このブログを始めてから、11年がたちました。
「川柳歳事記」は、良い川柳を読む機会のない人のため載せています。
良い事があったか妻の声の張り
美和山吹
繭を弾く紅を引くときおんな時
引くばかり女の計がまだ出ない
うすばかげろう不意のおんなが目覚めくる
弱くなって分かったぞ
友人と駅前の居酒屋で午後4時に会う
この約束は覚えている
出かける途中のポストに葉書を入れる
この簡単なことを忘れる
頭のはたらきが弱くなって納得 分かったぞ
遠くの看板や広告の文字はよく読める
近くで見る新聞や地図の文字がよく読めない
目が弱くなって納得 分かったぞ
「戯れ言」 (つづく)
セールスがおれの葬儀を売りに来る
終電のベルに急げぬ千鳥足
遺言に末期の水はハイボール
無礼講忍の一字が飲み込めず
美和山吹
唯我独尊張り子人形折らぬ腰
無縁風心折れてく都市砂漠
八月忌折り続けてる千羽鶴
辱め受けて学んだ処世術
美和山吹
親指のうなぎが逃げる安来節
OLに外反母趾という受難
古文書に一揆の拇印血で塗られ
冬のキスストロベリーの味がする
美和山吹