ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 144ページ目 盲目のソムリエ  眠れる森の美女  

2015-03-02 11:45:58 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【144ページ】


「大沢理事長、眠れる森の美女の話の内容をご存知ですか?」



眠れる森の美女 クラシックバレエおひめさま物語
クリエーター情報なし
講談社





 和音が、大沢理事長に訊いた。


「ええ、民話なので、さまざまなパターンがあるようですが、私の知っている話
はこうです。

あるところに子供をほしがっていた国王夫妻に、ようやく女の子が授かった。
祝宴に一人を除き国中の12人の魔法使いが呼ばれ、魔法使いは一人づつ
魔法を使った贈り物をする。

11人目の魔法使いが、贈り物を贈った時、招待されなかった魔法使いが
現われ、王女に『王女は錘が刺さって死ぬ』と魔法をかける。

一度かけた魔法は取り消すことができない。

そこで、12人目の魔法使いは『王女は錘が刺さって100年間眠りにつく』
と修正の魔法をかけた。

100年後。近くの国の王子が、王女が眠っているという噂を聞きつけ、城を訪れる。
王女は目を覚まし、2人はその日のうちに結婚、幸せな生活を送ったそうだ。」

「大沢理事長、私が眠れる森の美女のことを訊いたのは、シャトー・ディッサンが
眠れる森の美女に思えたからです。

かつて一級シャトー、マルゴーと並び、

マルゴー地区の二大シャトーと称されていたディッサンが長い眠りにつき、
格付けにふさわしくないワインだと酷評されていた。

ところが、1994年に、王子が現れたのです!」


※錘・・・錘糸をつむぐとき、その糸を巻きつける心棒