血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

Frankel(フランケル)

2011-06-19 18:56:58 | 海外馬
Frankel(Galileo×Kind-デインヒル)牡・08生

主:7 結:6 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、Northern Dancer3×4の中間断絶クロス。このNorthern DancerはNearctic・Almahmoudが欠落するものの、デインヒル内のNorthern Dancerと呼応したために、Natalmaを伴いほぼ系列ぐるみのクロスを形成している。したがって非常に明確に血統をリードしていると考えられるが、明確に影響を行使しているのは2ブロックでしかないために、若干評価を落としていると考えられる。ただし血統全体において、Northern Dancerの影響力は大きく、総合的に見るとやや良いといった評価に落ち着くだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるNorthern Dancerと6代目までに存在するクロスである、Natalma・Native Dancer・Nearco・Hyperion・Mahmoudは、Northern Dancerに含まれる血統で確実に結合している。BuckpasserはPhalarisで、Raise a NativeはNative Dancerで、PrincequilloはPrince Palatineで、NasrullahはNearcoで、それぞれ直接結合をはたしている。7代目以降におけるクロス馬の連動も強固で、ひとたびNorthern Dancerが動きだした場合、血統全体が自動的に連動する体制が整っている。非常に優秀だと考えられるが、近親度が高いのはややマイナスか。

○ 土台   (2)

 Blandfordが15ヶで形成。単一の土台構造としては弱く、決して強固だとは言い難いが、Pharos(=Fairway)が17ヶでサポートできたのは幸いか。ただし、かなりちぐはぐな内容である事は間違いなく、高評価できるものでもない。

○ 弱点   (5)

 これといって大きな欠陥は存在しないが、父方Almyra、母方Herbagerに弱点を派生させている。それぞれ9代目において、両者ともPharos・Phalaris・Teddyとクロスさせ、主導たるNorthern Dancerと連動させたのは幸いで、さほどおおきな弱点ではないと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(14-6-12-3)と近親度が強い配合だけにかなりバランスが悪いと考えられる。強調された部分に主導勢力がしっかりと配置されているのは幸いか。

○ 質[近]  (2)

 近い祖先の血の質は比較的高い。良好であると言えるが、父方と比較して母方がやや劣るのは多少気にはなる。底力勝負に対応可能。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNorthern Dancerは質が高い配合で、影響の強いクロス馬も比較的良好なレベルを保っている。前述の質[近]とあわせ優秀な内容だと考えられる。

○ スピード (4)

 主導たるNorthern Dancerは本来スタミナによさが出るクロス馬であるが、本馬の場合、Natalmaを伴い若干スピードタイプへと能力変換されていると考えられる。また、Raise a Native・Nasrullahのスピードもアシストされ、決して器用なタイプでは無いだろうが、血統全体においてスピード面によさがある内容だと考えられる。

○ スタミナ (4)

 血統内において、Princequillo・Buckpasserのスタミナを核にした配合。本来結合しにくいため、その能力を発揮されにくい、Princequilloのスタミナであるが、本馬の場合、父父方の血統構成が古く、近親度が高い配合の為、ひとまず結合を完了したのが幸いしている。また、7代目以降においてもスタミナに良さがある内容で、長く脚を使えるタイプになる可能性を秘めるだろう。


 総合的に見ると、近親度の高さやバランスの悪さを抱えながら、かなりの迫力を秘めた配合で、とくに血統全体において血の流れによさがあり、仕上がった際にはかなりの破壊力を秘める内容だと考えられるだろう。ただし、やはりそのバランスの悪さはかなり深刻で、一度調子を崩した場合、その回復には意外と手間取る可能性も高い。
 また、一部で言われるようなマルゼンスキーとの比較だが、血統面だけで総合的に見た場合、マルゼンスキーには及ばないと考えられる。それでも、マイル~中距離のスピード型配合としては見るべき点もあり、父Galileoのスピードを最大限引き出しているのは見て取ることができる。スタミナの値も良好で、芝12Fの克服は厳しいタイプだろうが、芝10F前後までなら、その豊かなスピードで押し切れる、強い競馬をする事は十分に可能だろう。更に、成長力も秘めた内容で、今後の活躍も期待したい。

オルフェーヴル(日本ダービー)

2011-06-14 21:00:31 | 2011年GⅠ勝ち馬
オルフェーヴル(ステイゴールド×オリエンタルアート-メジロマックイーン)牡・08生

主:7 結:5 土:4 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (7)

 主導は中間断絶ではあるものの、ノーザンテースト4×3。ノーザンテーストは次いで影響が強く系列クロスを形成する、Lady Angela6・7×5・6および、Almahmoud5・7×6を内包し、他に影響の強いクロスが血統前面に存在しないのも幸いし、血統全体を比較的強力にリードしている。

○ 結合   (5)

 主導たる、ノーザンテーストと6代目までに存在するクロスである、Lady Angela~Hyperion、Almahmoud~Mahmoud、Nearcoはノーザンテーストに含まれる血統である為に確実に結合している。また、NasrullahはNearcoを通じて、PharamondはPhalaris・Seleneを通じ結合を完了している。オルフェーヴルは、血統の前面においてノーザンテースト以外に影響の強いクロスを、作成しなかったのは主導面において有効に作用しているが、結合面においても、比較的シンプルな形態を作成できたのは幸いだろう。ただし、7代目以降においての連動性は決して高いとは言えず、近交馬である点も踏まえると、不満が残る内容であることも確かだろう。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Gainsboroughが16ヶで形成。単一の土台構造としては平均的なレベルを確保している。更に、Blandfordが17ヶでサポートしている。新しい世代の配合としては中々に強固な内容だと言えるだろう。

○ 弱点   (4)

 母方Victoria Park・Bronze Babu内に弱点を派生させている。しかし、前者は9代目においてSir Gallahadが、後者も同じく9代目にBlandford~Swynfordが配されている為に、さほどの弱点だとは言えないだろう。決して劣悪なレベルではないものの、近親度が高いのはやはりマイナスではあるだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-4-0-8)と母母エレクトロアートを強調している。父母のバランスは(8-8)と悪くはないものの、母父であるメジロマックイーンの影響度が0となったのが非常に惜しまれる。できることならば、質の高いサンデーサイレンス・ゴールデンサッシュ・メジロマックイーンを強調したいところだった。

○ 質[近]  (2)

 父母の血の質は決して高いとは言えないが、2代目に並ぶサンデーサイレンス・ゴールデンサッシュ・メジロマックイーンは非常に質が高い血統構成をしている。ただし、ノーザンテーストや、ダイナサッシュ等バランスを崩した配合も並び、総合的には平均的だと言えるだろうか。

○ 質[遠]  (2)

 主導たるノーザンテーストは決して質の高い配合とは言い難い。また、影響の強いLady Angela・Almahmoudも決して質が高いとは言えない。底力勝負には決して向かないタイプだと言えるだろう。

○ スピード (4)

 主導たるノーザンテーストは軽い短距離向きのスピードを再現するが、次いで影響の強いLady Angela・Almahmoudも軽いスピードをノーザンテーストへと補給している。更に、Nasrullahや8~9代目になるものの、Tetratemaが決め手を加えている。日本向きのスピードを良く再現しているだろう。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作れなかった配合だと言える。したがって距離延長は本質的には不利な血統構成をしている。芝12F以上の克服には展開の助けが必要だろう。しかしながら、7代目以降において、Donatello・Sir Gallahad(=Bull Dog・Noor Jahan)が前面のスピードを底支えしているのを見ることが出来、Lady Angelaの影響が強いものの、Hyperionが9連とスピード・スタミナ両面においてアシストしているのは幸いで、意外と長く脚を使えるタイプになり得る。


 総合的に見ると、決してバランスの良い血統構成だとは言い難いが、主導たるノーザンテーストへの血の集合力は非常に良好で、Gainsborough系の血の流れはかなりの迫力があると考えられる。スピード面で前述したように、Tetratemaの決め手や、9連あるHyperionは非常に魅力的で、差し脚に良さがあるタイプであるという事が血統構成からも見てとる事ができる。
 ただし、前述したようにバランスが良いとは言えず、スタミナの核を持たなかった点も惜しまれる点で、あくまでもジャパンスペシャルなスピード馬だと言えるだろう。

エリンコート

2011-06-14 20:59:55 | 08年生
エリンコート(デュランダル×エリンバード-Bluebird)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:1 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:○ 成長力:△ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:◎

○ 主導   (6)

 主導は、中間断絶ではあるもののNorthern Dancer4×4。このNorthern Dancer内においてAlmahmoudとLady Angelaを並列させ、血統を比較的強力にリードしている。ただし本馬の場合、Hyperion・Nasrullah~Nearco・Turn-toと5~6代目にクロスさせた為に、その明確性は乱れていると考えられる。しかしながら、最終的にNorthern Dancerへと血の流れが見られるのは幸いか。

○ 結合   (5)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Lady Angela~Hyperion・Nearco・Native Dancer・Pharamond(=Sickle)は、Northern Dancerに含まれる血統のため確実に結合している。また、Turn-to~Source Sucree・NasrullahはNearcoで、Tom FoolはPharamond(=Sickle)を通じて、Banish FearはSpearmintでそれぞれ直接結合を果たしている。ただし、Chop ChopはTom Fool内Sir Gallahad(=Bull Dog)を経由して間接的に結合を果たしているのは惜しまれる点であるが、総合的にみると比較的優秀だと考えてよいだろう。

○ 土台   (3)

 土台構造を形成するのは、Gainsboroughが17ヶで、やや良いといったレベルを確保はしている。強力なサポートを得られなかったのは、やや残念か。

○ 弱点   (3)

 母方Home By Darkに弱点が存在する。ノーザンテースト内の欠陥は補正されている為に非常にもったいない配合だと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(8-13-10-3)とサワヤカプリンセスを強調している。同じく主導勢力を含むBluebirdも強調されているのは良いが、出来ることならば比較的質も高く、その生かし方もよいBluebirdを強調したいところだった。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (1)

 近い世代の血の質はあまり高いとは言い難い。底力勝負には向かない血統構成。

○ 質[遠]  (2)

 クロス馬の質は良好とは言い難い。主導たるNorthern Dancerは比較的良好だと考えられるが、実質的に血統をリードするAlmahmoudとLady Angelaは決して良好だとは言えない。前述の質[近]とあわせ底力勝負には向かないと考えられる。

○ スピード (4)

 血統全体においてスピード色が強く、AlmahmoudとLady Angelaを中核に、Pharamond(=Sickle)・Turn-toがアシストしているのが見てとれる。開花した場合、器用な競馬をするタイプに育つ可能性が高い。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作る事に失敗した配合。かろうじて、Tom Fool・Chop Chopが、そのクロスの内容から、スタミナ勢力として機能する可能性はあるか。


 総合的にみると、決してシンプルではないものの、血統内のスピードをかなり引き出した内容だということは見て取ることができる。また、ノーザンテースト・Bluebirdの生かし方はよく芝・ダート兼用で重馬場は得意なタイプだと考えられる。また、好調期にはそのスピードを生かし強い競馬を見せる事ができる可能性は秘める。しかしながら、これといったスタミナの核を作る事はできず、オークスを制してはいるが、本質的に距離延長は苦手とするタイプで、短距離~マイルに適性があると考えられる。

エリンコート(オークス)

2011-06-14 20:59:30 | 2011年GⅠ勝ち馬
エリンコート(デュランダル×エリンバード-Bluebird)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:1 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:○ 成長力:△ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:◎

○ 主導   (6)

 主導は、中間断絶ではあるもののNorthern Dancer4×4。このNorthern Dancer内においてAlmahmoudとLady Angelaを並列させ、血統を比較的強力にリードしている。ただし本馬の場合、Hyperion・Nasrullah~Nearco・Turn-toと5~6代目にクロスさせた為に、その明確性は乱れていると考えられる。しかしながら、最終的にNorthern Dancerへと血の流れが見られるのは幸いか。

○ 結合   (5)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Lady Angela~Hyperion・Nearco・Native Dancer・Pharamond(=Sickle)は、Northern Dancerに含まれる血統のため確実に結合している。また、Turn-to~Source Sucree・NasrullahはNearcoで、Tom FoolはPharamond(=Sickle)を通じて、Banish FearはSpearmintでそれぞれ直接結合を果たしている。ただし、Chop ChopはTom Fool内Sir Gallahad(=Bull Dog)を経由して間接的に結合を果たしているのは惜しまれる点であるが、総合的にみると比較的優秀だと考えてよいだろう。

○ 土台   (3)

 土台構造を形成するのは、Gainsboroughが17ヶで、やや良いといったレベルを確保はしている。強力なサポートを得られなかったのは、やや残念か。

○ 弱点   (3)

 母方Home By Darkに弱点が存在する。ノーザンテースト内の欠陥は補正されている為に非常にもったいない配合だと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(8-13-10-3)とサワヤカプリンセスを強調している。同じく主導勢力を含むBluebirdも強調されているのは良いが、出来ることならば比較的質も高く、その生かし方もよいBluebirdを強調したいところだった。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (1)

 近い世代の血の質はあまり高いとは言い難い。底力勝負には向かない血統構成。

○ 質[遠]  (2)

 クロス馬の質は良好とは言い難い。主導たるNorthern Dancerは比較的良好だと考えられるが、実質的に血統をリードするAlmahmoudとLady Angelaは決して良好だとは言えない。前述の質[近]とあわせ底力勝負には向かないと考えられる。

○ スピード (4)

 血統全体においてスピード色が強く、AlmahmoudとLady Angelaを中核に、Pharamond(=Sickle)・Turn-toがアシストしているのが見てとれる。開花した場合、器用な競馬をするタイプに育つ可能性が高い。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作る事に失敗した配合。かろうじて、Tom Fool・Chop Chopが、そのクロスの内容から、スタミナ勢力として機能する可能性はあるか。


 総合的にみると、決してシンプルではないものの、血統内のスピードをかなり引き出した内容だということは見て取ることができる。また、ノーザンテースト・Bluebirdの生かし方はよく芝・ダート兼用で重馬場は得意なタイプだと考えられる。また、好調期にはそのスピードを生かし強い競馬を見せる事ができる可能性は秘める。しかしながら、これといったスタミナの核を作る事はできず、オークスを制してはいるが、本質的に距離延長は苦手とするタイプで、短距離~マイルに適性があると考えられる。