眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

飛ぶ鳥

2008-07-06 | 
羽の潰えた天使の肖像が
 重く垂れ込めた灰色の空を仰ぎ
  公園のベンチで惰眠を貪る
   不意に空気の濃度が薄くなる
    もう此処へもいられなくなるのだろう

     動物の居る動物園から逃げ出した鳥が
      やがて化石になり
       その脳裏に記憶を管理していたとしても
        一体誰が其れを貸し出すのだろう?
         図書カードの思い出は
          貸し出された本の数だけ切ない
           用意された現実など無かった
            だから僕は煙草に灯をつけ
             縁側で缶ビールの空き缶を創る
            ビールがひとつ空く度に
           祈りは何故かその存在の重さを想い出す
          庭の木々から何かが宙に舞った

         飛ぶ鳥だ

        かつて見たことの或る風景
       灰色の現実が
      まるでアジアの国の極彩色のように彩られるのだ
     垣間見えた羽はしなやかで美しかった
    ベンチに腰掛けていた僕は
   もう一度だけ空を飛びたいと願う
  叶うのなら
 あの日君とじゃれあった空に帰りたい
ビールの缶がまた空いた
 もう一度だけ夢が見たい
  僕の罪が許されるのならば
   仏壇に花と果物を盛る
    そうしてその夜
     旅に出るのだ
      窓からそぅっと抜け出して
       行くことの無かった旅に出るのだ
        空間と時間軸を超えて僕らが魂の存在で或ることを
         想い出すのだ

         瑣末な事象と皮肉な日常の有象無象に別れを告げる
          
         僕らは地を這う幻影じゃなかった

         飛ぶ鳥だったのだ

         どうか忘れないでいて




  
コメント
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