血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年 オークス

2013-05-25 22:10:34 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたオークスの上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。



メイショウマンボ(スズカマンボ×メイショウモモカ-グラスワンダー)牝・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233856

主:4 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:8~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導は、途中Nearcticが断絶するものの、Northern Dancer5・6×5・6を伴うNijinsky4×5。ただし、当馬の血統構成においては、Mr.Prospector4×4が、Raise a Native~Native Dancerとクロスし、その後Sickleまで2世代断絶するものの、Mr.Prospector母方内のNashuaが、系列クロスを形成するなどその影響力は非常に強い。更に、Hail to Reasonの中間断絶クロスも形成し、その血の集合は非常に不明瞭となっている。できる事ならば、NijinskyかMr.Prospectorの系列はどちらか一方にした方がよかった。また、血統表でいくつか弱点を発生させているのも大きなマイナスであると言え、9代目において主導内の血統をクロスさせているのは幸いだが、やはり無視は出来ない部分であると言えるだろう。
 反面、各系統は近親度が高い為に当たり前ではあるが強固に連動し、Nijinskyのスタミナ、Mr.Prospectorのスピードを自身の核にした配合とも言える。重ねて、ジェイドロバリーを全開にさせた血統構成も相まって、精緻な状態であるとは決して言えないものの、仕上がった際には一定の迫力を見せることは否定できない。
 また、そのスピードとスタミナは強靭で、その全てをNijinskyとMr.Prospectorへと集合させたのは、この配合の大きなセールスポイントで、本質的には芝・ダート兼用のマイル~中距離馬であると言え、距離延長の適性はある程度秘めるものの、厳しい流れでは脆さも秘めるタイプだと言えるだろうか。

エバーブロッサム(ディープインパクト×サクラサク-デインヒル)牝・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235160

主:8 結:5 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:36点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Northern Dancer5×4・5の系列クロス。このNorthern Dancerは、父方サンデーサイレンス、母方デインヒルと呼応したもので、Natalma~Almahmoudとクロスし、よりスピードよりでこそあるものの、非常に明確な主導として当馬の血統構成を圧倒的にリードしている。また、各系統との結合力も強固で、仕上がった際には豊なスピードを発揮しやすい血統構成だと言えるだろう。また、血統を支える土台構造も強固で、影響度バランスも近親度が高いわりには良好。これといった弱点や欠陥も存在しないのも鑑みると、開花した場合安定感のある血統構成だといえる。
 惜しむらくはこれといったスタミナの核を形成できなかった点で、有力なスタミナ源として機能しているのはPocahontas5×6の中間断絶クロスで、このクロスが血統の9代目でこそあるものの、結合を完了しているのは幸いだと言えるだろうか。ただし、Gainsboroughを核としたスピードの血には見るべき点も多く、本質的にはマイル対応可能な中距離馬であると言えるだろうか。

デニムアンドルビー(ディープインパクト×ベネンシアドール-キングカメハメハ)牝・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233395

主:7 結:5 土:4 弱:3 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:9~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型: 馬場適性: 重馬場適性:

 主導は、Northern Dancer5×4・6・6の中間断絶クロス。その中のAlmahmoud5・7×6・8・8で実質的に血統をリードしている。この主導はNorthern DancerとAlmahmoudの位置において問題を残すものの、他に影響の強いクロスも存在しないのも幸いし、比較的明瞭に血統全体をリードしている。また、血統全体の結合力も近親度こそ高いものの、6代目までのクロスの全てがNorthern Dancerの傘下にある点も相まって、しっかりと完了し、強固だと言えるだろう。
 また、土台構造も比較的強固で、影響度バランスも良好であることから現時点での能力発揮に安定感のあるタイプだと考えられる。惜しむらくは、キングカメハメハ内Pilot Birdの世代後退だが、当馬もそのマイナス点をひきずっている。この解消は容易ではないものの、キングカメハメハを血統に含む交配を考えるならば、検討すべき部分だと言えるだろう(当馬も8代目に存在するNorthern Dancerが世代ズレをおこしている。9代目においてNearcoがクロスするものの、弱点を発生させたのが惜しまれる)。
 本質的には、中距離を中心にしたい血統構成で、生きた血を勘案するに、距離延長・短縮のどちらにもあまり適性を秘めていないのは指摘しておきたい。

セレブリティモデル(キングカメハメハ×マンハッタンセレブ-サンデーサイレンス)牝・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234985

主:5 結:4 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス Almahmoud)
合計:35+1点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:7~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Almahmoud7・7×5の系列クロス。次いで、Nasrullah6・7・8・8×7の系列クロスで血統をリードしている。この両者はMumtaz Mahalで結合し比較的強固に連動するものの、当馬の血統構成においては連合勢力と言えるほどの連動性を見せなかったのは惜しまれる点である。また、6代目までにさほどクロスをつくらない簡素な配合形態であるものの、Count Fleetが完全に離反しているのは非常に惜しまれる。このクロスは無い方が良かったといえる。また、全体の結合力も極めて強固にとはいかず、Almahmoud・Nasrullahの両者をうまく使ってこそいるものの、間接結合がメインの配合で、開花に時間がかかりもどかしいタイプになりやすいと、言えるだろうか。しかしながら、この配合の最大の長所はそのスピードの豊富さだと言え、器用なタイプに育つ可能性は高いと考えて良い。
 また、父母の持つスタミナを前面で上手く再現できなかったのは残念であるが、7代目以降において、スタミナ系のクロスの生かしたは素晴らしく、本質的には中距離馬であるものの距離短縮・延長共に融通度合いは、非常に高いタイプに育つ可能性は指摘しておきたい。

サクラプレジール(サクラプレジデント×サクラプレステージ-ブライアンズタイム)牝・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234608

主:7 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:35点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:7~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:○

 主導は、Northern Dancer5×4の中間断絶クロス。その中のAlmahmoud5・7×6及びLady Angela7×5・6の系列クロスで全体をリード。他に前面でクロスしたHail to Reasonは単一クロスの為に、主導の明確性を若干乱したものの、比較的強力に全体をリードしていると言ってよい。また、血統全体の結合力も比較的強固で、Businesslike
(=Belle of Troy)は直接Northern Dancerと結合こそしないものの、Hail to Reasonを介して間接結合を果たしたのは幸いで、当馬の血統構成においてHail to Reasonがアシストしているのを見てとることができるだろう。
 惜しむらくは、ノーザンテースト強調型という点も相まって質が高いとは言えない血統構成で、底力にはやや劣る部分だが、生かされたスピード・スタミナは良好で、柔軟性のある血統構成。本質的には中距離馬で自分で競馬を作るタイプではないだろうが、見た目の血統構成よりも、ずっと良さがある血統である事は指摘しておきたい内容である。


 今回の血統徒然草は、先日行われたオークスにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。

ライバル列伝-01(ウオッカ・ダイワスカーレット)

2013-05-14 18:44:26 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、競馬界におけるライバル達にスポットをあてて、彼(彼女)等を血統面からふりかえってみたいと思います。簡単にではありますがお付き合い頂ければ幸いです。では、今回はウオッカとダイワスカーレットの二頭についてです。


ウオッカ(タニノギムレット×タニノシスター-ルション)牝・04生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=196417

主:7 結:5 土:3 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:36点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:○

通産成績:26戦10勝 [10-5-3-8]

主な勝鞍:阪神ジュベナイルF(G1) 東京優駿(G1) 安田記念(G1)2勝 天皇賞(秋)(G1) ヴィクトリアマイル(G1) ジャパンC(G1)

 主導は、Nashua5×6の系列クロス。次いで、Roman6・6×6、Alibhai6・7×6の系列クロスで血統をリードしている。Nashuaの父であるNasrullahが6・7×5・6・7とNashuaとの位置の悪さが多少気にはなるが、血統の4ブロックに存在したのは素晴らしい点で、血統全体を明確にリードしていると言う事ができるだろう。また、主導たるNashuaとRomanはSir Gallahad(=Bull Dog)によって、Alibhaiは母方Nasrullah内Chaucerを通じて若干弱いものの、9代目以内にきちんと結合し、ウオッカの能力形成に寄与しているのが見てとれるだろう。
 この両者は、それぞれスピードとスタミナをバランスよくNashuaへと供給し、この三者の連動がウオッカの能力の源泉であると考えて良いだろう。ただし、極めて強固にとはいかなかったのは惜しまれる点で、影響度バランスや土台構造も極めて良好であるとは言えない点も鑑みるに、安定しての全能力発揮が若干難しいとも考えられる事は指摘しておきたい部分である。また、本質的には若干スピード優位で、マイル対応可能な中距離馬であると言えるが、父系クロスのGraustark4※5やSicambre5※6が目覚めた場合、12Fの自力勝負は厳しかっただろうが、距離延長に対しての適性の兆しをみせても、不思議では無いことを付け加えておきたい。


ダイワスカーレット(アグネスタキオン×スカーレットブーケ-ノーザンテースト)牝・04生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=196467

通算成績:12戦8勝 [8-4-0-0]

主な勝鞍:桜花賞(G1) 秋華賞(G1) エリザベス女王杯(G1) 有馬記念(G1)

主:5 結:5 土:2 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3 特:1(主導牝馬クロス Almahmoud)
合計:29+1点 クラス:2B 芝:7~10F ダ:7~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:○

 主導は、Almahmoud5×5の系列クロス。次いで、Royal Charger6×5の系列の影響が強い。この両者は、当馬の血統において7連存在し影響の強いHyperion内のGainsboroughを介し強固に連動している。また、若干世代ズレ気味であるがBull Lea7×5(父方8代目は世代ズレとしてカウントしていない)が主導たるAlmahmoudと直接結合こそしないものの、Royal ChargerやHyperionを介し結合しているのは幸いで、主導の明確性には影をおとしているものの、結果的に必要なクロスとして全体の底上げに一役かっているのは指摘しておきたい。
 更に、ノーザンテースト内の欠陥を見事に解決しているのは、素晴らしい部分だが、祖母スカーレットインク内Papalonaに欠陥を生じているのは、大きなマイナスで、この分部の血統が全体から著しく古い為に生じたマイナスであると言える。この欠陥は、確かに10代目において完全に解消する内容であるが、結果的に完全開花は非常に困難な血統構成であると言え、当馬がいかなる理由において開花したかは、また別の話であるが、こういう血統構成は完全開花率が平均以上に低い事を念頭においてほしい。
 しかしながら、前述したようにHyperion~Gainsboroughを核とした血統構成でありながら、全体のクロス数を非常に少なくした部分は、個人的にはノーカウントだが、評価に値すると言うことができ、スピード優位の血統構成とあわせ、仕上がった場合に反応の鋭いタイプだと考えられる。本質的にはマイル対応可能な中距離馬だといえるだろうか。

 ここで、この希代の名牝二頭に対して敬意を表すると共に、仮想配合を考えてみたいと思う。

(ローズキングダム×ウオッカ-タニノギムレット)-・-生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?gene=9&fdata=204811&mdata=196417

主:6 結:5 土:4 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~10F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Never Bend6・7×5の系列クロス。次いで、Nashua6・6×7で血統をリードしている。この両馬は、連合勢力とは若干言い難いものの、血統表に11連存在する、その父Nasrullahを介し非常に強固に結合し、また連動しているといってよい。しかしながら、Native Dancerを伴うRaise a Native5×6の影響も比較的強く、この部分が惜しまれる点で、できることならこのクロスは無いほうが良かった。しかしながら、母ウオッカに若干不足したスタミナを、Graustarkの中間断絶や、LuthierやHail to Reasonの単一クロスから補給できたのは大きなセールスポイントで、12F克服は十分に可能。
 惜しむらくは、母のようなシンプルな血統構成を形成できなかった点で、重厚さもあいまって開花には相当の鍛錬が必要だと考えられる。
 また、母は父タニノギムレットにとって唯一のG1ウィナーであるが、それは血統表において存在したHyperion~Gainsboroughの影響が強かった点が理由だと個人的には考えるが、当馬も母の傾向を引き継ぎAlibhaiを内包した、Graustarkをしっかりと生かしつつ主導と連動させたのは大きなセールスポイントだと考えて良い。
 本質的には、12Fを澱みない流れで押し切れるような中~長距離馬であるといえ、底力を秘めた血統構成だと言えるだろうか。

※土台構造を5→4に訂正。それにともなって総合評価も1A→3Bへと変更。

(サクラチトセオー×ダイワスカーレット-アグネスタキオン)-・-生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?gene=9&fdata=1301&mdata=196467

主:7 結:5 土:3 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導はノーザンテースト3×3の単一クロスを呼び水にしたHyperion5・6・7・7・7×6・7・8・8・9・9・9の系列クロス及び、Almahmoud6×6・6の系列クロス。この両者は、ノーザンテースト及び、Gainsboroughを介して強固に結合し連動を果たしている。次いで、影響の強いクロスである、Nasrullah(=Rivaz)やBull Leaはしっかりと結合し、連動を果たしている。また、本来結合しにくいTourbillon~Ksarは、Rabelaisにより、ノーザンテーストへと結合をしており、この血統全体の連動性がこの配合最大の武器で、見た目の血統から非常に古臭さを感じるものの、生かされた血が連動する様は、一見の価値があると言えるだろう。
 また、生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピードは、Almahmoud・Nasrullah(=Rivaz)にPalestine~Fair Trialの決め手を補給している。スタミナ勢力は、Bull Leaを中核に、Chanteur・Tourbillon~Ksarを生かしている。本質的には中距離馬であると言え、父を彷彿とさせる決め手ある差し脚を発揮する可能性を指摘しておきたい。


 簡単にではありますが今回はこんなところで。また、仮想配合に関しましては、決して関係者の皆様への問い合わせや、それに類する行動を取らないように願います。

13年・ヴィクトリアマイル

2013-05-14 18:43:17 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたヴィクトリアマイルの上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


ヴィルシーナ(ディープインパクト×ハルーワスウィート-Machiavellian)牝・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=214622

主:5 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:7~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はNorthern Dancer5×4。母方Natalma~Almahmoudと系列クロスを形成し、比較的明確にリードしているように見える。しかしながら、Haloが3×4・5とクロスしNorthern Dancerと同様にAlmahmoudから系列クロスを形成した為に、かなり主導の明確性を乱している。反面、結合面において、Haloが欧米系を上手く統合し、AlmahmoudやNearcoによって強固に連動している、Northern Dancerをうまくアシストしているのが見て取ることができる。この両者が連合勢力であるとは、言い難いものの上手く機能しているとも言えるだろうか。ただし、強調点がぼやけているとも言える為に、詰めは甘い血統構成だと言うのは指摘しておきたい。
 また、それぞれ中間断絶クロスであるものの、Wild Risk・Pocahontasがスタミナの核を形成したのは幸運で、粘りあるスピードを発揮可能で、牝馬にしては不利なタイプだと言えるが、本質的にはマイル~中距離馬だと考えられるが、自分で競馬を作る強靭さをもちあわせていると言えるだろうか。

ホエールキャプチャ(クロフネ×グローバルピース-サンデーサイレンス)牝・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209387

主:5 結:4 土:2 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3 特:1(主導牝馬クロス Almahmoud)
合計:29+1点 クラス:2B 芝:5~8F ダ:5~7F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導はAlmahmoud7×5の系列クロス。次いで、Hail to Reason6×4の中間断絶で血統をリードしている。両者の相性はGainsborough・Fair Playを共有するが、近い世代での連動性は低く、決して良好とは言い難いのが惜しまれる。また、両者と傾向が全く異なるBlue Moon(=Blue Grotto)が5×7と中間断絶ながら、かなり強い影響を持ったのは当馬の血統構成を考える上で明らかにマイナスで、The Tetrarchで結合こそするものの、できるならこのクロスは無い方がよかった。
 また、血統の奥ではあるものの、5連存在するMan o'Warを筆頭に、米系統が強い血統構成で、これら米系のクロスは、主として間接的にではあるが主導たるAlmahmoudへと結合している為に、ダートや重馬場は得意とする血統だと考えて良い。
 しかしながら、これといったスタミナの核の形成には失敗している為、距離は伸びれば伸びる程不利だと考えて良く、マイル適応がギリギリ可能な芝・ダート兼用のスプリンターだと言えるだろうか。

マイネイサベル(テレグノシス×マイネレジーナ-サンデーサイレンス)牝・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209672

主:6 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はNorthern Dancer4×5の中間断絶。その中の、Almahmoud6×5・7及びLady Angela5・6×7の系列のクロスで実質的に血統をリードしている。この主導は比較的明瞭な主導で、父母共にGainsboroughの流れが強い、当馬の血統を上手くリードしている。
 また、この日本向きの素軽いスピードをNasrullah・Tom Foolの系列クロスがスピードをアシストし、Prince Roseを伴うPrincequillo6×6がそのスタミナをアシストするなど、血統全体の連動性もかなり良好で、この部分が当馬の能力の源泉だと考えて良い。
 従って、父ほどのシンプルな血統構成では無い為、差し脚によさがあるタイプだとは言えないものの前述したPrincequilloの生かし方は、これ以上無いほど素晴らしく、本質的には中距離馬だと考えてよいものの、12F克服は十分に可能。更に、血の質自体は決して高く無いものの、自力勝負可能な血統構成だと言え、ある程度の成長力も期待できるだろう。

ジョワドヴィーヴル(ディープインパクト×ビワハイジ-Caerleon)牝・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=215093

主:6 結:6 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Turn-toを伴うHail to Reason4×5及び、Sir Gaylord6×4。この両者は、その父Turn-toによって強固に結合し、連合勢力と言える明確性は無いものの、協力に血統をリードしている。ただし、当馬の血統においてはAlmahmoud5・7×6やCourt Martial6・7×5の影響が強く、極めて明瞭にとはいかなかったのが惜しまれる点である。
 しかしながら、生かされたスピード・スタミナ勢力は非常に強靭で、スピードはAlmahmoud・Pharamond(=Sickle)・Fair Trial。スタミナは、Princequillo・Court Martial・Hyperion・Feolaと隙が少ない。牝馬としては非常に重厚で、開花には時間を要すると考えられるものの、完全開花した場合、相当の迫力を見せる事ができるはずで、自ら競馬を作れるタイプだと言えるだろう。
 また、半姉のブエナビスタ(2B級)と比較した場合、当馬の方が複雑な血統構成をしている為に開花率自体は低いと考えられるが、純粋な血統構成面からの考察では当馬の方が、圧倒的に上であることを付け加えておきたい。

アドマイヤセプター(キングカメハメハ×アドマイヤグルーヴ-サンデーサイレンス)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は若干不明瞭ながら、Hornbeam6×5の系列クロス。次いで、Almahmoud7・7×5・7で血統をリード。更に、中間断絶ではあるが、Northern Dancer5・5・7×5も作成された為、かなり不明瞭に見えはするものの、Gainsborough系の流れが血統全体でよく生かされており、その意味においてもHornbeamが主導だと考えられる。惜しむらくは、前述したNorthern Dancerクロスの派生で、結合面から見たときには決して不要とは言い難いものの、出来ればこのクロスは作成しない方が良かった。
 生かされたスピード・スタミナ勢力はなかなかに強靭だが、本来強烈なスタミナ勢力として機能するHornbeamは、当馬の血統構成上8連存在するNasrullah(=Rivaz)から相当のスピードをアシストされている為に、スタミナ勢力としての機能がやや減少していると考えられるのが惜しまれる。しかしながら、これといった弱点が無い点や、良好な影響度バランスから推察するに、開花した場合の能力発揮を安定しておこなえるタイプだと言えるだろう。
 また、本質的には中距離馬であるものの、スピードの引き出しに成功すればある程度の距離短縮に対応できると考えられる事を指摘しておきたい。


 今回の血統徒然草は、先日行われたヴィクトリアマイルにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。

13年・NHKマイルC

2013-05-06 21:49:06 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたNHKマイルCの上位馬及び人気馬、見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


マイネルホウオウ(スズカフェニックス×テンザンローズ-フレンチデピュティ)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231927

主:5 結:3 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:9~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:○

 主導はNorthern Dancer4・5×5の中間断絶クロス。その中のAlmahmoudの系列クロスで、実質的に血統をリードしている。しかしながら、Hail to Reason4・6×5の単一クロスや、Prince John6×6の系列クロスの影響も強く、明確にとはいかなかったのが惜しまれる点である。また、各系列の結合力や土台構造も弱く、かなりちぐはぐな血統構成であると言えるだろう。
 しかしながら、これといった弱点や欠陥は無く、生かされた血の質自体は悪く無い。更に強調されたFairy Kingは全開し、血統全体での7代目以降においてもきめ細かく血を生かしている為、仕上がった際には底力ある血統構成であるとも言える。多分に結果オーライ的な配合であるものの、これは、当馬の大きなセールスポイントであると言えるだろうか。全体評価としては決して高くは無いが、この部分は記憶に留めておきたい部分で、底力勝負自体は可能であると指摘しておきたい。

インパルスヒーロー(クロフネ×クラシカルテースト-サンデーサイレンス)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234607

主:7 結:4 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:32点 クラス:2B 芝:7~11F ダ:6~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:◎

 主導はNorthern Dancer5×4の系列クロス。クロフネ産駒に多い形態でその父Nearcticを伴い、血統の3ブロックにおいてその影響力を強力に行使している。しかしながら、母父サンデーサイレンス内においては、若干動き出しが遅く、母方の影響が強い配合だけに、惜しまれる点ではある。重ねて、血統全体の結合力は万全では無く、特に米系の離反が著しく、土台構造も決して強固であるとは言い難い。また、父が持つ血統上の大きな問題点として、Pago Pagoの連動性の低さが挙げられるが、当馬も同様にPompilia内に弱点を発生させている。9代目においてSpearmint・Bayardo・Polymelusとクロスさせた為に、比較的軽微だと考えられるが、近親度の強さから考えればやはり軽視は出来ないと言えるだろう。
 反面、生かされたスピード・スタミナ勢力はなかなかに強靭で、特に強調された母母のダイナクラシック(=アンバーシャダイ 1A級)の生かし方は素晴らしく、好調期には強い競馬を見せる事ができるだろう。ただし、好不調の波は激しいタイプである事も付け加えておきたい。

フラムドグロワール(ダイワメジャー×シルクプリマドンナ-ブライアンズタイム)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231661

主:7 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:6~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導はNorthern Dancer4×3の中間断絶クロス。その中の、AlmahmoudとLady Angelaで実質的に血統をリードしている。この主導は比較的明瞭で、血統全体においてGainsborough系の流れを維持しているのもあいまって、有用に機能しているといえるだろう。惜しむらくは、Hail to Reason4×4の中間断絶の影響もかなり強い点で、Hail to Reason自体は結合面において有効に作用しているものの、Royal Chargerが6代目から3ブロックにおいて系列クロスを形成している点である。できる事ならこのクロスは無いほうがよかった。しかしながら、各系統がGainsboroughを核に結合できたのは幸いで、これは当馬の大きなセールスポイントであると言える。
 また、近親度が高い為にある意味当たり前ではあるが、血統全体でこれといった弱点は無く、父ダイワメジャーが抱えたノーザンテースト内の欠陥も見事に補正されている。重ねて影響度バランスもかなり良好で、土台構造は若干散漫であるものの、非常に安定感のある血統構成であると言え、父ダイワメジャーの配合モデルとして、参考になる血統構成であると言えるだろうか。生かされたスピード・スタミナは強靭で、芝・ダート、重馬場もこなす全天候型の血統構成。また、将来的には8F前後の距離が適性になると想像される。

エーシントップ(Tale of the Cat×Ecology-Unbridled's Song)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231648

主:4 結:3 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:28点 クラス:1B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早熟 馬場適性:ダート 重馬場適性:○

 主導はBold Ruler5・6×5の系列クロス。この主導は父の主導をそのまま踏襲したため、父の配合を考える上での選択肢としては悪くは無いが、当馬の血統においては、Mr.Prospector3×5、Northern Dancer4・6×4の中間断絶クロスや、Princequilloを伴うRound Table(=Monarchy)5×4の単一クロスが形成され、非常に不明瞭な状態であると言わざるを得ない。もし、Mr.Prospectorをクロスさせるならば、主導をBold RulerからNashuaへと変更した方が、配合上はすっきりするだろう。また、6代目までに存在する各系列の結合は、主導たるBold Rulerがまとめきれずにいるものの、Mr.Prospector及びNorthern Dancerがそのアシストをしている為に、かろうじて完了している。ただし、間接結合に頼りすぎているのは、やはりマイナスで大きく評価できるものでも無い。
 生かされているスピードはなかなかに良好であると言えるが、前述の主導・結合の問題から、常に安定して発揮できる可能性が低いのは指摘しておきたい。近親度の強さから開花自体は早いと思われるが、成長力はやや疑問で勝負は他馬の成長前か。また、本質的に距離延長は向かないと考えられ、ベストはマイルまでだと思われる。

ザラストロ(ホワイトマズル×セクシーココナッツ-ダンスインザダーク)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=232981

主:7 結:5 土:4 弱:3 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はNorthern Dancerを伴うLyphard3×5。途中Nearcticが断絶するもののNorthern Dancerは血統の3ブロックに存在し、明確に血統をリードしている。多少、位置が悪いものの、次いで影響の強いCourt Martial5・7×7の系列クロスを内包しているのは、当馬の血統構成を考える上で幸運だと言えるだろう。また、父方のLyphardが3代目からクロスした為に、各系統がひとまず結合を完了しているのは幸運で、近親度が高い為に決して高評価できるものでも無いが、かろうじての連動性が保たれているのが見て取れるだろうか。また、土台構造はなかなかに強靭で、Pharos(=Fairway)が23ヶで形成し、Blenheim・Gainsboroughがアシストしており、かなり優秀だと考えて良い。
 しかしながら、これだけ近親度が強い配合でありながら、父内Pago Pagoにおいて弱点を発生させたのはマイナスで、影響度が低い部分であり、かつ9代目に土台構造を形成するFairwayが配されたのは大きな幸運だと言えるだろう。
 全体のバランスとしてはややスピードが勝っているものの、Hurry Onを伴うCourt Martialがスタミナの核を形成した為に、10F克服は十分に可能で本質的には中距離馬だと言え、相当の鍛錬が必要ではあるが7代目以降において、Djebel~Tourbillon~Ksarを系列クロスにし、粘りあるスピードを発揮する可能性を指摘しておきたい。

 今回の血統徒然草は、先日行われたNHKマイルCにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。

13年・天皇賞(春)

2013-05-04 14:45:00 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われた天皇賞(春)の上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


フェノーメノ(ステイゴールド×ディラローシェ-デインヒル)牡・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=215283

主:6 結:5 土:4 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:35点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Northern Dancer5×4の系列クロス。このNorthern Dancerクロスは母父デインヒルと呼応してのもので、Natalmaがクロスし明確に血統をリードしている。しかしながら、血統の2ブロックにしか、影響を及ぼさないのは大きなマイナスで、明確ではあるものの、決して高評価できるものでもない。しかしながら、結合面はそれなりの近親度がある為、ある意味当たり前であるが比較的強固であると言える。6代目までに存在するクロスは全て主導と直接結合し、7代目以降のクロスも比較的連動性が高い。また、血統の土台構造も比較的強固で、影響度バランスの良好度もあって、開花した場合は非常に安定感のある配合であると言える。
 惜しむらくは、スピードとスタミナのバランスにおいて、ほぼイーブンのバランスで、7代目以降は圧倒的にスタミナ優位でありながら、Ribot5※5の母系クロスのアシストもあるものの、本質的には中距離馬であると言える。従って、芝12Fは守備範囲でこそあるものの、12F以上の距離においての適性は若干疑問で、ある意味で国内では有利な血統構成であると言う事もできるだろうか。

トーセンラー(ディープインパクト×プリンセスオリビア-Lycius)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209806

主:7 結:5 土:4 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:36点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はLyphard4×4の系列クロス。この主導は非常に珍しくはあるが、Northern Dancerを伴うだけでなく、母Goofedが系列クロスを形成し近親度こそ強いものの、明確に血統をリードしている。惜しまれるのは、父父サンデーサイレンス内において、Turn-toを伴うHail to Reasonが4代目からクロスし、大きな影響をもった点で、主導の明確性に無視できない影を落としている点である。できるならば、Turn-toのクロスは無い方が良かった。
 しかしながら、血統全体の結合力はHail to Reasonがそのアシストをした為に、かなり強固で、仕上がった際には迫力ある競馬を見せる事が可能だろう。また、土台構造もかなり強靭で、血統の背骨にあたる構造はしっかりした配合だと言えるだろう。また、生かされたスピード勢力はなかなかに強靭で、若干乱雑な血統構成の為に、切れ味鋭いとはいかないだろうが、多種のスタミナ要素を主導へと取り込んだ為に、粘りあるスピードに良さがあるタイプと言え、本質的には中距離馬だと言えるだろう。

Red Cadeaux[レッドカドー](Cadeaux Genereux×Artisia-パントルセレブル)セン・06生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233833

主:5 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:10~12F ダ:~10~F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Tudor Minstrel5・6×7の中間断絶クロス。やや、世代のバランスが悪いものの、血統の3ブロックにおいて、その影響力を行使している。しかしながら、血統全体においてHyperionの影響力が強いものの、Nearcoも6代目から影響力を行使している点を考えると、決して明確とは言い難いのが惜しまれる点である。また、母の母内Chain Storeが若干離反したために、弱点を2ヶ所発生させているが、それぞれ9代目において主導と直接結合する、Hyperion・Pharosがクロスしたのは非常に幸運で、紙一重の血統だと言う事も可能だろう。
 反面、各系統の結合力は強固で、Pharos・Selene~Chaucerを中核に、主導たるTudor Minstrelと直接結合を果たしている。土台構造は、やや散漫ではあるものの、影響度バランスも良好で、完全開花した場合、大きく崩れにくいと言える血統構成であると言えるだろう。本質的にはステイヤーとは言い難いものの、7代目以降に生きた血を勘案すると、ある程度の距離延長にも対応できる可能性がある事は、指摘しておきたい。

ゴールドシップ(ステイゴールド×ポイントフラッグ-メジロマックイーン)牡・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=215094

主:5 結:4 土:3 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:31点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:○

 主導はPrincely Gift5×5の系列クロス。その父Nasrullahは血統の3ブロックに存在するものの、母父メジロマックイーン内においては7代目以降に存在するために、血統全体を強力にリードする主導勢力としてはかなり疑問で、中間断絶であるもののNorthern Dancer5×5の影響が強いのも惜しまれる点である。また、血統全体の結合力自体はHail to Reason4×6の単一クロスのアシストもあり、悪く無いものの近親度の強さを勘案すると平均レベルであると言えるだろうか。反面、血統全体においてこれといった弱点は無く、意外と安定感のある血統構成で、現時点の能力発揮がしやすいタイプであるのは指摘しておきたい。
 また、見た目の血統から長距離適性があるように見受けられるが、強い影響を持つスタミナ勢力が少なく(目立つのはHail to Reason4×6の単一クロス程度。Hail to Reasonは本来中距離向きのスピード勢力だが、当馬の場合Hail to Reason内のスピード勢力をことごとく欠落させているのが見てとれ、中距離スタミナ型へと能力変換をおこしていると見てよい。また、主導たるPrincely Giftは短距離スピード型だが、7代目以降に存在するBlandford系のスタミナをしっかりと目覚めさせた為、多少距離の融通性を兼ね備えていると見てよく、中距離スピード型と判断している)、母系クロスにおいて、Sicambre(=Senones)6※6、Bois Roussel6※8があるものの、本質的にはマイル適応可能な中距離馬と考えて良い。ただし、7代目の血の生かし方を見るに、隠し味的なスタミナを多数生かし、主導へと結合させている為に、長く脚を使う可能性は否定できない血統構成で(ステイゴールド×メジロマックイーンの相性の良さはここが源泉と考える。大きな評価ができる内容でこそないものの、7代目以降のメジロマックイーンの生かし方はほぼベスト)、この部分は現実の当馬が示していると言えるだろうか。

デスペラード(ネオユニヴァース×マイネノエル-トニービン)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=211937

主:5 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス Almahmoud)
合計:34+1点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:9~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Almahmoud5×6の系列クロス。次いでHyperionの影響が強い。この両者の相性は非常に良好で、一見明確に見える主導だが、Phalaris系の、Nasrullah(=Rivaz)~Nearcoや、Palestine~Fair Trialの影響も非常に強く、決して万全な主導とは言い難いく、主導としての評価は平均点を超えるものでは無い。しかしながら、実質的な異系交配でありながら、血統の結合力は悪くなく完全開花した際には意外と器用な競馬を見せる可能性は秘めている(Native Dancerが完全に離反したのが非常に惜しまれる、10代目において結合するものの実質的に未結合。このクロスは作成しない方が良かった)。また、そのスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピードは主導たるAlmahmoudを中核にNasrullah(=Rivaz)のスピードやTetratemaを生かしたPalestineの決め手を兼ね備えている。スタミナもなかなかに強靭で、Hyperionを非常に強力な中核に、Prince Roseを伴うPrince Bioや、Hail to Reasonがそのアシストをしている。したがって、本質的には中~長距離馬であり、開花には相当の鍛錬が必要であると言える。国内では非常に珍しい血統構成であるとも言え、是非とも開花を果たし近年では珍しくなった、決め手を備えた個性派ステイヤーとしての走りを期待したい。


 今回の血統徒然草は、先日行われた天皇賞(春)においての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。