@「勝負は智慧次第」とは「ひとごろし」の短編小説。誰もが達人と言われた武士に叶う者が居ないと言われ仇討ちを避けたが、ある武士が名乗り勝負に勝ったのだ。それは「臆病者」と言われた所以の智慧で仇討ちの武士を疲弊させ真っ当な正面切って勝負はしないで「勝負に勝つ」方法を生み出したことだ。人は智慧次第で誰でも時間がかかるが難題を乗り越えることができるというものだ。最初から「負け」は無いと想い続け自分の武器「臆病者」を利用した勝負で挑むことだ。自分を知り相手を知ることの強さは勝負でも勝る
・「裏の木戸は開いている」
貧し者への足しになればと木戸の箱に小銭を入れて自由に持ち出しできるようにした。ところがある時博打で金が欲しいという侍がそれを知り持ち出しをしようとするところを見られ逃げた。これを始めたきっかけは妻子3人を殺して自殺した家族、特に娘に対する哀れな想いがあった。が、世間には高利貸しとか博打好きには絶好となり奉行所で問題となった。「悲しいことに、人間は貧乏であればあるほど、金銭に対して潔癖になる。施しや恩恵を彼らほど嫌うものはない」 (金は人を見定めできない)
・「地蔵」
お地蔵様への念仏、祈りで人間正直になるという、お地蔵様が盗人に縄をかけ説法するという逸話から参詣人たちが寄進し始める。それを見た判官が自分の出世のための金作りのためと説法を続けさせるが、やがて仕掛け人たちが真実を悟ことになる。すると、参詣人たちが仕掛け人たちがペテンだと追い討ちをかけてきた。(信じるものはなんであれ救われる)
・「改訂御定法」
貧困に喘ぐ武士は商人から金を借り借金まみれとなる。新たな改訂御定法を楯に商人は返済されない武士に対して奉行所に訴状する。藩としても武家としてもなんとか面目を保ち穏便に解決できないかを探る。判決において商人は「多額の借金を負わせた目的を問いただす」とそれは藩を目安に貸し続けたとあり強いては藩から取り戻せると確信していたことを罪にする。判決を下した後に罪を犯した武士に「侍も人間であるからには、人間としての過ちや失策のないことは望めない、けれども、侍として許すことができないものが2つある。1つは盗みをすること、もう一つは死に時を誤ること、この2つは侍にとって、理由のいかんにかかわらず許すことはできない」また、「人間の命ほど大事な物は無いが、世間の道徳と秩序を踏み躙って我欲を通すものは己で己の命を打ち砕くようなものだ」と言うとその後、武士として面目を保つため、藩のため自決の道を決めた。(双方の面目を保つ裁き)
・「ひとごろし」
藩に臆病者と言われた侍が年頃の妹と嫁も婿話が全くなく住んでいた。ある時はんの小姓が武道の達人の武士に殺され藩主はその武士を仇討ちせよと命を出したが誰も名乗り出ず、この臆病者が追手となる。誰もが逃げた武士に逆に殺されると言われたが無事仇討ちの武士の印「髷」(武士を捨てた髷)を持ち帰った。それは臆病者と言われた所以の策「正面きっての勝負はしないで、武士の行く所全てに『人殺しだ』と叫び武士の気力、体力をなくさせる方法だった。途中それに賛同した娘が嫁になった。(勝負は智慧次第、自分の弱点を知り、相手の弱点を知る)
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