ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 30ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2012-01-07 16:19:51 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【30ページ】

「第二次世界大戦の時の話だが、リトアニアの日本領事として杉原という

外交官がいたのです。彼は、ナチスの迫害の手からユダヤ人を助けるため、ビザを

発行し続け、6,000人を超えるユダヤ人を救ったと言われている。」

「ユダヤ人に対するビザの発行は本国の命令違反?」シュヴァリエが聞くと、

「そうだ!彼の信念で、本国の命令よりも人命救助を優先したのだよ。」


 シュヴァリエは、ルヴォル大使が杉原という外交官を尊敬する理由はよく判った。

しかし、それがシャトー・ムートン・ロートシルトが一番のお気に入りと

どう繋がるのか理解できないでいた。

「ルヴォル大使、外交官の杉原氏とシャトー・ムートン・ロートシルトは関係あるの

ですか?」

「いや直接の関係はない!」

ルヴォル大使は、シュヴァリエの問いにそう答えた。

「シュヴァリエ、ボルドーのメドック地区のワインの格付けをおこなった年は?」

「1855年」

シュヴァリエは、ソムリエとして当然の知識をなぜ聞くのかという顔をした。

「そう、1855年はパリ博覧会が開催された年だ!その目玉商品としてワインを

展示することになった。」

「ナポレオン三世の命令によって、ボルドー商工会議所がメドックのワインに

ランクをつけたのですね?」


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