わたしの好きな詩人

毎月原則として第4土曜日に歌人、俳人の「私の好きな詩人」を1作掲載します。

私の好きな詩人 第160回 ―ある無名兵士― 藤川 みちる

2015-10-12 12:40:11 | 詩客

A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED
「悩める人々への銘」

I asked God for strength, that I might achieve
I was made weak, that I might learn humbly to obey...

「大きなことを成し遂げるために 強さを与えてほしいと神に求めたのに 謙遜を学ぶように 弱さを授かった」

I asked for health, that I might do greater things
I was given infirmity, that I might do better things...

「偉大なことができるようにと 健康を求めたのに よりよきことをするようにと 病気を賜った」

I asked for riches, that I might be happy
I was given poverty, that I might be wise...

「幸せになろうとして 富を求めたのに 賢明であるようにと 貧困を授かった」

I asked for power, that I might have the praise of men
I was given weakness, that I might feel the need of God...

「世の人々の称賛を得ようとして 力と成功を求めたのに 神を感じるようにと 失敗を授かった」

I asked for all things, that I might enjoy life
I was given life, that I might enjoy all things...

「人生を楽しむために あらゆるものを求めたのに あらゆるものを楽しむために 人生を授かった」

I got nothing that I asked for―but everything I had hoped for:
Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.
I am among all men, most richly blessed!

「求めたものは一つとして与えられなかったが 願いはすべて聞き届けられた 神の意にそわぬ者であるにもかかわらず 言い表せない祈りは全て叶えられた 私はもっとも豊かに祝福されたのだ」

 この詩は、アメリカの南北戦争に従軍した南軍の兵士が、ニューヨーク州立大学病院の病室に記したものといわれています。
 初めて読んだときには涙が止まらず、こんなにも平易な言葉が、これほどまでに心を揺さぶるものかと驚きました。

 今、私は病床にあります。一時行方不明になり、警察に保護されて、自宅で療養しています。実習中止、学校は留年か退学か。
 周囲の状況がめまぐるしく変わり、それに伴い、自分自身も変化し。失ったものは多くありますが、それ以上に、得たも のが多くあります。

 見るもの聞くもの全てが新しく、生まれたばかりのように、輝いています。