白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

ひひな遊び

2016-03-05 | 画廊の様子
三日のお雛さまの日にやっと少しだけ膨らみ始めた桃のつぼみが翌朝、
四日の早くに、たった一輪、そのピンクのまぶたをぷちっと開けました。
一日遅かったわねと話しかけてしまいました。
お節句には間に合わなかったつぼみたち。
ちょっとお手伝いをして暖かな部屋に引っ越してあげました。
するとその日のうちに次々と目を覚まして可愛らしい花びらで
ひな壇を飾ってくれました。

清少納言は「ちひさきものはみなうつくし~」と身の回りのどこにでもある
小さなものに目を向けて慈しみの心を傾けました。何も何もちひさきものはみな
うつくし~と。
その中の一つに~ひひな(雛)の調度~が挙げられています。
ひひなは人形のこと、調度はお道具。貴族の男子の遊びは蹴鞠、
女子はお人形遊びのおままごと。
そしてさらに清少納言は~過ぎにしかた恋しきもの~と幼い日々を懐かしみます。
現代の雛人形飾りは江戸時代になってから創られたものですから当時は紙の
お人形遊びだったのでしょう。
枕草子のうつくしきものの段には清少納言の小さな幸せを拾い集める
人生の喜びがあふれているように思われます。

今日の一枚の絵  「ひひな遊び」  竹久夢二  リトグラフ

桃は中国故事に「三千年に一度だけなる実を仙女西王母が漢の武帝に献じた」と
あり、それが日本にも伝わってきて、その生命力、霊力が悪鬼や邪気を祓うと
信じられました。
平安時代、宮中では三月三日の上巳の節句に桃の花びらをお酒に浮かべた「桃の盃」を
酌み交わし邪気を祓う習わしとなり、後にこの日を「桃の節句」と呼ぶようになったそう。
そうして多くの歴史書や物語、歌集などに「桃」が愛し気なもの、美しいもの、強くて
永遠なる命の象徴として登場することになりました。

明日はお雛さまを片付けなければ・・・・・s・y


        のこった、のこった!









最新の画像もっと見る