My Wifeと香港に来たときに、ランカイフォンの
ホテルの狭い部屋で、テレビをつけたら、広東語バージョンの
「雪の華」(花無雪)をMTVのチャンネルでやっていました。
それは泳児(ビンシー)という香港の歌手でした。
動画はこちらです。
泳児(ビンシー)広東語KTVバージョン
演技つきのMTVバージョンもあります。
泳児(ビンシー)広東語MTVバージョン
この安っぽい不倫ドラマみたいなものの筋がよくわかりませんが、
なんかちょっとイメージダウンになってしまいそうで残念です。

この広東語の歌詞を見てみますと、やはりこちらも「伊豆温泉」
という歌詞が含まれています。伊豆じゃなくて、北海道にしたら
もっとヒットしたかもしれないのにと思ってしまいます。

韓雪(ハン・シュエ)も泳児(ビンシー)も歌自体は悪くなく、
また、中国北京語の響きも、広東語の響きもとても美しく、聞き
惚れてしまいます。原曲と比べてしまうと、どうしてもその意味
の変容に愕然としてしまうのですが、最初から現地語で聴けば、
これはこれで泣けるような悲恋の歌として聞こえるのでしょう。

まあ、いい歌は、国境を越えて広がっていきます。歌詞がこんな
にも変わっていくのは悲しいことではありますが、これは仕方の
ないことなんでしょうかね。