ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 89ページ目 知れば知るほど迷路に  

2012-04-15 07:27:37 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【89ページ】     知れば知るほど迷路に


 田辺良子は、フレンチレストランマリーナヴィレッジでの仕事を終え、オオカミグッズ&

ワインバー坂場に向かった。

しかし田辺の表情には、いつもの元気さが消えていて、疲れているのか、何か悩みを持って

いるようであった。


 良子は、店の前に立った。 

しかし店の中に入るのを躊躇していた。

ワインのテイスティングの勉強熱心な良子がこんな気持ちになったのは初めてであった。

和音さんが店に来ていたら、相談してみようと思ってドアを開けた。


 良子は店内に入ると、いつもは奥のワインバーに直行するのだが、今夜はゆっくり

オオカミグッズを眺めていた。

オオオカミの写真集やオオカミの生態記録のDVD等の命がけで撮影したものもある。


 お客の入店を知らせるライトが光り、マスターの妹の美紀が良子が来たのに気付いて

いたが、なかなか奥の店に来ないので出迎えに行った。


「良子さん、いらっしゃい!」 

「美紀さん、こんばんわ!」

「興味のあるオオカミグッズあった?」

「いつもは、オオカミグッズを見ないで奥の店に行くのだけど、こうして眺めてみると

興味深いものが沢山あるわ!」

「これらは、商売というよりもマスターの趣味みたいものよ!」

美紀は、笑いながら言って、良子を店内に導いた。




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