那覇の売春宿を経営するシングルマザーの一人息子の高校3年生が、近くの売春宿を買い取って経営する中年女性と、2回Hしていたバイト先の先輩の女性の連続殺人事件に遭遇するライトタッチのミステリー小説。
勉強は苦手で料理には研究熱心な主人公の高校生が、次々登場する若い「沖縄には稀な」美女に粉をかけられるモテモテの設定を、快感と思うか都合よすぎと思うか僻むかというあたりで好みが分かれそうな小説です。
ミステリーとしては「不思議なことに、被害者の爪から皮膚片や血痕の生物反応が出てこない。ふつうなら首を絞められたとき、被害者も相手の腕ぐらいはひっ掻くはずなんだが」(91ページ)の謎は360ページで解いたことになるのでしょうか。皮膚片が出なくても繊維とか、さらにはその繊維に汗とかが付着しているという可能性も十分にあり、爪の皮膚片を気にしている警察がそれに気づかないということがあるんでしょうかねぇ。それに警察官が一高校生に捜査情報をこんなに一から十までしゃべるという設定は、無理な印象が強いし、真犯人の動機(361ページ)も無理じゃないかなぁ。本当にそれで、その状況で、殺す?
作者は2011年から那覇市在住とプロフィール紹介されていますが、那覇の人々の昨今のしゃべりはこんな感じなのでしょうか。三線(沖縄三味線:私の知る限りでは「さんしん」と読むはず)に「さんせん」とルビを振っている(7ページ)のは誤植なのか、最近の沖縄ではそう読むのか。そのあたりもちょっとミステリー…

樋口有介 集英社インターナショナル 2013年8月10日発行
勉強は苦手で料理には研究熱心な主人公の高校生が、次々登場する若い「沖縄には稀な」美女に粉をかけられるモテモテの設定を、快感と思うか都合よすぎと思うか僻むかというあたりで好みが分かれそうな小説です。
ミステリーとしては「不思議なことに、被害者の爪から皮膚片や血痕の生物反応が出てこない。ふつうなら首を絞められたとき、被害者も相手の腕ぐらいはひっ掻くはずなんだが」(91ページ)の謎は360ページで解いたことになるのでしょうか。皮膚片が出なくても繊維とか、さらにはその繊維に汗とかが付着しているという可能性も十分にあり、爪の皮膚片を気にしている警察がそれに気づかないということがあるんでしょうかねぇ。それに警察官が一高校生に捜査情報をこんなに一から十までしゃべるという設定は、無理な印象が強いし、真犯人の動機(361ページ)も無理じゃないかなぁ。本当にそれで、その状況で、殺す?
作者は2011年から那覇市在住とプロフィール紹介されていますが、那覇の人々の昨今のしゃべりはこんな感じなのでしょうか。三線(沖縄三味線:私の知る限りでは「さんしん」と読むはず)に「さんせん」とルビを振っている(7ページ)のは誤植なのか、最近の沖縄ではそう読むのか。そのあたりもちょっとミステリー…

樋口有介 集英社インターナショナル 2013年8月10日発行