眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

鼓膜

2008-08-23 | 
眠れない夜は優しい
 起きなくてはいけない
  事務事項の約束の朝が救いの手を差し伸べるなどと
   いったい誰がささやいたのだろう?
    終わらない夜
     封印された記憶
      薄っすらと懺悔し
       僕らは古ぼけた自動販売機でコーラを買った
        なかなか出てこない自動販売機を君が蹴り飛ばした
         僕らはひっきりなしに煙草を吹かせ
          誰も居ない時代遅れの本屋の
           馬鹿でかい駐車場に車を止め
            この終わらない夜に身を沈めた
             気に入りの音楽を流し
              僕らは世界の現実から乖離した
               テールランプが流れた
                世界は深夜にも慌しい
                 
                コーラの瓶を
               本屋のネオンに透かしてみせる
              終わらない夜 
             終わらなかった筈の永遠の夏休み
            煙草を吸い終え
           僕らは愚らない話を熱病の様に繰り返した
          その言葉ひとつひとつが呪文だったのだ
         時間を止め磨耗する記憶を記録し
        まるで魔法のように永遠を信じた
       永遠の魔法
      鼓膜に木霊する帰らぬ記憶の存在意義は
     やがて宙空に散布されるのだ
    
    月夜だった
   僕らには行くべき処も
  帰るべき場所も用意されていなかった
 聴こえるはずの無い高周波が鼓膜を振動させた
「帰りなさい」
 そう聴こえなかったかい?
  マールボロのフィルターを口にくわえながら君が云う
   気のせいだろう?
    僕は君の使い古したジッポで灯をつける
     本当は聴こえていた
      僕にも
       終わるはずの無い夜が抹消される
        やがて
         この広大な駐車場も無くなる
          行き場所を彷徨い
           
           僕らは


         柔らかな熱帯夜の湿度にうんざりしながら

        僕らは現に此処に存在する

       そうしてたまに

      あの夜の優しい記憶たちの声が

     鼓膜に木霊する

    「帰りなさい」

   僕は耳を塞ぐ
  聴こえない筈の声
   苦しくって
    思い出してしまうのだ
     
     僕は瓶のコーラを飲み干して
      そうっとはっか煙草に火をつける

       哀しみを燃やすのだ

        永遠の記憶と共に

         今日も鼓膜を刺激する

          優しい夜の時間





  
            

          

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