眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

糸電話

2011-09-07 | 
寒い夜だった
 おどけて見せた酔いの代償に
  やはりいつもの哀しみが境界線側に浸透した
   ペットボトルの水を口に含み
    路上に吐き捨てた
     悪寒が走る
      もう僕には止められない速度で
       感情は緑の草原を駆け抜けたのだ
        まるで
         あの日吹き抜けた風の様に
          
         あんたどうして震えてるのさ?
          少年が不思議な生命体に話しかけるように
           怪訝な表情で尋ねてきた
            寒いんだ。
           寒い?
          真夏だぜ、俺なんか汗でシャツがべっとりしているのに。
         真夏?
        そうだよ。暑い真夏の夜さ。
       震える僕のそばにしゃがみこみ
      少年はもう一度尋ねた
     ねえ、本当に寒いのかい?

    ネエ、ホントウに寒イノカイ?

   大丈夫。こうして少し休めば感情の波が収まるはずだ。
  僕は目を閉じた
 世界が回っていた
憂鬱な日常と奇妙な夢がかき混ぜられた
 まるで飲めもしないカフェオレの様に
  大丈夫
   僕は僕自身に言い聞かせる
    ここが現実だ
     食べ飲み排泄するリアルな現象世界だ
      だがしかし
       あの風の音色がする
        ビー球の青
         あの懐かしい哀しいくらいに透き通った青の青さ
          
         消え去る事のない記憶
        化石になった事象たち
       愚か者だと馬鹿にされた夜
      旅に出た友人は今頃どうしているだろう?
     パトカーのサイレンが聴こえた
    「24のカプリース」くらい超絶的な面持ちで哀憐が鳴り響いた
    風吹く草原
   緑色の世界
  草原の草むらで口笛を吹く記憶
 想い出してしまったのだ
君のことを

 青
  海鳴りがした
   ジョナサン・リヴィングストンになれなかった僕らは
    羽が折れ地面に叩きつけられた
     夢は夢のままでホルマリン漬けにされ
      やがて夜になった
       砂浜で星を眺めた
        永遠が続くはずだった

         ブザーが鳴った

    「本日の上映は終了です。」

   プラネタリウム
  水族館
 人気の途絶えた解体寸前の古びた映画館
お客様のおかけになった電話番号は現在使用されておりません・・・。

  つー ツー つー ・・・

   
  精神的な脆弱さを嫌う人達
   
   罪人が罪人に石を投げつける
   
   エンクロージャーのように囲い込まれた子羊の群れ

    君はこの世界の果てで一体どうしているのだろう?
  
     僕といったら苦しすぎて

      哀しみにも追いつけない

      君の長い髪の記憶の残像
      
      糸電話だったらよかったのに

      耳に当ててくすくす笑いあった

      

      とっくに糸は切れていたのにね



       記憶の残渣












      

  

コメント (4)
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