眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

台風の夜

2009-08-07 | 
重く垂れ込めた空
 庭の草花が滅茶苦茶に飛ばされた
  ポケットウィースキーを舐めながら
   世界の終末はこの様な空気なのかと
    吹きぬける風に独白する

    水の無い噴水の中央の天使像が瞳から涙を零す

    そういえば
     そういえば長い間泣いたことが無かった
      感情が鈍磨している
       酔いが回り始める夕暮れ
        名うてのシャーロキアンを真似て
         霧の街の街路に想いをはせた
          モリアーティー教授の陰謀に関して

    そういえば
     シャーロックは生涯独身を貫いた筈だ
      事件のない平凡な日常には
       悪癖でワトソンを困らせた
        コナン・ドイルも晩年には
         妖精の存在を立証しようと
          怪しげな写真を何枚も手に入れた
           少女の手のひらに乗る妖精
            皆が彼を嘲笑した
             だがしかし
              21世紀に存在する僕は
               何故だかコナン・ドイルの気持ちが
                解るような気がしてならないのだ


           嘲笑されることに慣れているのだ

          重く垂れ込めた空
         頭痛がする
        急に世界で唯の一人になった気がした
       絶望的な孤独感と郷愁が押し寄せる
      僕は自分に言い聞かせる
     大丈夫
    いつもの事だ
   もうそろそろ慣れてもいい頃だろう?
  連絡のつかない誰かの声は
 いつだって宙空に散布される

  化石は涙を流さないのだろうか?
   鳥の化石は井戸の底で泣き出したりはしないのだろうか?
    世界が憐れみと哀しみに願う平和は
     差別無く世界を変容させる祈り足りえるのだろうか?
      それでも僕等は祈らずにはいられないのだ
       大切な存在を想って
        繰り返しビートルズのラバーソウルを聴く雨の夜
         
        本当に聴きたいのは君の声

        たぶんジョン・レノンよりも


        世界の平和を予感させる君の声

   
        井戸の底の鳥の化石は僕なんだ


          キズイテ


         君の声を聴いたら


       たぶん今だって泣くことが出来る


     記憶の断層は

    過去と現在と未来を提示するのだが

   約束はしてくれないんだよ


  記憶の回廊


 
 あの螺旋階段で待っている



待っているからね










コメント (2)
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