ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 122ページ目 ロワール川巡り① 

2012-06-03 23:05:18 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【122ページ】


 良子は、かわいらしいサーモンピンクのロゼ・ダンジュをうっとりと眺めていた。

それから手に持ったグラスを口にそっと近づけた。


「さっぱりとした甘口のワインだわ!」

「ロゼ・ダンジュはカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、ガメ、グロローなどの品種から造られるね?」

「ええ、そしてカベルネ種だけで造られるアンジュのロゼは、カベルネ・ダンジュだわ」


良子がロゼ・ダンジュを飲み干すと、マスターが注いでグラスを満たした。


「フランスでロゼの有名な産地をあげるとすれば?」


良子が、和音に訊いた。


「このアンジュのロゼ・ダンジュに、ローヌのタヴェルに、プロヴァンスのバンドールかな?」

「ええ、女性に楽しんでもらえるロゼがこんなにあるのに・・・・。」


良子がそう答えて、少し悲しそうな表情を見せた。


「先日の休みに、スーパーのワイン売り場を見に行ったの! 驚いたというか残念というか・・・・」

「何があった?」

「ワイン売り場の半分以上が酸化防止剤無添加ワインになっていたのよ!」

「ほう、酸化防止剤無添加ワイン? 日本のワイン文化を遅らせたのが国産の甘口ワインなら、酸化防止剤無添加ワインは

日本のワイン文化を破滅させるそのものだ!」


和音は、酸化防止剤無添加ワインがワイン売り場に広がっていると聞いて苦笑した。


「良子さんはソムリエだから危機感をいだいたのでは?」

「はい、酸化防止剤無添加ワインということは酸化するワインと同意語なのです。」


良子は、『酸化するワイン』というところを強調して言った。





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