『ティンブクトゥ (新潮文庫)』
ポール・オースター、2006、『ティンブクトゥ (新潮文庫)』、新潮社
犬を主人公とした作品。主人公の犬は、放浪癖のある飼い主に従って放浪をともにするが、飼い主が死んだ後、新たな飼い主に恵まれる。しかし、その飼主が長期家をあけることになって、ペットホテルに預けられるが抜け出してしまう。
作者の思いと一致しているかどうかはともかくとしても、飼い主の勝手に振り回される犬はとても哀れに思える。同時に、ペットを主人の都合で振りまわすことになるエピソード(本書のすべてのものはそうだ)は、人間の身勝手と、それに巻き込まれるペットの哀れさが身につまされる。自身も家畜化してしまっている人間と因果な歴史的な事情で人間とともに過ごすことをやむを得ない生活とみなした犬族の間の一蓮托生の哀れの人生は、家畜たちや栽培植物たちの運命と照らしあわせても、いかがであるかと思わされる。
犬の立場で人間をみているという筋書きでもあるので、人間の勝手さと、訳の分からない人生というのも哀れに思えてくるという趣向だ。
犬を主人公とした作品。主人公の犬は、放浪癖のある飼い主に従って放浪をともにするが、飼い主が死んだ後、新たな飼い主に恵まれる。しかし、その飼主が長期家をあけることになって、ペットホテルに預けられるが抜け出してしまう。
作者の思いと一致しているかどうかはともかくとしても、飼い主の勝手に振り回される犬はとても哀れに思える。同時に、ペットを主人の都合で振りまわすことになるエピソード(本書のすべてのものはそうだ)は、人間の身勝手と、それに巻き込まれるペットの哀れさが身につまされる。自身も家畜化してしまっている人間と因果な歴史的な事情で人間とともに過ごすことをやむを得ない生活とみなした犬族の間の一蓮托生の哀れの人生は、家畜たちや栽培植物たちの運命と照らしあわせても、いかがであるかと思わされる。
犬の立場で人間をみているという筋書きでもあるので、人間の勝手さと、訳の分からない人生というのも哀れに思えてくるという趣向だ。
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