ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 172ページ目  猟銃の連射の音に逃げる

2014-11-09 16:21:28 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【172ページ】



 多数の犬の声に驚いて、熊の動きが止まった。

晴数は、拡声器をハルの口から自分の口へ移動し、

猟銃の撃った音を真似て「バーン」と言った。

すると、その音は複製され、「バーン」、「バーン」、「バーン」、

バーン」、「バーン」と何発も熊を狙い撃った。

驚いた熊は、くるりを向きを変え、逃げ出す。


「それ、追いかけろ!」と晴数が発すると、「それ、追いかけろ!」、

「それ、追いかけろ!」、「それ、追いかけろ!」、「それ、追いかけろ!」、

「それ、追いかけろ!」と大勢の猟師が叫んでいるようであった。


 晴数と山椿姫とハルは熊を追いかける。

熊が、一目散に逃げ去ったところで、晴数達は、熊を追っ払うのを止めた。


「よし、よし、よくやった!」


 晴数は、紀州犬のハルの頭と背中をやさしく撫ぜた。

ハルは、晴数に褒められたのがうれしそうに尻尾を振る。


 最後のひと登りを終えると、広場に着いた。

広場の中央で、晴数は、リュックからシートを取出し地面に敷く。

そして、シートの四隅に杭を打ち、呪文を唱え、八鬼から身を守る結界を張った。

シートの前に、紙を敷くと、地酒の熊野古道と熊野三山とこけら寿司10人前を置いた。


「さあ、準備は終わった! あとは座って、待つだけだ。」


晴数は、山椿姫とハルに語りかけながら、シートの中央に座った。

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