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伊東良徳の超乱読読書日記

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デンマークが超福祉大国になったこれだけの理由

2010-05-19 01:11:04 | 人文・社会科学系
 デンマークの社会福祉制度について紹介し、「自己責任」が強調される日本との比較をする本。
 著者は学生時代にデンマークに渡りそのまま定住してデンマーク国籍を取得し現在は自然エネルギー普及のための会社等の代表をしていて、ほとんど資金もない若者が移民しても困窮することなく生活ができた経験を元に論じています。
 そうした著者の成功経験に基づいていますので、長所のみが強調される傾向にあるのと、著者の主張がはっきりしていて日本の現状への批判が強く押し出されているあたりが、好みの別れる本だと思います。
 医療と教育の無償と手厚い年金制度の紹介を読んでいると、「コンクリートから人へ」なり、「最も成功した社会主義国」とかの日本で言われているけど実態は全然違うスローガンがむしろデンマークにこそ当てはまるのかなと思いました。いかなる場合でも生活の心配をせずに済む社会福祉の存在は、徹底した国民総背番号制と資金の出入りの厳しい把握(脱税は困難)等の閉塞感があるとしても、かなり魅力的です。外国人労働者も含め最低賃金が時給で125クローネ(約2500円!163ページ)というのも、労働者側の弁護士には夢のよう。失業保険の受給期間も4年間(152ページ)って、もう日本とは次元が違うという感じ。こういう社会・政治体制も現実にあり得るんですねと、ため息。


ケンジ・ステファン・スズキ 合同出版 2010年4月20日発行
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